文化活動ビザ(在留資格「文化活動」)でインターンシップできますか?

1,インターンシップに必要なビザは何ですか?

 外国人が日本でインターンシップを行う為に必要なビザ(在留資格)は、報酬の有無や滞在期間によって異なってきます。以下では、インターンシップに必要なビザについて、「報酬を伴う場合」と「報酬を伴わない場合」に分けて検討します。

(1)報酬を伴うインターンシップの場合

 海外の外国人を招聘して報酬を伴うインターンシップを行う場合に必要なビザは、在留資格「特定活動(告示9号)」を取得する必要があります。在留資格「特定活動」とは、法務大臣が指定した活動を外国人に認めた在留資格のことで、現在では46種類の活動が告示されています。

 インターンシップビザもその一つで、在留資格「特定活動(告示9号)」によってンターンシップ活動を外国人に認めています。インターンシップの目的は「社会実践を通じて、大学での学びに役立つ知識や技術を習得させ、人材育成に寄与する」ことに求められます。インターンシップビザを取得するためには、この目的に合致することが必要です。

(2)報酬を伴わないインターンシップの場合

 報酬を伴わないインターンシップを行う場合に必要となるビザは、インターンシップの活動期間によって、文化活動ビザと短期滞在ビザに分かれます。

活動期間が90日以上場合 文化活動ビザ日本でのインターンシップ期間が90日以上の場合は、文化活動ビザ(在留資格「文化活動」)を取得する必要があります。文化活動ビザでは、「日本特有の文化・芸妓の研究」「専門家の指導を通じた修得」「学術上の活動、芸術上の活動」といった活動が認められます。報酬を伴うインターンシップは認められません。
活動期間が90日以内の場合 短期滞在ビザ短期滞在ビザ(在留資格「短期滞在」)では、講習・会合への参加や保養、観光などの活動を行うことが認められます。報酬を伴う活動は認められません。

2,インターンシップビザ(在留資格「特定活動(告示9号)」の許可要件は何ですか?

 インターンシップビザを取得するためには、下記の許可要件をクリアする必要があります。

・外国人学生が日本に入国する時点で18歳以上であること
・学位の授与される大学に学生が在籍していること
・大学と会社の間でインターンシップに係る協定があること
・インターンシップ先の業務が単純労働ではないこと
・大学の教育課程の一部にインターンシップがあること
・インターン期間が1年以内であること
・大学の専攻とインターンシップの内容が関連していること

 なお、通信制の大学に在籍している外国人は、インターンシップビザの対象とはなりませんので、取得できません。

3,インターンシップビザ(在留資格「特定活動9号」)申請の必要書類は何ですか?

 報酬を伴うインターンシップの場合は、在留資格「特定活動9号」を取得する必要があります。

サマージョブ(※1)や「国際文化交流(※2)」を目的として日本に在留する場合も在留資格「特定活動」が該当します。この場合の必要書類はインターンシップビザと異なりますが、ここでは割愛します。

※1 サマージョブとは、夏季休暇などを利用して日本企業で業務に従事する活動のことです。在留資格「特定活動(告示12号)」に分類されます。

※2 国際文化交流とは、夏季休暇などに日本の団体が実施する講義などの国際文化交流に関わる事業に参加する活動のことです。在留資格「特定活動(告示15号)」に分類されます。

在留資格「特定活動9号」の申請に必要な書類は以下の通りです。

「インターンシップビザ必要書類」

・在留資格認定証明書交付申請書
・写真(縦4cm×横3cm)
・返信用封筒(宛先を明記の上、404円分の切手を貼付したもの)
・申請人の在学証明書 ・申請人が在籍する外国の大学と日本の受入れ機関との間で交わしたインターンシップに係る契約書の写し
・申請人が在籍する外国の大学からのインターンシップ実施に係る承認書、推薦状
・単位取得等教育課程の一部として実施されることを証明する資料(インターンシップ実施計画)
・申請人の日本での活動内容、期間、報酬等の待遇を記載した資料
・申請人のインターンシップでの過去の在留歴を明らかにする資料
・申請人の在籍する大学の修業年限を明らかにする資料
・インターンシップガイドラインに規定する項目に係る説明書 など

4,文化活動ビザ(在留資格「文化活動」)申請の必要書類は何ですか?

 報酬を伴わないインターンシップで活動期間が90日以上の場合は、在留資格「文化活動」を取得する必要があります。文化活動ビザ申請に必要な書類は以下の通りです。

「文化活動ビザ必要書類」

・在留資格認定証明書交付申請書
・写真(縦4cm×横3cm)
・返信用封筒(宛先を明記の上、404円分の切手を貼付したもの)
・申請人の在学証明書 ・学術上又は芸術上の業績を明らかにする資料(推薦状など)
・日本での具体的な活動の内容、期限および当該活動を行おうとする機関の概要を明らかにする資料(受入機関が作成した活動内容をまとめた資料など)
・申請人が日本に在留した場合の経費支弁能力を証する文書(奨学金給付に関する証明書など)

5,短期滞在ビザ(在留資格「短期滞在」)申請の必要書類は何ですか?

 報酬を伴わないインターンシップで活動期間が90日以内の場合は、在留資格「短期滞在」を取得する必要があります。短期滞在ビザ申請に必要な書類は以下の通りです。

「短期滞在ビザ必要書類」

・在留資格変更許可申請書
・パスポート及び在留カード
・「短期滞在」への変更を必要とする理由書(書式自由)
・出国するために必要な交通手段を確保していることを明らかにする資料(航空券など)

6,インターンシップで外国人学生を受け入れる場合の注意点は何ですか?

 インターンシップで外国人学生を企業に受け入れる場合、最長で1年受け入れることができます。このように、インターンシップで外国人学生を受け入れた場合は、中長期の間、外国人学生が日本に在留することになります。よって、インターンシップで外国人学生を受け入れる企業は、外国人学生を保護していく必要があります。

特に、報酬を伴うインターンシップで外国人学生を受け入れる場合は、社会保険への加入を検討していく必要があります。学生は失業状態にはならないため、雇用保険への加入は必要ありませんが、労災保険や健康保険への加入の必要性は考える必要があります。

7,日本にいる外国人留学生のインターンシップに「資格外活動許可」は必要ですか?

 日本にいる外国人留学生は留学ビザ(在留資格「留学」)を保持しています。留学ビザの活動目的は、日本の教育機関で教育を受けることで就労は認められていません。よって、外国人留学生がインターンシップに参加する場合は、「資格外活動許可」を取得する必要があります。

 資格外活動許可は「包括許可」と「個別許可」に分かれます。「包括許可」では「1週につき28時間以内」の就労が認められています。よってインターンシップの就業時間が週28時間以内の場合は「包括許可」を取得する必要があります。これに対し、インターンシップの就業時間が、「1週につき28時間を超える」場合は、「個別許可」を取得する必要があります。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」  
同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  
明治大学法科大学院修了  
「専門分野」  
入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法