インターンシップビザ(特定活動9号ビザ)とは、どんなビザでしょうか?
目次
1,インターンシップビザとは、どんなビザでしょうか?
インターンシップとは、「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」として多くの企業によって採用されています。日本の企業が、海外の大学に在籍している学生をインターンシップで招聘し、就業体験を経験させ、報酬を伴う場合は、インターンシップビザ(特定活動9号ビザ)を取得する必要があります。インターンシップと一口に言っても、報酬の有無や従事する期間によって、必要とされる在留資格は異なってきます。
報酬 | 従事する時間 | 必要な在留資格 |
あり | 1年を超えない期間 | 特定活動9号 |
無し | 90日以上 | 文化活動 |
無し | 90日以下 | 短期滞在 |
以下では、インターンシップビザと呼ばれる特定活動9号ビザについて、検討します。
2,インターシップビザ(特定活動9号)の許可要件は、何でしょうか?
①外国の大学の学生であること(卒業又は修了をした者に対して学位の授与される教育課程に在籍する者(通信による教育を行う過程に在籍する者を除く)に限る)
②教育課程の一部であること(インターンシップの終了で、単位を取得できること)
③当該大学と本邦の公私の機関との間にインターンシップに関する契約があること
④学生の大学での専攻内容とインターンシップの職務内容に関連性があること
⑤インターンシップ先から報酬を受けること
⑥機関が1年を超えないこと(通算して当該大学の就業年数の二分の一を超えない期間であること)
3,インターンシップ生を受入れるために、企業が備えるべき指導体制は何でしょうか?
インターンシップ生の受入企業は、インターンシップが「教育課程の一部」であることを十分に理解したうえでインターンシップ生を受け入れなければなりません。そのため、インターンシップ生を受け入れるに十分な実施体制を整備している必要があります。また、在留資格「特定活動」に基づくインターンシップは、報酬を受けながら長期間日本で活動することから、インターンシップ生を保護する必要があります。そこで、受入企業に実施体制があると認められるためには、以下のア~サまでの要件を充足している必要があります。
ア、受入機関がインターンシップ生を労働力確保の手段として受け入れるものでないことを十分に認識していること(「大学と本邦の公私の機関との契約」の内容により判断されます)
イ、次に掲げる事項を統括管理するインターンシップ責任者を選任していること
①外国の大学との間の契約に関すること
②インターンシップの実施計画の作成及び評価に関すること
③インターンシップ生の受入れの準備に関すること
④インターンシップ生の生活支援及び保護に関すること
⑤インターンシップ生の労働条件、安全及び衛生に関すること
⑥インターンシップ生からの相談・苦情への対応に関すること
⑦地方出入国在留管理官署及びその他の関係機関との連絡調整に関すること
⑧その他適切な支援に関すること
ウ、インターンシップを行う事業所に所属する受入機関の常勤の役員又は職員であって、インターンシップ生が従事する業務について1年以上の経験を有するインターンシップ指導員(インターンシップ責任者との兼任可)を選任していること
エ、受入機関又はその役員若しくはその職員が、インターンシップ生、技能実習生その他の外国人の受入れに関して、人権を著しく侵害する行為を行っていないこと
オ、受入機関並びにその役員、インターンシップ責任者及びインターンシップ指導員が、過去5年以内に出入国又は労働に関する法令の規定に違反していないこと
カ、受入機関において、インターンシップ生との間で、外国の大学との契約に反する内容の取り決めをしていないこと
キ、国外及び国内における費用(旅費のほか食費、住居費等の名目いかんを問わず、インターンシップの実施に関する費用)について、インターンシップ生に明示し、費用負担者及び負担金額等について合意していること
ク、インターンシップ生が行おうとする活動に係る諸条件や報酬額等をインターンシップ生に明示し、合意していること(「雇用契約書」等により確認します。)。
ケ、過去にインターンシップ生を受け入れた機関においては、過去のインターンシップが適切に実施されたものであること。仮に不適切な対応があった場合には、十分な再発防止策が講じられていること。
コ、地方出入国在留管理官署による実地調査等が行われる場合は、これに協力することとしていること。
サ、インターンシップ実施状況や評価結果に関する報告書を作成し、当該インターンシップの終了後一定期間(最低3年間)保存することとしていること。
4,インターンシップビザに関するガイドライン
受入企業の一部は不適切なインターンシップ(インターンシップを労働力確保の手段としている、十分な指導体制がない状態で多くのインターンシップ生を受け入れている等)を実施している実態もあります。このような実態を受け、出入国在留管理局は、インターンシップビザの厳格化を図り、また下記のインターンシップビザに関するガイドラインを作成しています。
インターンシップビザガイドライン
必要書類
「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |