フィリピン人との国際結婚は、どうすれば良いですか?
目次
1,婚姻手続は日本とフィリピンの両国でする必要がありますか?
配偶者ビザは、日本国法及びフィリピン国法の両国の法律に基づく婚姻関係になければ、許可は下りません。日本人とフィリピン人が国際結婚をする為には、日本国法及びフィリピン国法のそれぞれの婚姻手続を経る必要があります。フィリピンの婚姻年齢は、男女共に18歳以上となっています。これに対し、日本の民法は婚姻年齢を2022年4月1日から、男女ともに18歳以上としています。
日本の婚姻手続とフィリピンの婚姻手続のどちらを先に行うべきか、は申請人がどちらの国に在住しているかによって異なります。フィリピン人が既に何らかの中長期の在留資格をもって、日本に在留しているのであれば、先に日本での婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。日本の婚姻手続を済ませ、駐日フィリピン大使館に婚姻届を提出することによって、両国の婚姻手続を済ませたことになります。わざわざフィリピンに行く必要はありません。
フィリピン人の結婚相手がフィリピンに在住しているのであれば、先にフィリピンで婚姻手続を行うほうが、手間がかかりません。フィリピンは査証免除国ではないため、フィリピン人が日本に入国するためには、まずは査証を取得する必要があります。また、短期滞在は最大で90日しか在留が認められないため、この期間に婚姻手続を行い、ビザの取得までを済ませることは困難です。なお、短期滞在から配偶者ビザへの変更は、特段の事情がある場合を除いては認められません。よって、一度帰国する必要が生じる可能性が大きいので、日本人がフィリピンに渡航する方が手間がかかりません。
2,先に日本で結婚する場合はどうすれば良いですか?
日本法に基づく婚姻手続を先にする場合の流れは、以下の通りです。
(1)駐日フィリピン大使館で「婚姻要件具備証明書」の取得
まず、駐日フィリピン大使館で、日本法に基づく婚姻手続をする際に必要となる婚姻要件具備証明書を取得します。フィリピン大使館で書類を取得する際には、必ず婚姻当事者2人で大使館に行く必要があります。
「フィリピン人が用意する書類」
①記入済みの申請用紙(大使館HPからダウンロード可)
②有効なパスポート(原本提示並びに写し1 部)
③在留カードまたは日本での在留資格がわかるもの(原本提示並びに写し 1部)
④フィリピン外務省認証済みPSA発行の出生証明書(原本並びにコピー1部)
⑤フィリピン外務省認証済みPSA発行の独身証明書(CENOMAR)(原本並びにコピー1部)
⑥パスポートサイズの証明写真(3枚)
18歳から25歳の初婚のフィリピン国籍者の方の追加書類
⑦両親の同意宣誓供述書又は承諾宣誓書
A)18歳以上20歳以下の場合:両親の同意書
B)21歳以上25歳以下の場合:両親の承諾書
「日本人が用意する書類」
①戸籍謄本(3か月以内に発行されたもの)(原本1通並びにコピー1部)
②改正原戸籍又は除籍謄本(上記戸籍謄本に前配偶者との婚姻、離婚、死別の記載がない場合)(再婚する場合)
③有効なパスポートまたは公的な写真付き身分証明書(原本提示並びに写し 1部)
④パスポート用サイズの証明写真(3枚)
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(2)日本の市区町村役場に婚姻届の提出
以下の書類を日本の市区町村役場に提出して、婚姻手続を行います。
「フィリピン人が用意する書類」
①婚姻要件具備証明書
②PSA発行の出生証明書
「日本人が用意する書類」
①婚姻届
②戸籍謄本
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(3)駐日フィリピン大使館に婚姻の届出
駐日フィリピン大使館での申請は、結婚当事者2人が窓口にいって届け出ることが原則とされています
「必要書類」
①記入済み婚姻届申請用紙(フィリピン大使館HPからダウンロード可)
②有効なパスポート及びその写し(夫:4枚、妻:4枚)
③婚姻届の記載事項証明書(原本及び写し 4部)
④配偶者が日本国籍の場合:戸籍謄本(婚姻事項が記載されているもの)(原本及び写し 4部)
⑤婚姻届の届出遅延供述書(日本での婚姻後30日以降に、フィリピンへの婚姻届がなされる場合)
⑥パスポート用サイズの証明写真(夫:4枚、妻:4枚)
⑦返信用封筒レターパック510
3,先にフィリピンで結婚する場合は、どうすれば良いですか?
(1)日本人の「婚姻要件具備証明書」を取得
在フィリピン日本国大使館及び領事館(マニラ、セブ、タバオ)で取得できます。
「日本人が用意する書類」
①戸籍謄本(発効後3か月以内のもの)
②パスポート
③改正原戸籍又は除籍謄本 1通(発効後6か月以内のもの)
婚姻歴があり過去に離婚している場合は、「離婚証明書」を作成する必要があります。したがって、戸籍謄本(抄本)に婚姻及び婚姻解消(離婚等)の事実が記載されている必要があります。その記載がない場合は、その記載があるまで改正原戸籍又は除籍謄本を遡って取得する必要があります。
「フィリピン人が用意する書類」
①出生証明書(PSA発行のもの)
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(2)フィリピンの市区町村役場で結婚許可証(Marriage License)の取得
フィリピン人が居住する市区町村役場で結婚許可証を取得します。結婚許可証は、婚姻許可証申請者の名前等が地方民事登録官事務所に継続して10日間公示され後に発行されます。婚姻許可証は、フィリピン国内において発行後120日間は有効です。
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(3)挙式及び婚姻証明書の取得
フィリピンで婚姻が成立するためには、婚姻当事者が婚姻挙行担当官と成人2名以上の証人の前で宣誓を行い、婚姻当事者と証人が婚姻証明書に署名し、これを婚姻挙行担当官が認証する必要があります。なお、婚姻挙行担当官とは法律で定められた婚姻を挙行できる権限のある者(牧師や裁判官など)を指します。
この婚姻証明書は、婚姻後15日以内に婚姻挙行担当官から挙行地の市区町村役場に送付されます。その後、地方民事登記官により登録が行われ、この登録が行われると、フィリピンの市区町村役場で婚姻証明書の謄本を取得することができるようになります。この婚姻証明書の謄本は、日本の婚姻手続を行う際に必要となります。
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(4)日本の婚姻手続
在フィリピン日本国大使館または領事館、日本の市区町村役場に婚姻届を提出します。日本の婚姻手続は、フィリピンでの婚姻が成立した後、3か月以内に行う必要があります。在外日本国大使館で婚姻手続を行った場合は、日本の戸籍に反映されるまで、1か月半程度の期間を要します。配偶者ビザ申請を急いでいる場合は、日本の市区町村役場で婚姻手続を行う方が早いです。
「必要書類」
①婚姻届
②パスポート
③婚姻証明書(日本語翻訳文付き)
④出生証明書(日本語翻訳文付き)
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |