配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)申請の質問書の質問項目は何ですか?

1,質問書とは何ですか?

質問書とは以下のようなものです↓

 配偶者ビザは、日本人と結婚すれば当然に付与されるものではありません。婚姻の信ぴょう性や生計要件、素行善良要件といった配偶者ビザの許可要件を充足している必要があります。そして、この許可要件を充足していることの立証責任は、申請者側にあります。つまり、許可要件を充足していることを証明できなかった場合は、当然に不許可となります。

 許可要件充足性の立証は、必要書類を提出して証明していきます。この必要書類の1つに質問状があります。配偶者ビザの申請において質問状は提出が必須の書類となっています。

 配偶者ビザにおいては、自分たちの結婚が偽装結婚ではなく、真摯な婚姻意思に基づく結婚であることを、申請人側が証明する必要があります。この質問状は、婚姻の信ぴょう性の立証において極めて重要な書類で、審査に大きく影響します。数ある質問事項のなかで、結婚に至った経緯の質問が最も重要な質問事項となります。

2,質問書の質問項目は何ですか?

 配偶者ビザ申請書類の質問書には、以下の質問項目があります。率直に事実を記載していく必要があります。このような質問書が要求される趣旨は、偽装結婚や悪質なブローカーを介した国際結婚を防止することに求められます。よって、この質問書は審査に大きく影響します。

①申請人(外国人)と配偶者に関する情報  
②結婚に至った経緯   
③夫婦間の会話の言語  
④結婚届の証人について  
⑤結婚式(披露宴)の時期・場所・出席者について  
⑥結婚歴  
⑦来日回数・時期  
⑧配偶者が申請人の母国に行った回数・時期  
⑨申請人の退去強制の有無  
⑩親族についての情報  
⑪親族で結婚を知っている人は誰か

3,結婚に至った経緯の質問は、どうやって書けばよいですか?

 上記2で検討した通り、質問書は配偶者ビザ申請の審査に大きく影響します。前述の通り、質問書は偽装結婚を防止するために要求されています。よって、審査官は偽装結婚を疑って審査に臨むと考えたほうが無難と考えます。そこで、婚姻に至った経緯の質問は、自身の婚姻が偽装結婚ではないことを証明するために特に重要です。

婚姻に至った経緯の説明では、具体的な日時や地名などを記載して説明していくことが、説得力を持たせるためには重要と考えます。そして、婚姻に至った経緯の説明では、以下の点を押さえて、時系列順に記載してください。

①どこで、どのように知り合ったのか
②交際に至るまでの経緯
③交際中には、どこにデートに行ったのか。また、その思い出
④結婚に至るまでの経緯
⑤家族と会った日、家族の誰と会ったか
⑥結婚のあいさつや結婚式の様子
⑦結婚した日  など

 なお、離婚歴がある場合や結婚以前に不倫関係にあった場合などは、配偶者ビザ申請には消極的に作用します。しかし、このような消極的事情も、離婚や不倫から結婚に至った経緯を説明していく必要があります。不利益事由を隠すと、婚姻の信ぴょう性に疑義が生じやすくなるので注意が必要です。

4,配偶者ビザの審査は厳しいですか?

 配偶者ビザの審査は厳格です。審査が厳格な理由としては、以下のように配偶者ビザが優遇された在留資格であることや、偽装結婚を防止する目的があります。

 配偶者ビザは他の就労ビザと比べても、就労制限がなく永住申請や帰化申請の要件が緩和されているなど、優遇されている在留資格です。このように優遇されている在留資格であるため、外国人が日本人を騙すケースや日本人が戸籍売りなどをするケースといった偽装結婚によって、配偶者ビザの取得を試みる外国人は少なくありません。

 日本人が外国人と離婚結婚を繰り返しているケースには、戸籍売りをしている場合、つまり外国人や悪質な国際結婚ブローカーからお金をもらって結婚する場合が報告されています。外国人が日本人と結婚離婚を繰り返しているケースには、配偶者ビザ取得後就労し日本でお金を稼いで、離婚して帰国するといったことを繰り返すケースが報告されています。

 偽装結婚との疑義が生じた場合は、当然に不許可になります。そして、不許可となった場合の再申請では、偽装結婚との疑義があることを前提として、反証していく必要があるため、より審査が厳しくなっていきます。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法