帰化した後は、どんな手続きが必要ですか?

1,帰化許可が下りたら、手続きは終わりですか?

 帰化申請手続きは、かなりの時間と手間がかかります。帰化申請の準備には、膨大な資料を収集する必要があります。また、申請後の審査期間は1年程度かかります。帰化するまで大変苦労したと思いますが、残念ながらこれで終わりではありません。帰化した後に行うべき手続きも待っています。この手続きを怠ると、最悪の場合は刑罰を科され、最低でも今後の生活に不都合が生じます。以下では、帰化した後に行うべき手続きについて検討していきます。

2,帰化許可後は、どんな流れになりますか?

 帰化した後は、以下のような流れで進んでいきます。

 ①法務省の審査の後、帰化許可が下りる

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 ②官報に氏名と住所が掲載される(官報とは国が発行する機関誌です。ウェブでも閲覧可能です。)

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 ③申請人本人の下に、法務局から帰化許可の旨の連絡が来る

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 ④帰化の通知書の受領

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 ⑤法務局に出頭し「帰化者の身分証明書」を受領

3,「帰化者の身分証明書」を受領した後は、どうすれば良いですか?

 「帰化者の身分証明書」を受け取った後は、以下の2つの手続きは必ず行わなければなりません。

(1)在留カード又は特別永住者証明書の返納

 帰化した後は、日本人となったので在留カード又は特別永住者証明書は必ず返納しなければいけません。返納先は住所地を管轄する出入国在留管理局になります。郵送で返納する場合は、下記の住所地に郵送してください。

〒135-0064

東京都江東区晴海2-7-11 東京港湾合同庁舎9階

 東京入国管理局おだいば分室宛て

   注)封筒の表面に「在留カード等返納」と記入

 この在留カード又は特別永住者証明書の返納には、身分証明書の交付の日から14日以内に返納しなければならない、という返納期限があります。この返納期限までに返納がなかった場合、20万円以下の罰金又は5万円以下の過料が科されることもあります。このように罰則が定められているので、帰化した後は、真っ先に在留カード又は特別永住者証明書の返納を行ってください。

(2)住所地の市区町村役場に「帰化届け」の提出

 次に、住所登録を行っている市区町村役場に「帰化届け」の提出を必ず行ってください。帰化すれば、直ちに戸籍が編纂されるわけではありません。この「帰化届け」を提出することによって、戸籍が編纂されます。戸籍が編纂されることによって、はじめて日本国籍を取得できます。この帰化届けにも、官報の告示の日から当該日を含めて1か月以内に提出しなければならない、という提出期限があります。この期限を徒過すると罰金が科されることもあります。よって、在留カードの返納を行ったら、すぐに期限までに帰化届けを行ってください。帰化届けの提出には以下の書類が必要となります。

必要書類

・帰化届出書(日本人の配偶者がいる場合は、配偶者の署名捺印も必要)

・届出人の印鑑(日本人の配偶者がいる場合は、配偶者の印鑑も必要)

・帰化する本人の身分証明書

4,その他に必要な手続きはありますか?

  以下の手続きは必ず行わなければならない手続きではありませんが、これらの手続きを怠った場合は今後の生活に支障が出ると考えられます。

(1)国籍離脱の手続き

 日本の国籍法は重国籍を認めていません。よって、帰化が許可され日本国籍を取得した場合、母国の国籍を喪失する必要があります。この点、多くの国は外国籍を取得した場合は自国籍を当然に喪失する、としています。よって、多くの国では日本国籍を取得後遅くとも2年経過すれば母国の国籍は除籍されます。しかし、国家によって国籍に関する定めは異なるので、母国の国籍制度を把握しておく必要もあります。

  母国の国籍が除籍されるとしても、除籍されるまでは二重国籍の状態となります。この間に、前の国籍のパスポートを使用したりすると、刑事罰に科されてしまいます。このような問題を回避するためにも、日本国籍取得後は前の国籍のパスポートを返納し国籍離脱の手続きを行っておくことが望ましいと思います。

(2)日本のパスポートの取得

  前の国籍のパスポートを返納したら、日本のパスポートを取得しておくことが好ましいと思います。帰化届け後およそ1週間~2週間で戸籍が編纂されます。戸籍が編纂されると、晴れて日本人となり戸籍謄本を取得することが出来ます。戸籍謄本を取得したら、パスポートの申請をしましょう。

パスポートの申請は以下のHPを参照してください。

(3)運転免許証の本籍地や氏名の変更

 外国人であった時の身分証明書は、在留カードや特別永住者証明書になります。しかし、帰化した後は日本人となるので、上記3(1)の通り、これらは返納しなければなりません。そこで、日本人の身分証明書として一般的な、運転免許証の本籍地や氏名の記載は変更しておくことが、好ましいと思います。

(4)その他、各種の名義変更

 帰化後の生活で支障が生じないように、該当する人は以下の名義を変更しておくことが望ましいと思います。

 ・賃貸借契約・水道光熱費・携帯電話やネット環境・銀行口座・クレジットカード・会社の謄本関係・不動産の登記関係

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法