永住申請はどんな場合に不許可になるでしょうか?
目次
1、独立生計要件を満たさない場合
永住申請の許可要件として独立生計要件があります。目安としては、世帯年収として300万円以上あることが要求されます。独立生計要件は世帯年収を基準に判断されますので、同居の配偶者の収入を考慮に入れることができます。配偶者の収入がアルバイトの場合には考慮に入れることは出来ません。
2,出国日数が多い場合
永住申請の許可要件として「引き続き」10年以上日本に在留している必要があります。「引き続き」とは在留が継続していることを意味します。10年以上在留資格を保有している場合でも、1回の出国で連続して90日以上出国している場合は「引き続き」在留しているとは認められません。また、1回の出国が90日未満であっても、年間の出国日数が150日を超えた場合「引き続き」在留しているとは認められません。この場合、引き続き10年以上のカウントはリセットされます。長期出国の時点から再度1年目から計算しなおしになります。
3,不適切な扶養をしている場合
外国人の方には、本国の親や兄弟姉妹を扶養に入れている場合があります。これが税金対策を目的としている場合は、適切な扶養とは言えません。扶養家族の数については永住申請の際に審査に影響を及ぼします。本来扶養に入れることができない親族を扶養に入れ、扶養に入れることが適切でない場合は、不適切な扶養を外していく必要があります。このような不適切な扶養をしている場合は、扶養に入れている親族の就労状況に関する証明や本国に仕送りしている証明として国際送金記録の提出を求められる場合もあります。
4,国民健康保険の未納並びに納付期限の遅滞
永住申請においては、国民健康保険の支払い状況が審査の対象とされます。会社員の場合は会社が社会保険に加入しているので問題となることは多くはありません。しかし、会社が社会保険に入っていない場合や個人事業主の場合は国民健康保険に加入する必要があります。給料から天引きされる会社員と異なり、国民健康保険は自身で支払う必要があります。国民健康保険の支払い状況は厳格に審査されます。国民健康保険に未納がある場合はもちろん、納付期限を遅滞している場合も不許可になります。支払い納付書には納付期限がありますので、注意が必要です。
5,年金の未納並びに納付期限の遅滞
年金を支払っていない場合は、永住申請が不許可になります。会社員の場合は、会社が厚生年金に加入しているため問題となることは多くありません。会社が厚生年金に加入していない場合や個人事業主の場合は国民年金に加入している必要があります。未納の場合はもちろん、納付期限までに納付している必要があります。
6,税金の未納
税金の未納場ある場合は、絶対に許可されることはありません。会社員の場合は住民税に気を付ける必要があります。会社員の場合でも、特別徴収(天引き)以外に副収入などで税金の支払いが必要な場合もありますので注意が必要です。会社経営者の場合は個人としての税金の支払だけではなく、経営している会社の法人税や消費税の支払い状況も審査の対象となりますので、未納があった場合は不許可となります。
7,交通違反が多い場合
永住許可要件には素行善良要件があります。軽微な交通違反が多い場合、素行善良であるとは認められず不許可となります。軽微な交通違反とは、駐車禁止や一時停止違反といった違反です。飲酒運転や死亡事故などの重大な交通違反は1回でアウトです。実務上は、過去5年間で5回以上の軽微な交通違反があった場合、素行善良であるとは認められなくなると考えられています。自身の交通違反の内容や回数は、運転記録証明書を取得することで確認できます。
8,配偶者がオバーワークその他資格外活動をしている場合
永住申請をする場合、申請者本人の納税証明書や課税証明書を提出して年収等を証明します。納税証明書や課税証明書は過去3年分提出する必要があります。同居の配偶者がいる場合は配偶者の納税証明書や課税証明書を提出する必要がある場合もあります。家族滞在等の就労資格のない在留資格であるにもかかわらず、高い年収が反映されている場合、資格外活動許可で認められる週28時間以上の就労が判明する場合があります。このような場合は、申請人本人が監督責任として不許可になる場合があります。
9,身元保証人が不適切な場合
永住申請においては身元保証人が要求されます。身元保証人になれるのは日本人若しくは外国人の場合は永住者である必要があります。配偶者が日本人の場合は、日本人配偶者に身元保証人になってもらいます。永住者以外の外国人は身元保証人になれません。また、身元保証人は就労しており、収入(年収300万円以上)があり、納税している必要があります。これらの証明書も提出する必要があります。身元保証人の責任は、経済面での保障と法令順守させるという内容ですが、法律的な責任ではなく道義的な責任にとどまります。なお、身元保証人代行サービスなどを提供している業者もありますが、このようなサービスを利用すると絶対に不許可となります。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |