短期滞在ビザから配偶者ビザへ変更申請できますか?

1,短期滞在ビザから配偶者ビザへ変更申請できますか?

 短期滞在ビザでは、観光や商用、親族訪問などを目的として、15日、30日、90日のいずれかの期間、外国人が日本に滞在することが認められています。短期滞在は、日本国と査証免除協定を締結している国の国籍の外国人の場合は、ノービザで来日することができます。それ以外の国の国籍の外国人は、あらかじめ母国の在外日本大使館で査証を取得する必要があります。

 この「短期滞在から配偶者ビザの変更」は、原則としては認められないこととなっています。入管法では、短期滞在から他の在留資格への変更について「やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする」と規定しています。原則としては、在留資格認定証明書交付申請をする必要があります。変更許可申請は、例外的に「やむを得ない特別の事情」が認められる場合に限られます。よって、短期滞在で日本に入国し、滞在中に婚姻手続を済ませて、配偶者ビザを取得し、そのまま帰国しないで日本に在留を継続することは、難しいことになります。しかし、まったく方法がないわけではありません。

2,「やむを得ない特別の事情」とは何ですか?

 短期滞在ビザから配偶者ビザへの変更は、原則としては認められませんが、「やむを得ない特別の事情」が認められれば、例外的に変更することが認められます。この「やむを得ない特別の事情」とは、人道上配慮すべき特別の事情がある場合のことです。そして「やむを得ない特別の事情」が認められるか否かは、様々な事情を総合的に勘案して判断されます。例えば、「外国人配偶者が妊娠しているため日本で出産を行う必要がある場合」などは「やむを得ない特別の事情」に該当します。

 上記の場合でなくても、婚姻手続を済ませた後に既に同居を伴った婚姻生活を開始しているような場合は、交渉次第で変更が認められる可能性があります。東京入管で短期滞在から配偶者ビザへ変更申請する場合には、事前の相談と交渉、文書の提出が求められます。短期滞在から配偶者ビザへ変更申請する必要性を、あらかじめ理由書等を提出して、申請を了解してもらう必要があります。このような事前の相談もなく、いきなり短期滞在から配偶者ビザへの変更申請をしても、受理してもらえない可能性があります。

3,配偶者ビザへ変更するためには、90日の短期滞在ビザが必要ですか?

 在留期間が30日以下の決定を受けている者から更新申請や変更申請があった場合は、特例期間が認められません。特例期間とは、在留期間の期限までに在留資格の更新申請や変更申請を行えば、申請の結果が出るまで若しくは二月を経過する日のいずれか早い日までの間は、申請後に在留期間の期限が到来したとしても、申請中の期間の在留はオーバーステイとはならないという特例です。よって、30日以下の短期滞在ビザの場合は、この特例期間が適用されません。

 配偶者ビザの標準的な審査期間は約2か月です。早くとも1か月程度はかかります。変更申請のための準備も、事前相談が必要となるなど時間がかかります。よって、15日や30日の短期滞在ビザを保有している外国人が、配偶者ビザへの変更申請をした場合、在留期限までに審査結果が出ることは難しいです。また、15日や30日の短期滞在ビザの場合は特例期間が適用されないため、審査期間中に期限が到来したにも関わらず、結果が出るまで日本に在留していた場合は、不法在留となってしまいます。したがって、90日の短期滞在ビザを保有していなければ変更申請できないわけではないですが、一旦帰国する必要が生じてきます。もっとも、申請人に不利益が及ばないように入管が配慮してくれる場合もあります。しかし、必ず配慮してもらえるという保証はありません。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法