どうすれば経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)の事業所要件を満たしますか?

1,経営管理ビザの事業所要件とは何ですか?

 経営管理ビザの許可要件の1つとして、事業の事業所を確保していることが求められます。この要件を充足するためには、独立した事業用の事業所を確保する必要があります。特に新規事業を立ち上げる場合は、事業所の確保必要となります。申請の際には、独立した事業所を確保していることを証明するため、事業所の賃貸借契約書の写しなどの書類を提出する必要があります。

2,いつまでに事業所を確保すれば良いですか?

 会社や法人を設立する場合、まずは定款を作成する必要があります。事業の事業所の確保は、会社の定款作成前に確保していることが好ましいです。しかし、定款作成前に事業所を確保していることが望ましいですか、事業所を確保していなければ定款を作成することができないわけではありません。

 定款とは、会社の基本的事項を定めたものです。定款には、必ず記載しなければならない事項(絶対的記載事項)があります。この絶対的記載事項の一つに、会社本店の所在地(事業所の住所)があります。もっとも、定款に記載する所在地は最小行政区まで記載すれば良いこととなっています。例えば「○○県○○市」という表記で十分ということになります。よって、必ずしも事業所を確保していなくても定款を作成することは可能です。

 事業所を確保していなくても定款を作成することはできますが、定款に記載した市区町村で事業所を確保する必要があります。定款に記載した市区町村外で事業所を確保した場合は、定款の変更が必要になります。この場合は、費用がかかります。

 なお、会社設立日から経営管理ビザ申請までに期間が空くような場合は、事業所賃貸費用を抑えるために一旦自宅を会社所在地とすることもできます。しかし、経営管理ビザ申請時までに独立した事業所を確保し、定款や登記の記載を変更する必要があります。

3,バーチャルオフィスで事業所要件を充足できますか?

 バーチャルオフィスとは、住所だけを借りる事業所形態のことです。バーチャルオフィスで法人登記をして会社を設立することもできます。しかし、バーチャルオフィスの場合は、経営管理ビザの事業所要件を充足することはできません。事業所要件を充足する為には、独立した事業所と認められることが必要ですが、オフィスの実体がないバーチャルオフィスの場合は、独立した事業所とは認められません。よって、バーチャルオフィスでは経営管理ビザを取得することはできません。

4,レンタルオフィスで事業所要件を充足することができますか?

 レンタルオフィスの場合は、以下①②の条件を満たしている場合は、独立した事業所として認められます。個室が確保されていなく、看板や標識もないフリーデスクプランなどでは、独立した事業所とは認められません。

①明確な区切りがある
 「明確な区切りがある」といえる為には、壁やドアで他のオフィスから明確に隔絶されていることが必要です。パーテンションのような上部が開いている状態の区切りで作ったオフィスでは独立した事業所と認められない可能性が高いです。
②看板、標識を掲げている
 「看板、標識を掲げている」といえる為には、郵便ポストや入口に会社名や店舗名が入った看板や標識を掲げていることが必要です。経営管理ビザ申請では、看板や標識を掲げているポストや入口などの写真を提出します。

5,共同事務所で事業所要件を充足できますか

 他の会社や事務所の一角を借りて事業所とするような共同事務所の場合は、原則としては独立した事業所と認められません。ただし、個室が用意され、他の事務所を通過することなく事務所に行ける場合は、独立した事業所と認められる可能性はあります。

6,自宅兼事務所で事業所要件を充足できますか?

(1)原則

 原則として、自宅兼事務所の場合は独立した事業所とは認められません。独立した事業所と認められる為には、居住空間と事務所を完全に分けることが必要です。よって、自宅兼事務所の場合は、多くの場合経営管理ビザを取得することができません。

(2)例外

 もっとも、居住空間と事務所が完全に分かれている場合は、独立した事業所と認められることがあります。この場合に、独立した事業所と認められる為には、居住空間を通ることなく事業所に行くことができることが必要です。

 例えば、一戸だけの住居で、1階が事業所で2階が居住空間という場合は、独立した事業所と認められます。この場合は、2階の居住空間を通ることなく、1階の事業所に行くことか可能となります。逆に、1階が居住空間で2階が事務所の場合は、居住空間を通ることなく事業所に行くことが難しいため、独立した事業所と認められる可能性が低くなります。

 なお、マンションの場合は、どんなに広くて一室を事業所としたとしても、居住空間と独立しているとは認められ難く、独立した事業所と認められる可能性は非常に低いです。

(3)自宅兼事務所で許可されている例

 販売事業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行い、会社事務所と住居部分の入り口は別となっており、事務所入り口には、会社名を表す標識が設置されていた。また、事務所にはパソコン、電話、事務机、コピー機等の事務機器が設置されているなど事業が営まれていることが確認された事例

 この事例では事務所と居住部分が完全に分かれていることが明らかなため、独立した事業所と認められています。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」  
同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  
明治大学法科大学院修了  
「専門分野」  
入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法