帰化申請手続きの流れ

(1)法務局又は地方法務局に事前相談

 帰化申請の最初の一歩は、申請人本人の居住地を管轄する法務局への事前相談から始まります。帰化申請に必要な書類は、申請人の経歴や国籍、家族状況によって異なってきます。そこで、法務局に事前相談に訪問し必要書類の確認を行います。法務局の事前相談は予約制となっています。事前相談の予約は1か月、法務局によっては2か月近く待たされる場合もあります。

 法務局の事前相談では、帰化許可要件を充足しているか確認されます。申請人が日本に来日した経緯、現在の状況、在留資格、家族構成、犯罪歴の有無などが確かめられます。事前相談で帰化許可要件を充足していると判断された場合、必要書類を教えてもらえます。この要件確認は、法務局によっては事前相談のための予約の電話でなされることもあり、電話で要件を充足していないと判断された場合、事前相談を拒否されてしまいます。よって、事前相談のための予約の電話をする前に、申請人本人に帰化許可の為の要件を充足しているか確認しておく必要があります。

2)帰化申請の必要書類の収集

 法務局又は地方法務局での事前相談で教えてもらった必要書類を収集します。帰化申請に必要とされる書類は膨大な量となります。場合によっては100枚以上の書類を用意する必要があります。

 本国の証明書は、国によっては在日大使館又は領事館で収集できます。しかし、本国まで帰国しないと収集できない書類もあります。在日大使館で収集できるか、本国に帰国して収集する必要がるかは、国によって異なるので注意が必要となります。

 書類を収集できなかった場合、特段の事情(政治情勢などで本国が証明書を発行してくれない等)がない限り、必要書類の免除などはしてもらえません。また、どこで書類を収集できるかを法務局は教えてくれません。自力で集めるか、行政書士に相談して必要書類を収集する必要があります。

(3)帰化申請書類の作成

 事前相談で法務局から渡される申請書その他の必要書類に、必要事項を記入します。申請書とともに「帰化の手引き」という書類がもらえます。この手引きには、申請書の記載方法が詳しく説明されていますので参考にしてください。また、申請書その他法務局から渡される書類は手書き用です。修正液は使えないので注意してください。

 申請書のほかにも、履歴書や動機書なども作成しなければなりませんが、提出する証明書と整合性が取れるように記載内容に注意を払ってください。申請書と証明書類との間に矛盾が生じ整合性が取れない場合、不許可となる危険性が高まります。

(4)帰化申請書類一式の点検と申請受理

 必要書類を収集し申請書類その他の書類を作成したら、法務局の担当官にこれらの書類の点検をしてもらいます。この書類の点検にも予約が必要です。この点検によって提出書類に不備がないと判断されれば、通常はこの時点で申請が受理されます。もっとも、この点検によって申請が受理されたとしても、追加資料を要求される場合がほとんどです。

(5)法務局の担当官との面接

 申請受理から2~3か月後ぐらいに、法務局の担当官との面接があります。法務局から申請人本人の下に連絡がきます。面接では、法務局の調査や提出書類での疑問点、過去の経歴や現在の状況などが質問されます。質問内容は申請人によって異なってきます。客観的事実を素直に話してください。

 配偶者等の同居の親族が日本にいる場合は、配偶者など家族も面接されます。帰化申請人と配偶者は別々の部屋で面接されます。日本語を理解できない配偶者の場合、通訳者を同行させることが認められます。

(6)近隣調査・家庭訪問・職場訪問・職場調査

 法務局は帰化申請の許可不許可の判断に当たり、独自の調査を行っています。近隣調査や家庭訪問、職場訪問、職場調査をされる場合があります。法務局の担当官から勤務先や学校へ在籍を確認するために電話が来ることがあります。家庭訪問をされる場合もありますが、その場合は日時を指定されます。特別永住者は、原則として、これらを免除されています。

(7)法務省への書類送付

 帰化申請の許可不許可の決定権限者は法務大臣です。したがって、帰化許可要件を充足していると判断された場合、法務局の担当官から法務省へ関係書類が送られます。そして法務省の審査を経て、法務大臣が許可不許可を決定します。

(8)許可又は不許可の通知

 許可の場合は、官報に名前が掲載され、法務局の担当官から後日電話がかかってきます。不許可の場合は、その旨の通知がきます。申請からこの通知来るまでの期間は、早くて8か月です。多くの場合は1年又はそれ以上かかります。

(9)法務局へ出頭

 (8)の電話で指定された日時に法務局に出頭してください。法務局に行くと、帰化に必要な書類が渡されます。この渡された書類を市役所に提出すると戸籍が編纂されます。日本国籍を取得し日本人となったので、在留カードは住所地を管轄する出入国在留管理局に返却する必要があります。これをもって帰化に必要な手続きは終了となります。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法