永住許可要件の独立生計要件とは何でしょうか?

1,独立生計要件とは、どういう意味でしょうか?

 永住許可要件の1つに「独立生計要件」というものがあります。独立生計要件とは、「日常生活において公共の負担とならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること」を意味します。永住許可申請においては、要件充足性の立証責任は申請者側にあります。したがって、独立生計要件を充足していることを申請者が証明する必要があります。公共の負担となっていないことの証明が必要ですので、例えば生活保護を受けている場合は、永住許可を取得することは難しくなります。

2,「将来において安定した生活が見込まれること」とは、どういう意味でしょうか?

 「将来において安定した生活が見込まれること」と認められるためには、過去3年間にわたって世帯年収が300万円以上あるか否か、が基準とされます。永住申請の独立生計要件の判断は、世帯年収を基準に判断されます。よって、申請人本人の年収が足りない場合でも、同居の配偶者や成人した子供の年収を考慮することができます。また、専業主婦など申請人本人に収入がない場合でも、配偶者が独立生計要件の基準に達している場合には永住申請が可能となります。独立生計要件は、世帯年収で判断されるため、必ずしも申請人本人に備わっている必要はありません。

3,転職した場合に注意点はあるでしょか?

 独立生計要件は、安定した生活が見込まれることを意味します。転職間もない場合は、安定した生活が見込まれるか否かという点で、消極的に働く可能性が大きいです。転職している場合は、転職後早くても1年経過した後に、永住申請することが望ましいです。

4,会社経営者の場合に注意点はあるでしょうか?

 会社経営者の場合、独立生計要件の判断対象は、役員報酬の額となります。中小企業の経営者の場合、役員報酬は実質自身で決定しますが、永住申請する場合は、将来3年分の役員報酬の額は、毎年注意しておくと良いと思います。

 会社経営者の場合、経営する会社の決算状況も審査の対象となります。小規模事業者の場合、実質的に会社と経営者は同一ですので、会社の経営状態の安定性や継続性が、独立生計要件の判断に影響を及ぼします。経営している会社が赤字決算の場合、独立生計要件の判断に消極的に作用することとなります。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法