転職は永住申請に影響しますか?
目次
1,転職が影響する永住許可要件は何ですか?
永住申請の許可要件の1つに、独立生計要件というものがあります。独立生計要件は、日本で安定継続的に生計を維持できることを要求しています。この独立生計要件を充足するためには、年収300万円以上が1つの基準とされ、この収入は安定していることが必要です。転職は、この生計要件の「収入の安定性」の審査にかかわってくる問題となります。よって、転職していても「収入の安定性」が認められるのであれば問題ないことになります。
2,申請以前に転職している場合の注意点は何ですか?
申請以前に転職している場合、転職によって収入が減少しているのか、増加しているのかによって、審査に影響が出てきます。転職によって収入が減少している場合は、入管の審査は慎重になる可能性が高いです。転職によって収入が増加していれば、それだけで「収入の安定性」が認められるわけではありません。転職後は新たな仕事で継続して就業していけるのか、という点が問題となります。転職後1年間は、転職後の仕事を続けていけるのか、という観点から「収入の安定性」の判断は慎重に判断される可能性があります。転職している場合は、早くとも転職後1年経過した後に、永住申請を行うことが望ましいと考えます。
3,申請中に転職した場合の注意点は何ですか?
上記2と同じ理由から、「収入の安定性」という観点から、審査に影響を及ぼします。また、転職前は永住許可要件を充足していても、転職によって事情変更が生じ、永住許可要件を充足できなくなる可能性があります。申請中の転職は、永住申請の観点からプラスに働くとは考えられないので、控えることが望ましいと考えます。
永住申請の必要種類の1つに「了解書」というものがあります。これは、申請中に転職などの事情変更が生じた場合は、その旨を入管に報告することを約束する書類です。よって、申請中に転職した場合は、必ず転職した旨を入管に報告してください。この場合、転職先の職場に関する書類の提出が求められます。
4,転職回数が多い場合の注意点は何ですか?
転職回数が多い場合でも、「収入の安定性」が認められれば問題ありません。転職先の職場で仕事を継続し、安定した収入を得ていることが重要です。転職回数が多い場合は、その都度に必要な手続きを踏んでいるか、という点が重要となります。外国人が就労する場合は、入管に「所属機関等に関する届出」を行うことが法律上義務付けられています。転職した場合は、所属機関が変わったことを届け出る必要があります。また、健康保険や年金等の切り替えが適正になされているか、確定申告が必要な場合は適正に申告をしているか、という点も審査されます。これらの法律上の義務を怠っていると、不許可となる危険性が高まります。
5,転職したら不許可になりますか?
転職したら必ず永住申請が不許可になるわけではありません。ただ、上記で検討した通り、収入の面や転職のタイミング次第では、永住申請に不利益に働く可能性があることは否めません。また、現在の就労ビザでは許容されていない範囲の仕事に転職をし、保有する就労ビザで許容されていない仕事をしていた場合は、永住申請は不許可となります。このような資格外活動を防ぐためには、就労資格証明書を取得しておくことが望ましいと考えます。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |