企業内転勤ビザとは、どんなビザでしょうか？

１，企業内転勤ビザとは何ですか？
２，企業内転勤ビザの許可要件は何でしょうか？
３，企業内転勤ビザと技術人文知識国際業務ビザの違いは何でしょうか？
４，企業内転勤ビザの「期間を定めて」とは、何年でしょうか？
５，企業内転勤とは同一企業内の異動に限られるでしょうか？

１，企業内転勤ビザとは何ですか？

　企業内転勤ビザとは、在留資格「企業内転勤」のことです。企業内転勤ビザは、企業内の人事異動により外国の事業所から日本の事業所に転勤する専門技術者を受け入れ、国際展開する企業活動に対応することを目的としています。「外国の事業所」とは、日本企業の事業所又は外資企業の事業所のどちらでも問題ありません。また、株式会社などの民間企業にとどまらず、独立行政法人等の公的法人も含まれます。

２，企業内転勤ビザの許可要件は何でしょうか？

　企業内転勤ビザを取得する為には以下の許可要件を充足する必要があります。単純労働をさせるために、企業内転勤を理由に外国人を招聘することは出来ません。

①企業内転勤ビザで日本で就労する社員の業務内容が、「技術人文知識国際業務」ビザで認められる業務内容と同じ業務内容であること。

　・「技術」に該当する業務

　　　ITエンジニア、プログラマー、機械・建築の設計者や技術者など

　・「人文知識」に該当する業務

　　　法務や財務等の管理部門、マーケティングや商品企画などの営業部門など

　・国際業務に該当する業務

　　　翻訳通訳、国際取引、英会話講師など

②「技術人文知識国際業務」に該当する業務に、外国の事業所で転勤直前に１年以上継続して従事していること

③日本人と同等以上の報酬を受けていること

３，企業内転勤ビザと技術人文知識国際業務ビザの違いは何でしょうか？

　企業内転勤ビザと技人国ビザは、認められる業務内容が共通する点をはじめ、多くの類似点があります。そこで、企業内転勤ビザと技人国ビザのどちらを取得したほうが良いのかは、人によって異なってくると思います。以下に両者の違いを挙げます。

（１）学歴要件の有無

　企業内転勤ビザのメリットは、許可要件として学歴要件が課されていない点にあります。上記２で述べ通り、企業内転勤ビザの場合は日本で従事する業務と同じ業務に、外国の事業所で直近１年以上継続して従事していれば、学歴は問題になりません。一方で、技人国ビザの場合は大学又は日本の専門学校卒業という学歴要件が課されています。

　企業内転勤ビザのデメリットは、直近１年の実務経験の証明や転勤する事業所間の資本関係を証明する必要があるので、証明に必要な書類が多くなる傾向があります。学歴要件以外の技人国ビザの許可要件にプラスした立証活動を行う必要があります。技人国ビザの許可要件を充足している場合は、技人国ビザの方が容易にビザを取得できます。

（２）他の会社への転職の可否

　企業内転勤ビザでは、「転勤した特定の事業所で活動する」ことが認められます。したがって。企業内転勤ビザでは、在留資格を変更することなく、転勤後に日本国内にある他の会社に転職することは認められません。一方で、技人国ビザの場合は、技人国ビザで許容された業務内容の範囲内では、他の会社に転職することも認めれています。

（３）他の会社への派遣の可否

　上記（２）で述べた通り、企業内転勤ビザは「転勤した特定の事業所で活動する」ことを認めています。したがって、転勤した特定の事業所から他の会社に派遣することは認められていません。一方で、技人国ビザの場合は、技人国ビザで許容された業務内容の範囲内では、他の会社に派遣することも認められます。

４，企業内転勤ビザの「期間を定めて」とは、何年でしょうか？

　企業内転勤ビザは、「期間を定めて」転勤した場合に認められる在留資格です。もっとも、この「期間を定めて」について、具体的に何年という定めは、現在はありません。かつては、「５年を超えないこと」という許可基準の定めがありました。したがって、現在は５年を超えないという要件はありませんが、「期間を定めて」を考えるにあたり、一つの考慮要素となる可能性はあります。

５，企業内転勤とは同一企業内の異動に限られるでしょうか？

　企業内転勤には同一企業の事業所間の異動に限られません。日本法人と海外現地法人間の異動や、親会社と子会社間の異動も企業内転勤には含まれます。資本関係があれば関連企業も含まれます。もっとも、何ら資本関係のない業務提携レベルの関係では、関連会社とは認められません。以下に企業内転勤の代表例を挙げます。

　・日本法人と海外現地法人間の異動

　・親会社と子会社間の異動

　・本店、支店、営業所間の異動

　・子会社間の異動

　・孫会社間の異動

　・関連会社への異動