技術人文知識国際業務ビザの人文知識の分野で出来る仕事は何ですか?
目次
1,人文知識の分野とはどんな分野ですか?
技術人文知識国際業務ビザの人文知識とは、人文科学分野のことであり代表的なものとして法律学や政治学、経済学、会計学、経営学、商学、社会学などが当てはまります。つまり、人文知識とは文系のことで右に挙げた例に限定はされません。人文知識分野は単純労働以外の一定水準以上の専門性が求められる業務で、文系分野の業務を広くカバーしています。もっとも、特定技能制度の導入に伴い、技術人文知識国際業務ビザに求められる専門性は高くなってきています。
2,人文知識分野ではどんな仕事ができますか?
(1)要求される専門性
人文知識分野で技術人文知識国際業務ビザが許可されるためには、人文科学分野に関する一定水準以上の専門性を有していることが必要です。一定水準以上の専門性とは、文系分野に関する学問的専門知識のことで、この文系分野の学術的基礎を必要とする専門性を要求される業務に従事することが必要です。そして、申請人の有する学術的専門知識と就業予定の業務内容との間には、関連性が認められることが必要です。単純労働、例えば、仕事の求人広告で「未経験歓迎。すぐに仕事を覚えられます。」というような業務は、一定の学術的基礎を必要とする専門性がある業務とは認められません。
(2)人文知識分野の代表的な仕事
・営業 ・マーケティング ・総務 ・法務 ・人事 ・経理 ・経営企画 ・広報宣伝 ・商品開発 ・貿易 ・デザイナー など |
以下では、人文知識に係る業務のうち、注意が必要な業務を検討します。
(3)ホームページ作成
ホームページ作成を業務とする場合は、大学や専門学校で情報処理やプログラミングに係る科目を専攻している必要があります。そして、従事するホームページ作成業務は、自らがプログラムを組んでホームページを作成するといった専門性の高い業務である必要があります。(1)で検討した通り、技術人文知識国際業務ビザでは、一定の学術的基礎を必要とする専門性が認められる業務である必要があります。一般的に普及しているワードプレス等でホームページを作成する場合は、大学や専門学校で専門知識を身につけた者でなくても扱うことができると判断されます。
(4)会計業務
会計業務を行う場合には、大学や専門学校で簿記や仕訳に係る科目を専攻している必要があります。そして、従事する会計業務は簿記や仕訳といった専門知識を必要とする業務であることが必要です。単に会計ソフトに入力するだけの業務は、専門知識がない者でも行うことができると判断され、専門性が認められません。
(5)カメラマン
芸術系の大学や専門学校で撮影等の科目を専攻している場合は、技術人文知識国際業務ビザでカメラマンとして活動することも可能です。しかし、専門性が認められる為には、映画製作会社やテレビ制作会社その他新聞社などで撮影業務に従事する場合であることが必要です。イベント会場や結婚式場のカメラマンでは、専門的な技術がない者での行えると判断され専門性が認められません。
3,許可・不許可事例は何ですか?
「許可事例」 |
①マンガ・アニメーション科において,ゲーム理論,CG,プログラミング等を履修した者が,本邦のコンピュータ関連サービスを業務内容とする企業との契約に基づき,ゲーム開発業務に従事するもの。 |
②電気工学科を卒業した者が,本邦のTV・光ファイバー通信・コンピューターLAN等の電気通信設備工事等の電気工事の設計・施工を業務内容とする企業との契約に基づき,工事施工図の作成,現場職人の指揮・監督等に従事するもの。 |
③自動車整備科を卒業した者が,本邦の自動車の点検整備・配送・保管を業務内容とする企業との契約に基づき,サービスエンジニアとしてエンジンやブレーキ等自動車の基幹部分の点検・整備・分解等の業務に従事するとともに,自動車検査員としての業務に従事することとなるもの。 |
「不許可事例」 |
①情報システム工学科を卒業した者から,本邦の料理店経営を業務内容とする企業との契約に基づき,月額25万円の報酬を受けて,コンピューターによる会社の会計管理(売上,仕入,経費等),労務管理,顧客管理(予約の受付)に関する業務に従事するとして申請があったが,会計管理及び労務管理については,従業員が12名という会社の規模から,それを主たる活動として行うのに十分な業務量があるとは認められないこと,顧客管理の具体的な内容は電話での予約の受付及び帳簿への書き込みであり,当該業務は自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とするものとは認められず,「技術・人文知識・国際業務」のいずれにも当たらないことから不許可となったもの。 |
②ベンチャービジネス学科を卒業した者から,本邦のバイクの修理・改造,バイク関連の輸出入を業務内容とする企業との契約に基づき,月額19万円の報酬を受けて,バイクの修理・改造に関する業務に従事するとして申請があったが,その具体的な内容は,フレームの修理やパンクしたタイヤの付け替え等であり,当該業務は自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とするものとは認められず,「技術・人文知識・国際業務」のいずれにも当たらないため不許可となったもの。 |
③国際情報ビジネス科を卒業した者から,本邦の中古電子製品の輸出・販売等を業務内容とする企業との契約に基づき,月額18万円の報酬を受けて,電子製品のチェックと修理に関する業務に従事するとして申請があったが,その具体的な内容は,パソコン等のデータ保存,バックアップの作成,ハードウェアの部品交換等であり,当該業務は自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とするもとのは認められず,「技術・人文知識・国際業務」に該当しないため不許可となったもの。 |
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |