家族滞在ビザから永住申請はどうすれば良いですか?
目次
1,家族滞在ビザとは何ですか?
家族滞在ビザとは、在留資格「家族滞在」ことで、家族の帯同が認められている在留資格をもって、中長期在留している外国人の家族に付与される在留資格です。
家族滞在ビザを取得するためには、中長期の在留資格をもって日本に在留する外国人が、配偶者及び子供を扶養する意思を有し、かつ扶養する経済的な能力を有していることが要件となります。また、扶養される配偶者及び子供は、既に扶養されているか又は扶養の必要性があることが要件となります。
配偶者ビザを付与された外国人には、配偶者及び子供としての日常的な活動を行うことが認められています。したがって、家族滞在ビザでは原則として就労は認められていません。
2,家族の帯同が認められているビザは何ですか?
以下の在留資格は家族の帯同が認められています。よって、該当在留資格を持つ外国人は扶養する家族を、家族滞在ビザによって日本に呼び寄せることができます。なお、留学ビザや文化活動ビザは就労が認められていませんが、日本在留中に必要な生活費などの費用を賄う資力がある、収入があるなど、確実に費用を得ることができる場合には、家族滞在ビザを取得することが可能です。
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3,家族滞在ビザから永住申請する場合の注意点は何ですか?
上記1で検討した通り、家族滞在ビザは扶養を受けることを前提としているビザです。この点から、家族滞在ビザから永住申請する際には、就労系のビザから永住申請する場合との違いが生じてきます。
家族滞在ビザを保有している外国人が、単独で永住申請した場合、まず許可が下りることはありません。永住許可要件の1つに独立生計要件があります。家族滞在ビザは原則として就労が認められていないため、この独立生計要件を充足することができません。よって、家族滞在ビザから単独で永住申請した場合は不許可となります。
家族滞在ビザを保有している外国人が永住申請する場合は、収入があり独立生計要件を満たすことができる配偶者や両親と共に同時申請する必要があります。この場合は、家族滞在ビザから永住許可が下りる可能性があります。なお、同居の家族の永住申請が不許可となった場合は、家族滞在ビザの外国人の永住申請が許可されることはありません。
4,家族滞在ビザからの永住許可要件は何ですか?
(1)住居要件
永住許可要件の住居要件は、「原則として引き続き10年以上日本に在留していること」を要求します。もっとも、家族滞在ビザの外国人が、同居する家族と同時に申請する場合は、この原則10年在留が緩和される可能性があります。つまり、同時申請した家族の永住申請が許可された場合は、家族滞在ビザの外国人は「永住者の配偶者等」という身分になります。そして、家族滞在ビザの外国人は、「永住者の配偶者等」という身分に基づき審査されることになります。なお、「等」には子供も含まれます。「永住者の配偶者等」の身分にある外国人に要求される在留期間は以下の通りです。
①配偶者の場合 配偶者との実体を伴った婚姻が3年以上経過し、かつ1年以上引き続き日本に在留していること ②永住者の実子の場合 引き続き1年以上日本に在留していること |
なお、上記の「引き続き」とは、在留が継続していることです。よって、長期出国がある場合は「引き続き」と認められなくなります。具体的には、1回の出国で90日以上、また1年間の合計出国日数が150日以上となった場合は「引き続き」在留しているとは認められなくなる可能性があります。この場合は、カウントがリセットされます。つまり、帰国時点を起算点として計算し直しになります。
(2)現に有している在留資格について、入管法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること
家族滞在ビザでは付与される在留期間は、1年、3年、5年のいずれかになります。永住申請が許可されるためには、最長の在留期間を付与されている必要があります。家族滞在ビザの最長在留期間は5年です。もっとも、現在のところ3年以上の在留期間を付与されていれば、この要件を満たすことができる運用となっています。
(3)独立生計要件
独立生計要件とは、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有することを意味します。この独立生計要件の目安としては、単身者の場合で年収300万円以上と実務上考えられています。また扶養者1人につき+30万が必要となります。つまり、扶養者1人の場合は年収330万円以上、扶養者2人の場合は年収360万円以上が必要となります。
家族滞在ビザは扶養を受けることを前提としているビザです。よって、家族滞在ビザから永住申請する場合は、収入のある家族の収入によって独立生計要件が判断されます。また、家族滞在ビザの外国人は被扶養者であることから、扶養者が独立生計要件を満たすか否かは、扶養者がいることを前提として考える必要があります。つまり、扶養者1人につき30万円をプラスして考えてください。
(4)日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること
「公共の負担にならず」とは生活保護などの受給を受けていないことを意味します。家族滞在ビザの外国人が生活保護を受けている場合は、同居の家族に十分な収入があった場合でも、永住申請が許可されることはありません。
(5)素行善良要件
素行善良とは、法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること、を意味します。過去に懲役刑や罰金刑を受けている場合は、素行善良であるとは認められません。また、交通違反も素行善良要件に影響します。過去5年間に5回以上交通違反がある場合は、素行善良であると認められなくなると実務上考えられています。ここでいう違反は軽微な交通違反です。飲酒運転などの重大な交通違反の場合は、1回でアウトです。
なお、過去に懲役刑や罰金刑を受けた場合でも、永久に素行善良が否定されるわけではありません。処分の日から相当期間を経過することによって回復することができます。具体的な目安としては、刑の重さや罰金の程度によって異なりますが、5年~10年の期間が経過することによって素行善良要件を満たすことができます。もちろん、その間は素行善良であることが前提です。
(6)公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
家族滞在ビザの外国人が永住申請する場合は、申請者本人のみならず、扶養者である家族も適正に履行していることが必要です。前述の通り、家族滞在ビザの外国人は被扶養者なので、扶養者である家族を基準に審査されます。そして、家族滞在ビザから永住申請する場合は、扶養者・被扶養者を含めた家族全員が適正に履行している必要があります。
適正に履行しているとは、適正な時期に税金や保険料の納付を行っていることを意味します。よって、未納がないことはもちろんのこと、滞納がないことも必要です。滞納分を後から支払った場合でも、適正に履行しているとは認められず、永住申請が許可されることはありません。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |