永住者が出国する際の注意点は何ですか?

1,永住権が失効する場合はありますか?

 永住権(在留資格「永住者」)は、在留期限がなく日本で永続的に生活することが認められている権利です。永住権は強力な在留資格ですが、完全無欠ではなく失効する場合もあります。永住権が失効する場合の1つとして、適切な手続きを取らずに長期間出国した場合があります。海外出張や里帰り出産その他本国に帰省する場合が、長期出国としてよくある場合です。この場合に注意を怠ると永住権が失効してしまいます。永住権が失効した場合は、一から出直しになります。つまり、新たに就労ビザや配偶者ビザを取得して入国し、永住権取得に必要な期間の在留を継続しなければいけません。苦労して取得した永住権が失効しないように、以下では出国する際の注意点を検討いたします。

2,出国する際の注意点は何ですか?

 在留資格を有する外国人が出国する場合は、適切な手続きを経て出国しない場合は、保持している在留資格は失効してしまいます。出国する際に必要な手続きは、出国期間が1年以上か1年以内かによって異なります。もっとも、一度出国した後に再入国許可の延長などはできません。よって、観光旅行程度の短期出国でない限りは、できる限り1年以上出国しても大丈夫な手続きを済ましておくことが望ましいと思います。

(1)出国期間が1年以上の場合に必要な手続

 出国期間が1年以上の場合は、出国する前に「再入国許可」を取得しておく必要があります。再入国許可を取得せずに1年以上出国した場合は、保持している在留資格は失効してしまいます。再入国許可の期限は出国から「5年」です。再入国許可には、期限内であれば出入国に制限がないものと、1回しか出入国が認められないものの2種類があります。再入国許可を取得する場合は、期限内は何回でも出入国できる許可を取得しておくことが望ましいと思います。なお、前者と後者では、手数料が異なってきます。再入国許可に必要なものは、申請書とパスポート、在留カード、手数料です。

(2)出国期間が1年以内の場合に必要な手続

 再入国許可を取得していない場合でも、出国の日から1年以内であれば再入国することが認められます。これを「みなし再入国」といいます。みなし再入国が認められる為には、出国時に記入する「再入国出入国記録」という用紙の「一時的な出国であり、再入国する予定です」という記載の欄に、チェックする必要があります。このような形で、出国する際に入国審査官に再入国する意思があり、一時的な出国であることの意思表示をしてください。なお、みなし再入国の手続きは用紙にチェックするだけなので、手数料などは必要ありません。

3,再入国許可(みなし再入国を含む)を取得しない出国や再入国期限を徒過した場合はどうなりますか?

 再入国許可(みなし再入国許可を含む)を取得しない出国や再入国期限を徒過した場合は、保有している在留資格は失効します。永住者の場合は、永住権を失います。永住権が失効した場合は、一から出直しになります。つまり、新たに就労ビザや配偶者ビザを取得して、母国の在外日本大使館で査証を取得して入国しなければなりません。そして永住権を取得する為には、原則として「引き続き10年以上」永住権取得に必要な期間の在留を継続しなければいけません。したがって、出国する際には再入国許可又はみなし再入国許可の手続きに注意を払ってください。上記のように、両手続きは難しくはありません。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法