イギリス人との国際結婚はどうすれば良いですか?
1,婚姻手続は日本とイギリスの両国でする必要がありますか?
配偶者ビザは、日本国法及びイギリス婚姻法の両国の法律に基づく婚姻関係になければ、許可は下りません。日本人とイギリス人が国際結婚をする為には、日本国法及びイギリス婚姻法のそれぞれの婚姻手続を経る必要があります。
イギリスの婚姻年齢は婚姻法によって定められています。イギリスの婚姻法は男女ともに18歳以上と婚姻年齢を定めています。日本の民法は婚姻年齢を2022年4月1日から、男女ともに18歳以上としています。また、日本の民法は女性のみ再婚禁止期間(100日)を定めていますが、イギリスの婚姻法は再婚禁止期間を規定していません。
イギリスでは、「市民パートナーシップ制度」が認められています。これは、法律婚ではない事実婚に法的権利を求めたものです。従来は同性婚に法的権利を認めるために導入された制度ですが、異性間にも拡大されています。もっとも、日本の配偶者ビザ申請との関係では、事実婚の場合は許可が下りません。よって、本稿では法律婚を前提に検討していくこととします。
日本の婚姻手続とイギリスの婚姻手続のどちらを先に行うべきか、は申請人がどちらの国に在住しているかによって異なります。イギリス人が既に何らかの中長期の在留資格をもって、日本に在留しているのであれば、先に日本での婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。日本の婚姻手続を済ませることによって、両国の婚姻手続を済ませたことになります。逆に日本人がイギリスに在住しているのであれば、先にイギリスで婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。
2,先に日本で結婚する場合はどうしますか?
日本で先に婚姻手続を行う場合は、以下のような流れになります。イギリスの場合は、日本で婚姻手続が有効に成立すれば、イギリスにおいても法律上有効な婚姻と見なされ、法律上の婚姻の効力が発生します。
①イギリス人の婚姻要件具備証明書の取得 ↓ | まずは、駐日英国大使館でイギリス人の「婚姻要件具備証明書」を取得します。なお、この場合事前予約が必要となります。 「必要書類」 ・イギリス人のパスポート原本 ・イギリス人の居住地を証明する公的書類‘(運転免許証等) ・イギリス人の出生証明書 |
②日本の婚姻手続 | 駐日英国大使館で婚姻要件具備証明書を取得したら、日本の市区町村役場で婚姻届を行います。 「必要書類」 ・①で取得した婚姻要件具備証明書(日本語翻訳文付き) ・イギリス人のパスポート ・日本人の本人確認書類(運転免許証やパスポート) ・日本人の戸籍謄本 |
3,先にイギリスで結婚する場合はどうしますか?
イギリスで先に婚姻手続を行う場合は、以下のような流れになります。
①イギリス結婚訪問ビザの取得 ↓ | まずはイギリスの結婚訪問ビザを日本人が取得する必要があります。日本人が既に就労ビザなど何らかのイギリス在留資格を持っている場合も、結婚訪問ビザの取得が必要です。観光ビザなどで入国した場合は、婚姻を管轄する役所からイギリス入管に通報されることになっています。結婚訪問ビザでイギリスに滞在できる期間は6か月です。 |
②日本人の婚姻要件具備証明書の取得 ↓ | 在英日本国大使館もしくは領事館、日本の法務局で日本人の婚姻要件具備証明書を取得します。 |
③結婚予告通知およびマリッジライセンスの取得 ↓ | イギリスでは、結婚予告通知が義務付けられています。これは、当事者の結婚について異議がないかを確認する手続きです。よって、まずは結婚予告通知を行います。 予告告知後28日間の公示期間が終われば、結婚登記官又は英国国教会の神父からマリッジライセンスが与えられます。なお、宣誓供述書を提出することによっても、マリッジライセンスを取得することも可能です。 「必要書類」 ・結婚式の会場の詳細 ・パスポート ・日本人のビザ ・その他(個別事情により提出書類が増える場合があります) |
④結婚式の挙行及び婚姻証明書の取得 ↓ | マリッジライセンスを取得したら結婚式を挙行します。③の結婚通知を行ってから、12か月以内に結婚式を挙行する必要があります。 結婚式で宣誓と証人2名のサインが行われると、結婚の登記が行われます。この結婚登記が行われると、登記所から婚姻証明書を取得することができます。 |
⑤日本の婚姻手続 | ④の結婚証明書を取得したら、在英日本国大使館もしくは領事館、日本の市区町村役場で婚姻手続を行います。 「必要な書類」 ・婚姻届 ・イギリスの結婚証明書(日本語翻訳文付き) ・戸籍謄本 ・イギリス人の出生証明書 ・イギリス人のパスポート |
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |