永住権とは、どのような権利でしょうか?

1,永住権とは何か?

 永住権とは、外国籍の方が在留活動や在留期限を制限されることなく、我が国に在留することが認められる権利のことを指します。

 日本の入管法上、永住権を取得する為には、在留資格「永住者」の申請をして許可を取得することが必要となります。

2,永住権取得にはメリットがありますか?

 入管法上、外国籍の方が在留資格を取得し、日本に在留が認められたとしても、外国籍の方は入管法の下の厳格な在留管理の下に置かれます。

 在留管理とは、取得した在留資格に適合した範囲に日本で行うことができる活動が制限される、在留資格の更新が数か月から数年ごとに求められる、といったことが具体例として挙げられます。この更新は、申請すれば必ず許可されるという保証はありません。不許可となった場合、再申請や他の在留資格への変更が必要となります。最悪これが認められなかった場合、ビザは失効し日本から出国しなければならない、という結果となります。

 永住者は在留活動及び在留期間のいずれも制限されていません。この2点において永住権は他の在留資格に比べて在留管理が緩和されています。このような優遇的な権利であるため、永住権取得に必要な手続き(在留資格「永住者」への在留資格変更)は、他の在留資格変更許可申請手続きとは独立した規定が設けられ、また他の在留資格変更許可申請に比べ慎重かつ厳格な審査がなされています。

 なお、在留資格「永住者」を取得した場合でも、以下の場合には在留資格「永住者」を喪失することになりますので注意が必要です。

・再入国許可を取得せずに日本から単純出国した場合(みなし再入国許可を含む)

 ・出国後に再入国許可の期間を徒過した場合

みなし再入国許可 

 「短期滞在」「3か月以下の在留資格」以外の在留資格を持っている外国人は、日本を出国した日から1年以内に再入国する場合には原則として通常の再入国許可の取得を不要とする制度

3,永住権取得の許可要件は、どのようなものでしょうか?

 永住権取得の為には以下の要件を充足していることが必要です。要件充足の立証責任は申請者側にあります。

  ①素行が善良であること

  ②独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

  ③日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること

  ④その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(以下のア~エ)を満たすこと)

    ア、原則として引き続き10年以上日本に在留していること。

     ただし、この期間のうち就労資格(技能実習及び特定技能1号を除く)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを       要する。

    イ、罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。

      公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。

    ウ、現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること。

    エ、公衆衛生上も観点から有害となるおそれがないこと

4,帰化と永住権との違いは何でしょうか?

「帰化」とは日本国籍を取得すること、すなわち日本人になることです。「永住者」はあくまで在留資格の一種であり国籍の変更が生じません。つまり外国人のままです。

 永住権取得のもたらすメリット

  ・在留期間の更新が不要となる

  ・就労制限(仕事の種類や就労時間)がなくなる

  ・離婚した場合、配偶者ビザの場合は在留資格変更申請が必要となるが、永住権の場合は不要

  ・他の在留資格の場合に必要とされる、入管への各種届出が不要になる

  ・事実上の効果として社会的信用が向上するため、ローンや銀行の融資が受けやすくなる。

 永住権を取得しても以下のような日本国民にのみ認められている権利は行使することは認められません

  ・国政選挙の選挙権や被選挙権

  ・国家公務員へ就労

  ・戸籍の取得

5,特別永住者とは何でしょうか?

  特別永住者はサンフランシスコ講和条約によって日本国籍を失った外国人とその子孫に認められている在留資格です。特別永住者も永住権を享受することができます。

  

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法