永住申請が許可される割合は、どのくらいですか?
目次
1,永住申請は、どの程度の割合で許可されていますか?
出入国在留管理庁に申請される全ての永住申請のうち、実際に許可されているのは、およそ半分です。つまり、永住申請の許可率は約50%で、半分の申請は不許可とされています。このように永住申請は、他の在留資格と比較して、許可を取得することが難しい申請となっています。永住許可が難しい理由は、永住許可要件が厳しいことや、また永住許可要件を具備しているか否かを判断する入管の審査が厳格なことに、求められます。
2,永住申請では、どの点の審査が厳しいですか?
実務では、近年「永住申請の審査が厳しくなった」といわれています。2019年以降、永住申請の難易度が上がっています。以下では、以前と比べてどの点の審査が厳しくなっているのか検討します。
(1)生計要件の審査
永住許可要件の1つに生計要件というものがあります。この生計要件を充足するためには、安定した収入を得ていることが必要です。この生計要件の判断は、課税証明書に記載された年収によって判断されます。2019年以前は、永住申請に必要な課税証明書は直近3年分でした。2019年以降は、就労系の在留資格からの永住申請の場合は、直近5年分の課税証明書の提出を求めています。この課税証明書を提出する期間は、十分な収入を得ている必要があります。つまり、2019年以前は直近3年間生計要件を充足していればよかったのですが、2019年以降は直近5年間生計要件を充足している必要があります。生計要件を充足するためには、年収300万円が必要となります。よって、直近5年間年収300万円以上の収入を得ていることが必要となりました。
(2)納税状況の審査
永住申請では、直近5年分の住民税の納税証明書を提出必要があります。この5年間は、税金の未納がないことはもちろん、滞納があった場合も永住申請が許可されることは難しいです。近年の永住申請の場合は、既に税金を支払っている場合でも、適切な時期に支払っていたか否かについても審査されます。直近5年間に滞納があった場合は、永住申請は許可されません。会社員の場合は特別徴収によって給与から天引きされるので、問題となることが少ないです。しかし、会社員の場合でも、投資で副収入を得ていた場合や、転職期間に天引きされていない期間があった場合は、確定申告をする必要が生じます。個人事業主の方が確定申告する必要があることは言うまでもありません。このような場合に、税金の支払いを失念していた、ということがないように注意する必要があります。税金を適切な時期に支払っていたという証明は、領収書や通帳の写しなどを提出して行うことになります。
(3)年金や健康保険の支払い状況の審査
永住申請では、直近2年分の年金と健康保険料の納付を証明する書類を提出する必要がります。近年では、この直近2年間は年金や健康保険料の未納がないことはもちろん、滞納がなかったことも必要とされています。近年の永住申請では、既に年金や健康保険料を支払っている場合でも、適切な時期に支払っているか否かについても審査されるようになっています。直近2年間に年金と健康保険料の滞納があった場合は、永住申請は許可されません。会社員の場合は特別徴収によって給与から天引きされるので、問題となることが少ないです。しかし、転職期間に天引きされていない期間がある場合は、その期間は国民健康保険と国民年金を支払う必要があります。個人事業主の方も同様です。年金や健康保険を適切な時期に支払っていたという証明は、領収書や通帳の写しなどを提出して行うことになります。
(4)提出書類の追加
2021年から「了解書」という書類が、永住申請の必要書類に追加されました。「了解書」とは、審査期間中に転職や失業した場合は、直ちに入国管理局に報告することを約束することを内容とするものです。転職や失業は生計要件にかかわる事項なので、了解書を提出しなければなりません。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |