ワーキングホリデー(在留資格「特定活動5号、5号の2」)でも社会保険に加入しますか?
目次
1,ワーキングホリデー(ホリデービザ)とは何ですか?
ワーキングホリデー制度とは、二国間・地域間の取決め等に基づき、各々が、相手国・地域の青少年に対し、休暇目的の入国および滞在期間中における旅行・滞在資金を補うための付随的な就労を認める制度です。入管法では、在留資格「特定活動5号」や「5号の2」によって、ワーキングホリデーを目的とした在留を認めています。ホリデービザと呼ばれたりもしています。
ワーキングホリデーの制度目的は、二国間・地域間の協定に基づいて青少年の在留を認めることによる文化交流や相互理解を促進することに求められます。そのため、ホリデービザは学業・旅行・就労を含む活動を認め、ある程度自由な活動ができることに利点があります。ホリデービザには、留学ビザや短期滞在ビザのような就労制限がないため、アルバイトをすることも可能です。語学学校などに通いながらアルバイトをし、日本国内の旅行に行くことも可能です。
ホリデービザを取得することによって6月又は1年の在留が認められます。ホリデービザを取得できるのは、1度のみという限定があります。したがって、何度もホリデービザを取得して日本に在留することはできません。過去にホリデービザで来日している場合は、再度ホリデービザで来日することはできません。
2,ワーキングホリデー(ホリデービザ)で就労できますか?
ワーキングホリデー(ホリデービザ)には、就労制限がありません。もっとも、風営関係(パチンコ屋やキャバクラなど)で就労することは認められません。風営関係で就労した場合は、不法就労となり退去強制処分となる危険性があります。
留学ビザの場合は就労制限があるので、原則として就労することは認められていません。したがって、アルバイトをする場合には資格外活動許可を取得する必要があります。資格外活動許可を取得した場合には、アルバイトをすることも認められますが、認められる労働時間は週28時間までと制限されています。
一方で、ワーキングホリデー(ホリデービザ)の場合は、1日8時間週40時間の就労も可能です。ワーキングホリデー(ホリデービザ)の場合は雇用形態に関する制限もなく、アルバイト・パート・正社員・派遣社員・契約社員などの雇用形態を問いません。
3,ホリデービザでも社会保険に加入する必要がありますか?
上記2で検討した通り、ワーキングホリデーでは就労が認められています。ホリデービザで来日した場合は、認められる在留期間は最長でも1年であり、また在留期間の更新はできません。そこで、ホリデービザで就労した外国人を雇用した場合は、社会保険に加入する必要があるのかが問題となります。基本的には、雇用保険以外の社会保険は、加入する必要があります。
(1)雇用保険以外の社会保険
ワーキングホリデーで就労している外国人の場合でも、日本人と同様の社会保険の加入基準が適用されます。したがって、社会保険加入基準に該当する場合は、ホリデービザで就労している外国人でも、原則として社会保険に加入する必要があります。
社会保険には「厚生年金保険」「健康保険」「労災保険」があります。「厚生年金保険」と「健康保険」については、月の労働時間・日数が通常社員の4分の3以下であり、アルバイトやパートで就労しているホリデービザの外国人の場合は加入対象外となります。もっとも、以下の表の社会保険加入基準に該当する場合は、月の労働時間・日数が通常社員の4分の3以下の場合であっても、厚生年金保険と健康保険に加入する必要があります。
社会保険加入基準 |
・週20時間以上働いている ・1年以上の雇用期間が見込まれる ・月額賃金が8万円以上 ・学生ではない ・会社規模が501人以上の企業で働いている |
(2)社会保険協定
ホリデービザで就労している外国人の国籍国が、日本と社会保険協定を締結している場合は、社会保険料の支払いが免除される場合があります。社会保険協定とは、日本と国籍国での社会保険料の二重負担を防止するために、日本国と相手国との間で締結されている協定のことです。免除の内容については、締結されている協定により国により異なるので、確認が必要です。以下の表にある国が、日本と社会保険協定を締結している社会保険協定締結国です。
社会保険協定締結国 |
・ドイツ ・イギリス ・韓国 ・アメリカ ・ベルギー ・フランス ・カナダ ・オーストラリア ・オランダ ・チェコ ・スペイン ・アイルランド ・ブラジル ・スイス ・ハンガリー ・インド ・ルクセンブルク ・フィリピン ・スロバキア ・中国 ・フィンランド ・スウェーデン ・イタリア(協定署名済みで未発行の国) |
(3)雇用保険加入の必要はない
ホリデービザで就労している外国人の場合は、雇用保険への加入は必要とされていません。ホリデービザの主たる在留目的は「休暇」です。休暇を目的として在留が認められています。ホリデービザで認められている就労は、休暇に付随するものとして認められています。したがって、ホリデービザの外国人は、雇用保険の被保険者となりません。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |