留学ビザ(在留資格「留学」)の更新が不許可になるのはどんな場合ですか?不許可になったらどうすれば良いですか?
目次
1,留学ビザの更新とは何ですか?
(1)留学ビザで認められる在留期間
留学ビザ(在留資格「留学」が交付された場合、留学ビザには在留期限が付与されています。在留期限が到来した場合は、在留期間の更新をする必要があります。更新を怠った場合は、出国しなければなりません。
ビザの種類によって、認められる在留期間は異なってきます。留学ビザの場合は、「4年3月・3年3月・3年・2年3月・2年・1年3月・1年・6月・3月」のいずれかの期間で、法務大臣が個々に指定した期間の在留が認められます。
(2)留学ビザの更新時期
上記の通り、留学ビザには認められた在留期間が付与されます。1年の在留期間が認められた場合は、1年しか在留が認められません。1年では大学を卒業できないなど、留学目的を達成できない場合は、在留期間更新許可申請を行う必要があります。在留期間更新許可申請は、在留期間満了日の3か月前から申請することができます。
在留期間更新を怠った場合は、出国しなければいけません。更新せずに在留を続けている場合は、不法滞在となります。不法滞在は違法行為です。不法滞在で在留を続けていると、奨学金を取り消されたり、在籍している学校で退学処分になる危険性があります。さらに「3年以下の懲役もしくは禁錮または300万円以下の罰金」に処せられます。このように在留期間の更新を怠ると悪いこと尽くしなので、更新は失念しないようにしてください。
2,留学ビザの更新が不許可になるのは、どんな場合ですか?
上記1で検討した通り、留学ビザの在留期限が到来した場合は、在留期間更新許可申請を行う必要があります。この更新申請は、申請すれば当然に更新が許可されるわけではありません。更新の許可不許可が審査され、在留状況が悪いなど更新許可要件を満たさないと判断された場合は不許可になります。以下の挙げるような場合は、留学ビザの更新申請が不許可とされる代表例です。
出席・成績不良 | 規定時間以上のアルバイト | 書類の不備 |
留学ビザの目的は、日本の教育機関で教育を受けること、つまり勉学です。よって、勉学意欲も審査の対象となります。従って、出席率や成績が悪い場合は、勉学意欲に疑義が生じてしまいます。更新申請の必要書類として、大学や大学院の場合は「成績証明書」、専門学校の場合は「出席証明書」「成績証明書」を提出する必要があります。 | 留学ビザの目的は、日本の教育機関で教育を受けること、つまり勉学です。よって、留学ビザでは原則として就労が認められていません。もっとも、資格外活動許可を受けることによって、週28時間以内のアルバイトが認められます。この規定時間以上のアルバイトは、不法就労となります。この場合、留学ビザの更新が不許可となる危険性が高まります。 | 留学ビザの更新申請の必要書類としては、在留期間更新許可申請書、写真、在学証明書、成績証明書、出席証明書、経費支弁書などを提出します。また、審査の過程で追加資料を要求されることもあります。これらの必要書類を提出していない場合や、提出した書類に誤りがあった場合は、不許可になる可能性があります。 |
3,留学ビザの更新が不許可となった場合は、どうすれば良いですか?
上記2で検討した通り、留学ビザの更新許可申請は不許可となる場合もあります。更新許可申請の結果はハガキで郵送されてきます。更新が不許可の場合は、ハガキや出頭通知書が郵送されてきます。この通知書をもって入管に行くと不許可理由を一度だけ教えてくれます。
(1)不許可理由の聞き取り
上記の通り、更新許可申請が不許可となった場合は、一度だけ不許可の理由を教えてもらえます。再申請を考えている場合は、必ず不許可理由を聞き取ってください。この不許可理由の聞き取りでは、通知書に記載されていない詳細な不許可理由を説明してもらえます。場合によっては、再申請する際の対策なども教えてもらえることもあります。よって、不許可の通知書が届いた場合は、まずは入管に不許可理由を聞きに行ってください。
(2)不許可理由聞取りに持参するもの
不許可理由を入管に聞きに行く場合は、以下のものを持参してください。
①不許可通知書 入管から郵送されてきた、更新不許可の通知書の原本を持参してください。写しでは、不許可理由を教えてもらえない場合もあります。 |
②パスポートと在留カード |
③申請書類一式のコピー 在留期間更新許可申請の際に提出した申請書類一式の控えを持参してください。申請した書類を確認しながら入管の審査官の説明を聞くことができます。また、書類を確認しながら質問することもできます。 |
(3)不許可理由聞取りの注意点
不許可理由の聞き取りは一度だけ認められています。一度しか認められていないので、不許可理由を正確に理解できるように注意する必要があります。質問することもできるので、理解するまで質問してください。一度だけの機会なので、納得いくまで説明してもらってください。日本語に不安のある場合は、通訳の同行も認められています。また、行政書士の同行も認められています。不安がある場合は、通訳や行政書士に同行を依頼することも考えてください。
再申請を希望する場合は、どのような点を改善すれば良いのか、どんな追加資料を提出すれば良いのか、教えてもらえることもあります。不許可理由を払拭しない限りは、何度再申請しても不許可になります。不許可理由を聞取り、再申請に備えてください。
4,再申請して許可されるのはどんな場合ですか?
再申請をする際には、前回の申請で不許可とされた理由を払拭する必要があります。前回の申請の不許可理由を払拭できた場合は、再申請すれば更新が許可されます。以下のような場合は、再申請をすれば更新が許可される可能性も十分にあります。
(1)出席・成績不良に合理的理由がある場合
出席や成績不良を理由に更新が不許可となった場合、これらの合理的な理由を説明できる場合は再申請で許可される可能性はあります。出席や成績不良の合理的理由とは、例えば、病気やケガで通学することが困難となったため、出席や成績が悪くなった場合が該当します。このようなやむを得ない事情がある場合は、合理的な理由として認められます。この場合は、理由書で病気やケガが原因で通学が困難となったことを説明し、診断書を提出する必要があります。また、現在は回復していることや、回復後は勉学意欲があることを説明することも重要です。
(2)書類の不備を補った場合
提出書類に不備があったため不許可となった場合では、再申請で不備を補うことによって許可される可能性があります。例えば、留学中の経費を支払えることを証明できなかったため不許可となった場合は、経費支弁書や経費支弁者の収入証明や預金残高証明書を提出します。また、最新の成績証明書や出席証明書を提出しなかったため不許可となった場合は、最新の成績証明書や出席証明書を提出します。
5,再申請しても不許可とされるのはどんな場合ですか?
再申請しても前回の不許可事由を払拭できなかった場合は、何度再申請しても不許可です。以下のような場合は、再申請しても許可の可能性は低いと考えます。
(1)出席・成績不良の合理的理由を説明できない場合
出席・成績不良の合理的理由を説明できない場合は、勉学意欲に疑義が生じます。勉学意欲は、留学ビザの審査対象です。合理的理由を説明できない場合は、留学ビザの更新は不許可となってしまいます。
アルバイトで忙しかった、は合理的理由となりません。そもそも、留学ビザは原則として就労を認めていません。資格外活動許可は例外的にアルバイトを認めているものです。出席・成績不良になるほどのアルバイトは、勉学という留学ビザの目的とは相反するものです。また、勉強する気にならなかったという理由も、自ら勉学意欲を否定するもので合理的理由にはなりません。
(2)規定時間以上のアルバイト
規定時間以上のアルバイトをしていることが発覚したため不許可となった場合は、再申請しても許可される可能性はありません。留学ビザは、日本の教育機関で教育を受けることを目的としたビザで、原則として就労は認められていません。資格外活動許可は、例外として週28時間以内のアルバイトを認めていますが、この規定時間を超えたアルバイトは不法就労です。このように、規定時間以上のアルバイトをしている場合は、就労目的で日本に在留していると判断されてしまいます。
6,再申請しても不許可の場合はどうすれば良いですか?
留学ビザの更新が不許可となり、再申請をしても不許可となったが、日本での留学を続けたい場合は、一度帰国することも一つの方法です。一度帰国して、再度新たに在留資格認定証明書交付申請を行い、留学ビザを再取得する方法です。
留学ビザの更新申請では、日本在留中の出席率や成績、アルバイト状況その他日本在留中の事情を総合的に考慮し、許可不許可の判断をします。一方、新たに在留資格認定証明書交付申請をして、新たに留学ビザを取り直す場合は、日本留学中の在留状況が更新申請ほど審査の考慮事情に含まれません。留学ビザを取り直す場合は、更新申請で考慮された不許可事由が考慮されません。つまり、一度帰国して新たに留学ビザを取り直す場合は、更新申請で不許可とされた不許可事由をリセットすることができます。最悪の場合は、一度帰国して不許可事由をリセットして留学ビザを取り直してください。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |