専門学校卒業者が技術人文知識国際業務ビザを取得する場合の注意点は何でしょうか?
目次
1,「技術・人文知識・国際業務」ビザの学歴要件とは何でしょうか?
技術人文知識国際業務ビザの許可要件の1つとして、学歴要件があります。学歴要件として以下の学校を卒業している必要があります。
学歴要件
・大学(短大を含む)を卒業したもの
大学は国内外どちらの大学でも問題ありません。
・専門学校を卒業したもの
専門学校の場合は、日本国内の専門学校を卒業している必要があります。専門士の称号を取得している必要があります。
専門学校卒業者の場合、この学歴要件を充足しているとして申請します。
2,専門学校卒業者を技術人文知識国際業務で採用する際の注意点は何ですか?
専門学校卒業者は入管法が要求する学歴要件を充足していますが、日本国内の専門学校である必要があります。海外の専門学校は含みません。また、申請者は専門士の称号を取得している必要があります。よって、専門士の称号を取得できない日本語学校の卒業者は学歴要件を充足しません。下記の通り、専門学校卒業者の場合は大学卒業者と比較して、技人国ビザの審査は厳格となり、難易度が上がります。
3,専門学校卒業者の場合、専攻科目と職務内容との関連性について注意点は何ですか?
大学卒業者の場合、大学での専攻内容と職務内容との関連性は柔軟に判断されています。これに対して、専門学校卒業者の場合は専門学校での専攻内容と職務内容との関連性は、相当程度の関連性が要求されています。このように専門学校卒業者の場合は大学卒業者に比べて学校での専攻内容と職務内容の関連性が厳格に審査されています。
そこで、どの程度の関連性が要求されるかが問題となりますが、専門学校での履修科目のうち3割以上の科目が従事する予定の業務内容と関連していることが要求されることとなります。また、就学状況も審査の対象となりますので、成績や出席率が低い場合は不許可となる可能性が高まりますので注意が必要となります。
4,専門学校での履修科目の内容に関する注意点は何でしょうか?
専門学校卒業の学歴要件で技人国ビザを申請する場合、専門学校での履修科目の内容にも注意を払う必要があります。例えば、国際業務である翻訳通訳業務で技人国ビザを申請する場合で、申請人が専門学校で日本語を履修していたとします。この場合、業務として翻訳通訳に従事するので求められる日本語レベルとしてビジネスレベルが要求されます。よって、専門学校で履修した日本語の授業の内容が初級レベルであるか上級レベルであるかによって、許可不許可に影響を及ぼしてきます。もちろん日常会話レベルの日本語授業では不許可となる可能性が高まります。ビジネスレベルに対応する日本語の授業である必要があります。
5,業務量はどの程度必要でしょうか?
専門学校での専攻科目と関連性のある技術人文知識国際業務に該当する業務内容で、十分な業務量が確保されている必要があります。どの程度の業務量が必要か、が問題となりますが、1日8時間、週40時間の業務量が確保されている必要があります。
6,専門学校卒業者の許可不許可事例
許可事例
- 翻訳通訳学科において、通訳概論、言語学、通訳演習、通訳実務、通訳技法等を専攻科目として履修したものが、出版社において出版物の翻訳を行うとして申請があったもの。
- 国際教養学科において、卒業単位が70単位であるところ、経営学、経済学、会計学等のほか、日本語、英語、ビジネス文書、ビジネスコミュニケーション等文章表現等の取得単位が合計30単位認定されており、日本語能力試験N1に合格している者が、渉外調整の際の通訳を行うとして申請があったもの。
不許可事例
- CAD・IT学科において、専門科目としてCAD、コンピュータ言語、情報処理概論等を履修し、一般科目において日本語を履修したが、日本語の単位取得が、卒業単位の約2割程度しかなく、当該一般科目における日本語の授業については、留学生を対象とした日本語の基礎能力の向上を図るものであるとして、不許可となったもの。
- 国際コミュニケーション学科において、日本語の文法、通訳技法等を履修した者が、新規開拓を計画中ですとする海外事業分野において、日本語が堪能である申請人を通訳人として必要とする旨の雇用理由書が提出されたが、申請人の成績証明書及び日本語能力を示す資料を求めたところ、日本語科目全般についての成績は、すべてC判定(ABCの3段階評価の最低)であり、その他日本語能力検定等、日本語能力を示す資料の提出もないことから、適切に翻訳通訳を目的とした業務を行うものとは認められず不許可となったもの。
- 翻訳通訳学校において、日英通訳実務を履修した者が、ビル清掃会社において、留学生アルバイトに対する通訳及びマニュアルの翻訳に従事するとして申請があったが、留学生アルバイトは通常一定以上の日本語能力を有しているものであり、通訳の必要性が認められず、また、マニュアルの翻訳については常時発生する業務ではなく、通訳についても業務量が認められず不許可となったもの。
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |