就労ビザを取得するための審査ポイントは何ですか?
目次
1、就労ビザの審査ポイントは何ですか?
外国人が日本で就労することが認められるためには、就労ビザ(就労が認められている在留資格)を取得する必要があります。就労ビザを取得するためには、法務大臣によって「日本に滞在することが適当である」ことが認められ、許可を得る必要があります。この許可を与えるか否かの審査基準は、申請者の活動内容、在留状況、日本に入国させて問題がないかなどを総合的に考慮し判断されます。このような就労ビザの審査において、特に抑えるべきポイントは以下の7点です。
2,①申請人の活動内容に在留資格該当性が認められること、外国人を呼び寄せるもの(招聘人)が日本国内にいること
在留資格を取得するためには、外国人が来日するための具体的な理由や目的が明確であり、在留資格の要件を充足していることを、入管庁によって認められる必要があります。外国人が日本に在留する理由や必要性が認められない場合は、就労ビザを取得することはできません。また、複数の在留資格を申請することは認められません。
就労ビザを取得するためには、外国人は日本の招聘人を通じて申請をする必要があります。招聘人がいない場合は就労ビザを取得することはできません。招聘人とは外国人を日本に呼び寄せる企業や個人を指します。この招聘人が申請書に代理人として署名し、入管庁へビザの申請を行います。行政書士などの資格者が申請する場合でも、代理人となる招聘人が日本にいない場合は申請することはできません。行政書士はビザ申請に関するアドバイスや書類の作成・提出を行うことはできますが、申請書に代理人として署名することは認められていません。
3,②申請人が就労ビザの許可要件を充足していること
就労ビザを取得するためには、許可要件を充足している必要があります。この立証責任は、申請者側にあります。具体的には、申請人が日本で行う活動に特定の在留資格該当性があること、当該在留資格の許可要件を充足していることを、書類を提出して証明していく必要があります。
入管庁のHPでは、各在留資格の申請に必要な必要書類を提示しています。しかし、入管庁に提示されている必要書類は、申請が受理されるために必須の書類です。この書類に不備がある場合は、申請は受理されません。また、申請受理に最低限必要な書類であり、この書類を提出すれば必ず許可されるわけではありません。よって、ビザを取得するためには、更に許可要件を立証するために必要な資料を提出していく必要があります。同じビザを申請する場合でも、個々人に応じてバックグランドや招聘人、活動内容の詳細は異なってきます。よって、個々の申請ごとに状況に応じた追加資料を入管から求められることもあります。この追加資料は、入管が許可要件を充足しているか否か判断するために要求されていますので、必ず提出してください。
4,③素行が善良であること
前科前歴がないことです。オーバーワークやオーバーステイなどは消極的に働きます。近年は交通違反も素行善良の判断に斟酌されます。退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けた場合は、素行善良とは認められません。
5,④独立して生計を維持できる資産・技能を有すること
申請人が、公共に負担をかけることのない資産・技能を有していること、つまり日本で安定継続的に生活できることが必要です。将来に渡って安定した生活が見込まれるか否かが審査されます。もっとも、公共の負担となっている場合でも、在留を認めるべき事由が認められる場合には、ビザを取得することができる場合もあります。
6,⑤雇用・労働条件が適切であること
企業や事業者が従業員を雇用するためには、日本人・外国人を問わず、社員・アルバイトを問わず、雇用・労働関係法規に適合している必要があります。この要件は、企業などの招聘人が充足すべき義務となります。申請者の就労開始後に労働関係法規違反により勧告等が行われたことが判明した場合でも、申請人である外国人には帰責性がないため、この点を斟酌して審査されます。
7,⑥納税義務を履行していること
納税義務のある外国人は、適切に納税義務を履行していることが必要です。高額・長期間の未納がある場合や納税義務の不履行により刑を受けている場合は、消極的に作用します。
8,⑦入管法に基づく届出義務を履行していること
在留カードを取得し中長期在留している外国人には各種の届出義務があります。具体的には、在留カード記載事項に係る届出、在留カードの有効期間更新申請、紛失等による在留カードの再交付申請、在留カードの返納、所属機関等に関する届出など、が入管法上外国人には義務付けられています。これらの義務を怠ると消極的に作用します。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |