帰化申請に貯金額は影響しますか?

1,帰化申請では貯金通帳のコピーを提出しますか?

 帰化申請では、申請人をはじめ同居する家族全員分の預金通帳のコピーの提出が要求されます。もっとも、特別永住者の帰化申請の場合は、法務局の担当官から指示がある場合にのみ預金通帳のコピーを提出します。実際には、特別永住者が法務局の担当官から預金通帳のコピーの提出を求められることは滅多にありません。

 特別永住者を除く外国人が帰化申請する場合は、預金通帳のコピーの提出が原則として必要となります。帰化許可要件の1つに生計要件というものがあります。生計要件は、日本で安定継続的に生計を維持できることを要求しています。預金通帳のコピーの提出が要求されるのは、この生計要件との関係で申請人をはじめ同居する家族全員の資産状況を、法務局が把握するためです。

2,貯金額は帰化申請に影響しますか?

 上記の通り、帰化許可要件の1つに生計要件というものがあります。この生計要件を充足しているか否かの判断において、貯金額の多寡はほとんど影響しないと考えられています。生計要件を充足するために必要なことは、毎月安定継続的に生計を維持できる収入を得ていることです。この生計要件を充足するために必要な収入を得ているか否かは、課税証明書に記載された年収額によって判断されます。

 貯金通帳のコピーを提出することから、申請前にまとまったお金を振り込んで預金残高を増やす事例も報告されています。しかし、上記の通り預金の多寡は、帰化申請の生計要件の判断にほとんど影響しません。また、提出する預金通帳のコピーは全ての記帳ページです。したがって、出入金の記録は全て法務局に把握されることになります。一時的に預金額を増額する見せ金は通用しません。不自然なお金の動きは法務局担当官に指摘されることとなるので、控えることが望ましいと考えます。

3,どの通帳のコピーを提出すれば良いですか?

 帰化申請の際には、提出が必要な預金通帳のコピーは直近2年以内に使用した口座の通帳すべてです。3年以上お金の動きがない通帳のコピーは、提出を要求されないことが多いです。給与の振込が行われている口座、家賃や通信費の引き落としが行われている口座、その他生活費の引き落としが行われている口座の預金通帳のコピーは必ず提出しなければなりません。同居の家族の預金通帳も同様に提出する必要があります。口座の使用訳をして使用している口座が多い場合、同居の家族が多い場合は、すべての口座の全ての記帳ページをコピーする必要がるため、膨大な量となります。

 なお、帰化申請の際には、コピーを取った通帳の原本を持参する必要があります。申請の際に預金通帳の原本とコピーとの内容の整合性が確認されます。

4,どうやって預金通帳をコピーすれば良いですか?

 法務局に提出する預金通帳のコピーは、提出する預金通帳の表紙から記帳ページ全てをコピーする必要があります。各通帳毎に、すべてコピーしてください。コピーする際には、通帳を中央にとりコピーしてください。左上に併せてコピーすると見切れが生じるので、やり直しになります。必ず見切れが生じないようにコピーしてください。ネットバンキングの場合は、出入金記録を印刷して提出する必要がります。

5,申請書(生計の概要)の記載はどうすれば良いですか?

 申請書(生計の概要)は、各通帳毎に預金額を記載しなければいけません。所有している全ての口座について記載する必要があります。記載項目は、預貯金の預入先銀行名、支店名、名義人、貯金額の4点になります。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法