個人事業主が永住申請する場合の注意点は何ですか?

1,個人事業主が永住申請する場合の注意点は何ですか?

 個人事業主が永住申請する場合には、収入と年金・社会保険料・税金の納付に注意を払う必要があります。会社員の場合は、会社が社会保険に加入し又税金も特別徴収によって給与から天引きされるので問題となることは少ないです。これに対し個人事業主の場合は、全て自分自身で支払う必要があります。

2,収入に関し注意すべき点は何ですか?

 個人事業主の場合は、年度末の3月までに確定申告を行う必要があります。この確定申告を税務署に提出することで、その年の年収が確定します。この確定申告をしていない場合、その年は無収入となります。この場合は、永住申請することは出来ません。また、時期に遅れて確定申告をした場合は、税金を適正な時期に納付することができません。税金に滞納があった場合は永住申請が許可されることはありません。よって、後からまとめて確定申告して税金を納めたとしても永住申請は許可されません。

 永住許可要件の1つに、生計要件というものがあります。この生計要件を充足するためには、年収300万円が必要と考えられています。この生計要件の審査では、個人事業主の場合は確定申告書に記載された所得金額で判断されます。所得金額とは売上から経費を差し引いた額です。よって、実際には年収300万円以上あっても、所得金額を経費で圧縮している場合は、生計要件を充足できないことになります。所得金額を300万円は残す必要があります。例外を除き一般的な永住申請では、直近5年分の課税証明書を提出する必要があります。したがって、この課税証明書を提出する必要のある5年間は、年収300万円以上の所得金額がある必要があります。直近5年間のうち1年でも、所得金額が300万円以下の場合は、永住権を取得することは難しいと思います。

3,年金と保険料の納付に関し注意すべき点は何ですか?

 永住申請では、直近2年分の年金と社会保険料を納付していることを証明する必要があります。個人事業主の場合は、国民年金と国民健康保険に加入する必要があります。国民年金と国民健康保険を納付書で支払っている場合は、支払いをした領収書は必ず保管しておいてください。紛失した場合、再発行は難しいので直近2年分は気を付けてください。領収書の写しは、年金や社会保険料を納付していることの証明として提出することになります。口座振替で納付している場合は、口座の記録を提出してください。

 税金と同様に、年金や社会保険料は納付しているのみではなく、適正な時期に支払っている必要があります。滞納があった場合は、永住権を取得することは難しいです。納付書で納付する場合は、滞納に気を付けてください。領収書には、支払日が記載されるので、滞納がないことの証明にもなります。仮に滞納があった場合は、2年経過してから永住申請することが望ましいです。その間、滞納しないことは言うまでもありません。

4,住民税の納付に関し注意すべき点は何ですか?

 住民税の徴収方法には、普通徴収と特別徴収があります。会社員の場合は特別徴収によって、給与から税金が天引きされます。これに対し、個人事業主の場合は、納付書等で直接住民税を納付する普通徴収となります。個人事業主の場合は会社員と異なり、自動的に税金が納付されることはないため、滞納の危険があります。

 税金に未納があった場合は、永住申請が許可されることはありません。また未納にとどまらず、税金を納付していても適正な時期に納付せず滞納があった場合も、永住申請が許可されることはありません。税金の場合は、直近5年分の税金の支払い状況が審査の対象となります。よって直近5年間は、税金の未納と滞納がないことが必要です。税金の未納滞納があった場合は、5年経過してから永住申請することが望ましいです。当然、その5年間は税金を適切な時期に支払っている必要があります。税金は年金や社会保険料に比べ、審査の対象となる期間が長いので、未納滞納があった場合は、大幅に永住申請が遅れる危険性があります。税金を納付した際の領収書等の証明書類は必ず保管して注意する必要があります。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法