永住申請が不許可になった場合の再申請はどうすれば良いですか?
目次
1,永住申請は難しいですか?
日本人の配偶者をはじめ、日本で長く生活し日本の生活の基盤を有している外国人は在留資格「永住者」の取得を希望することも少なくありません。永住申請するためには、3年以上の在留資格と有していることが条件となっていますが、3年のビザが出ると、多くの外国人は永住申請を考えます。
出入国在留管理庁の統計では、申請された永住申請のうち許可されている割合は約50%です。つまり、半分の人が不許可にされています。永住申請は申請すれば当然に許可されるわけではありません。特に2019年に「永住許可に関するガイドライン」が改定された以降は、審査が厳格化しています。在留資格「永住者」の許可要件は厳しく、また許可要件を充足しているか否かの判断も厳格に審査されます。このように在留資格「永住者」は、日本の在留資格の中でも取得が難しい在留資格となっています。
永住許可に関するガイドライン
2,永住申請が不許可になった場合どうしますか?
(1)不許可通知書
永住申請が残念ながら不許可になると、「不許可通知書」が入管から郵送されてきます。この不許可通知書には不許可理由が記載されていますが、多くの場合は「出入国管理及び難民認定法第22条第2項第2号に適合するとは認められません。」と記載されています。このように、不許可通知書の不許可理由の記載は、不許可とされた根拠条文が示されているのみで、具体的な根拠条文に適合しない理由や根拠事実などは記載されていません。
(2)不許可理由の聞き取り
行政手続法第8条1項は「理由の提示」を規定し、許認可の申請を拒否する場合は理由を示さなければならないとしています。よって、永住申請が不許可になった場合は、1度だけ不許可の理由を出入国在留管理局に聞きに行くことができます。
上記の不許可通知書には不許可となった根拠条文のみ記載されていますが、不許可理由の聞き取りではより具体的に根拠条文に適合しない理由を教えてくれます。永住申請が不許可となり再申請を考えている場合は、不許可通知書は捨てずに保管し、不許可通知書をもって入管に不許可理由を聞きに行ってください。
なお、この不許可理由の聞き取りでは、審査の結果に関する書面の内容を教えてくれますが、質問していないことまで教えてくれません。不許可理由の聞き取りでは、永住申請の審査で重視される点や運用基準などを踏まえて質問していくことが重要です。
(3)再申請
再申請では上記(1)(2)で聞き取った不許可理由を払拭していく必要があります。不許可理由を払拭せずに何度再申請しても、何度も不許可になります。不許可理由を払拭するためには、不許可理由を聞取り適切な書類を準備して立証していく必要があります。
もっとも、不許可理由によってはリカバリーできない不許可理由もあります。リカバリー可能な不許可理由の場合は、適切な書類を提出して再申請してください。
3,リカバリーできる不許可理由は何ですか?
リカバリーできる不許可理由とは、永住許可要件を充足しているが、提出書類の不備や提出書類の内容が不適切であった場合などです。許可要件を満たしていても、このような理由で審査官に要件該当性がないと判断されることもあります。この場合は、適切な書類を提出して再申請し、不許可理由を払拭することによって、許可を得られる可能性もあります。
例えば、必要書類が不足していたため不許可のなった場合は、それを補完して再申請します。長期間の出国や出国回数が多いため不許可となった場合は、その理由書を作成して再申請します。
なお、前回不許可になった申請内容は記録に残っています。したがって、前回の申請内容と矛盾する内容の申請をすると、どちらかが虚偽ということになります。この場合は不許可になります。
4,リカバリーできない不許可理由は何ですか?
リカバリーできない不許可理由とは、そもそも申請人が永住許可要件を充足していないということです。この場合は、永住許可要件を充足するようになるまでは、何度申請しても不許可です。永住許可要件を充足してから申請する必要があります。
例えば、年金や税金に未納滞納があったため不許可となった場合は、未納滞納なく税金や年金を必要な期間(例えば5年間)支払ってから申請する必要があります。特に上記ガイドライン改定以降は、公的義務を履行しているか否かに関しては厳しく審査されています。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |