タイ人との国際結婚はどうすれば良いですか?

1,婚姻手続は日本とタイの両国でする必要がありますか?

 配偶者ビザは、日本国法及びタイ王国法の両国の法律に基づく婚姻関係になければ、許可は下りません。日本人とタイ人が国際結婚をする為には、日本国法及びタイ王国法のそれぞれの婚姻手続を経る必要があります。

 タイは婚姻年齢について、男女ともに17歳以上と定めています。また、タイ人が20歳未満で結婚する場合は父母の同意を得る必要があります。タイの婚姻制度にも再婚禁止期間が定められており、離婚後310日間は再婚できません。日本の民法は婚姻年齢を2022年4月1日から、男女ともに18歳以上としています。また、日本の民法は再婚禁止期間(100日:女性のみ)を定めています。

 日本の婚姻手続とタイの婚姻手続のどちらを先に行うべきか、は申請人がどちらの国に在住しているかによって異なります。タイ人が既に何らかの中長期の在留資格をもって、日本に在留しているのであれば、先に日本での婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。一方で、日本人がタイに在留しているのであれば、タイで先に婚姻手続を行う方が、手間がかかりません。

2,先に日本で結婚する場合はどうしますか?

 先に日本で婚姻手続を行う場合は、以下のような流れとなります。

①タイの群役場で「婚姻要件具備証明書(独身証明書)」を取得
 日本法に基づく婚姻手続を行う場合に必要となる「婚姻要件具備証明書(独身証明書)」を取得します。現在、駐日タイ王国大使館や領事館では婚姻要件具備証明書を発行していません。よって、本人が住民登録を行っている群役場から取り寄せる必要があります。 もっとも、タイの独身証明書は「・・調査した結果〇〇群内において結婚したことがない」とだけ記載されています。この記載だけでは、日本で手続きを行う際の婚姻要件具備証明書としては不十分となり、婚姻要件具備証明書として機能しません。そこで、日本の役所は内容を補う意味で申述書の提出が求められます。

②駐日タイ王国大使館の認証
タイ外務省から認証を受けた婚姻要件具備証明書(タイ外務省認証から3か月以内)を駐日タイ王国大使館又は領事館による認証を受ける。

③日本の市区町村役場で婚姻手続
日本の市区町村役場に婚姻届を提出して手続きを行います。
「必要書類」
・婚姻届
・日本人の戸籍謄本
・タイ人の認証を受けた独身証明書(日本語訳文付き)
・タイ住居登録証
・タイ人のパスポート

④駐日タイ王国大使館で戸籍謄本の認証を受ける
まずは、婚姻の事実が記載された戸籍謄本に日本国外務省から認証をもらいます。この認証を受けた戸籍謄本を駐日タイ王国大使館へ提出します。戸籍謄本にはタイ語の翻訳文を添付してください。この戸籍謄本に駐日タイ王国大使館の認証をもらいます。

⑤タイ国内で婚姻手続
駐日タイ王国大使館で認証を受けた戸籍謄本に対するタイ外務省の認証を受けます。タイ外務省の認証を受けた戸籍謄本を、タイ人配偶者が住民登録を行っている役所に提出して、タイ国法に基づく婚姻手続を行います。 タイの婚姻手続が完了したら「家族状態登録簿」を取得してください。この家族状態登録簿とは婚姻登録証に代わるもので、配偶者ビザ申請する際に必要となります。

3,先にタイで結婚する場合はどうしますか?

 タイで先に結婚する場合は、日本人がタイに渡航する必要があります。婚姻手続には、完了まで約10日必要となります。先にタイで婚姻手続をする場合の流れは以下のようになります。

①在タイ日本国大使館で「独身証明書」及び「結婚資格宣言書」を取得
 在タイ日本国大使館で、タイ国法に基づく婚姻手続を行う為に必要な「独身証明書」及び「結婚資格宣言書」を取得します。
「日本人の必要書類」
・戸籍謄本(発効後3か月以内のもの)
  注)婚姻歴がある方は離婚事項(又は死亡事項)が記載されている前の戸籍(改製原戸籍・除籍謄本等)も必要です。
・住民票(発効後3か月以内のもの)  
  タイに居住の場合:大使館に保管されている「在留届」で現住所を確認します。  
  タイ以外の外国に居住の場合:居住国で発行される現住所が明記された「居住証明書」の提出が必要です。
・在職証明書(申請前3か月以内に作成されたもの)
・所得証明書(申請前3か月以内に取得したもの)  
  市町村役場で発行される課税証明書・納税証明書  
  タイに居住の場合は、所属先から発行された「所得証明書」
・パスポート
・証明発給申請書及び「結婚資格宣言書」作成のための質問書
 在日本タイ大使館にあります。当日記載します。
「タイ人の必要書類」
・身分証
・住居登録証
・パスポート
・婚姻歴がある場合:離婚登録証(原本及びコピー1部)
・氏名の変更がある場合:氏名変更証(原本及びコピー1部)
・婚姻歴はないが子供がいる場合:子供の出生登録証(原本及びコピー1部)

②タイ外務省の認証
在タイ日本国大使館で発行された「独身証明書」及び「結婚資格宣言書」に、タイ王国外務省領事局国籍認証課による認証をもらいます。
タイ国外務省領事局国籍認証課
所在地:バンコク群ラクシー区トゥンソンホン町ジェーンワタナ路123番
電話:0‐2203-5000・Call Center 0-2572-8442

③タイ群役場で婚姻手続
 タイ群役場で婚姻届けを提出し婚姻手続を行います。この場合、タイ外務省の認証を受けた「独身証明書」及び「結婚資格宣言書」も提出する必要があります。結婚当事者2人で手続きを行う必要があります。

④日本の婚姻手続
タイ国法に基づく婚姻手続が完了したら、日本国法に基づく婚姻手続を行います。日本の市区町村役場又は在タイ日本国大使館に婚姻届けを提出します。
「必要書類」
・婚姻届
・戸籍謄本
  注)在タイ日本国大使館の場合は、2部必要です
・タイの結婚登録証(日本語翻訳文付き)
・タイの住民登録証(日本語翻訳文付き)
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法