フランス人との国際結婚はどうすれば良いですか?

1,婚姻手続は日本とフランスの両国でする必要がありますか?

 配偶者ビザは、日本国法及びフランス婚姻法の両国の法律に基づく婚姻関係になければ、許可は下りません。日本人とフランス人が国際結婚をする為には、日本国法及びフランスの婚姻法のそれぞれの婚姻手続を経る必要があります。

 フランスの婚姻年齢は婚姻法によって定められています。フランスの婚姻法は男女ともに18歳以上と婚姻年齢を定めています。日本の民法は婚姻年齢を2022年4月1日から、男女ともに18歳以上としています。また、日本の民法は女性のみ再婚禁止期間(100日)を定めていますが、フランスの婚姻法は再婚禁止期間を廃止しています。

 日本の婚姻手続とフランスの婚姻手続のどちらを先に行うべきか、は申請人がどちらの国に在住しているかによって異なります。フランス人が既に何らかの中長期の在留資格をもって、日本に在留しているのであれば、先に日本での婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。逆に日本人がフランスに在住しているのであれば、先にフランスで婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。

2,先に日本で結婚する場合はどうしますか?

日本で先に婚姻手続を行う場合は、以下のような流れになります。

①フランス人の婚姻要件具備証明書の申請
 駐日フランス大使館でフランス人の「婚姻要件具備証明書」を取得します。なお、フランス大使館の場合は事前予約が必要です。また、婚姻要件具備証明書の取得の手続きは、駐日フランス大使館とフランス本国当局とが連絡を取りながら進めていくことになります。このため、申請から取得まで1か月半程度かかることもあります。
「必要書類」
・フランス人のパスポート原本
・フランスの出生地役所で取得した出生証明書の謄本
・質問票(駐日フランス大使館ホームページで取得できます)
・日本人の身分を証明できる書類(パスポートや運転免許証等顔写真のあるもの)
・日本人の戸籍謄本(フランス語翻訳文付き)
②婚姻要件具備証明書の取得
 婚姻要件具備証明書の準備ができたら駐日フランス大使館から連絡が来ます。連絡がきたら駐日フランス大使館で婚姻要件具備証明書を取得してください。  
 なお、駐日フランス大使館は日本語翻訳文を付けて婚姻要件具備証明書を発行してくれます。日本語訳文には「婚姻資格証明書」と記載されています。
③日本の婚姻手続、婚姻届記載事項証明書の取得
 駐日フランス大使館から婚姻要件具備証明書を取得したら、日本の市区町村役場で婚姻届を提出します。
 婚姻の事実が戸籍に反映されるまで約1週間程度かかります。婚姻届記載事項証明書は即日発行可能です。婚姻届記載事項証明書はフランスの婚姻手続で必要になりますので、取得してください。
「必要書類」
・婚姻届
・フランス人のパスポート
・②で取得したフランス人の婚姻要件具備証明書(日本語翻訳文付き)
・戸籍謄本
④日本国外務省による認証(アポスティーユ認証)
取得した婚姻届記載事項証明書に日本国外務省による認証を受けます。 アポスティーユ認証とは、外国で日本の官公庁や役所で発行された証明書などの書類を使用する場合に、当該書類に対して、外務省が真正な書類であることを認証するものです。
「必要書類」
・身分証明書
・婚姻届記載事項証明書
・アポスティーユ申請書
⑤駐日フランス大使館で結婚報告
駐日フランス大使館で結婚報告を行います。
「必要書類」
・フランスの戸籍台帳への登録申請書
・婚姻届記載事項証明書(アポスティーユ済)
⑥家族手帳の取得フランスでの婚姻が成立すると、駐日フランス大使館から家族手帳が送られてきます。家族手帳を取得したら手続きは終わりです。

3,先にフランスで国際結婚する場合はどうしますか?

フランスで先に婚姻手続を行う場合は、以下のような流れになります。

①在仏日本国大使館又は領事館で必要書類の取得
「取得する書類」
・出生証明書 ・婚姻及び離婚証明書
・慣習証明書
↓  
 フランスの婚姻手続を行う為に必要な日本人の書類を在仏日本国大使館で取得します。右に記載した取得書類は、在仏日本国大使館独自の書類になりますので、日本で取得することはできません。
「取得する書類」
・出生証明書 ・婚姻及び離婚証明書
・慣習証明書
 下記の改正原戸籍とは、戸籍法の改正によって戸籍が手書きから電子化され、電子化される前の戸籍のことです。フランスの婚姻手続は、離婚歴の有無によって必要書類が異なってきます。平成18年戸籍法改正前に婚姻年齢に達している者は、必ず改正原戸籍が必要になります。
「必要書類」
・戸籍謄本(アポスティーユ済み)
・改正原戸籍(アポスティーユ済み)
②フランスの婚姻手続
フランスの役所で婚姻手続を行います。提出書類は地域によって異なる場合があります。以下の必要書類は一例です。
「必要書類」
・出生証明書
・独身証明書(戸籍謄本アポスティーユ済み)
・慣習証明書
・婚姻及び離婚証明書(戸籍謄本と改正原戸籍アポスティーユ済み、離婚歴がある場合)
③市長との面談及び掲示
 婚姻手続を行った役所の市長との面談があります。面談では、偽装結婚ではないかチェックされます。フランスは移民が多い国なので外国人との結婚については厳しく調査されます。
 面談後、二人の結婚の事実について役所内に10日間掲示されます。異議申し立てがない場合は結婚式を挙行できます。
④結婚式
役所で結婚式を行います。市長の前で結婚を誓います。この結婚手続には、証人2人の同席が必要です。
⑤結婚証明書と家族手帳の取得
結婚式後、結婚証明書と家族手帳を取得できます。結婚証明書は日本の婚姻手続に必要となります。
⑥日本の婚姻手続在仏日本国大使館又は領事館で報告的婚姻届を行います。 日本国内の役所でも婚姻手続を行うことができますが、大使館で行う場合よりも必要書類が多くなります。大使館で婚姻手続を行う場合の必要書類は以下の通りです。
「必要書類」
・婚姻証明書(日本語翻訳文付き)
・フランス人の身分証明書(日本語翻訳文付き)
・日本人の戸籍謄本
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」  
同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  
明治大学法科大学院修了  
「専門分野」  
入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法