海外から呼び寄せる?日本で変更する?日本人の配偶者ビザ申請をタイプ別に解説

日本人の配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)は、日本で日本人パートナーと安定した生活を送るために不可欠な在留資格です。しかし、その申請手続きは複雑で、多くの書類準備や審査が伴います。

この記事では、年間数多くの在留資格申請をサポートしてきた経験豊富な行政書士が、日本人の配偶者ビザ申請について、その種類から必要書類、具体的な手続きの流れ、さらには不許可時の対応まで、網羅的に解説します。信頼できる情報に基づいて、スムーズな申請を目指しましょう。

1. 日本人の配偶者ビザ申請の前提条件と2つの申請タイプ

日本人の配偶者ビザを申請するには、まず日本と外国の双方で法律的に婚姻手続きを完了していることが大前提となります。申請時には、外国人配偶者の国籍国の機関から発行された婚姻証明書の提出が必須です。

ただし、政治情勢などのやむを得ない事情で婚姻証明書の提出が困難な場合は、その事情を詳細に説明した理由書を提出することで、申請が受理される可能性もあります。

日本人の配偶者ビザの申請は、大きく以下の2つのタイプに分けられます。

タイプ1:外国人配偶者を海外から呼び寄せる場合(在留資格認定証明書交付申請)

SNSでの出会いや海外駐在中での結婚など、外国人配偶者が海外に居住しており、これから日本へ来日する場合の申請です。

タイプ2:現在保有するビザから配偶者ビザへ変更する場合(在留資格変更許可申請)

既に就労ビザや留学ビザなど、何らかの在留資格で日本に滞在している外国人の方が、日本人と結婚した際に、現在の在留資格から配偶者ビザへ変更する場合の申請です。

2. タイプ1:外国から外国人配偶者を呼び寄せる場合の申請方法(在留資格認定証明書交付申請)

外国人配偶者を海外から日本へ呼び寄せる場合は、「在留資格認定証明書交付申請」を行います。

ステップ1:出入国在留管理庁への申請

日本人配偶者が居住する都道府県を管轄する出入国在留管理局へ、必要書類一式を提出して申請します。

ステップ2:審査期間

申請後の審査期間は、通常1か月から3か月程度です。平均的には60日程度かかるとされています。審査の過程で、入国管理局から追加資料の提出を求められることがあります。これは、申請内容が法律上の要件を満たしているかを慎重に確認するためです。追加資料の提出を求められた場合は、指定された期限内に必ず提出しましょう。

ステップ3:結果通知

審査結果は、申請時に提出した返信用封筒で郵送されます。

  • 許可の場合: 「在留資格認定証明書」が郵送されてきます。
  • 不許可の場合: 不許可理由を入国管理局で直接聞くことができます。不許可理由を正確に把握し、再申請に備えることが重要です。

ステップ4:在留資格認定証明書を海外の配偶者へ郵送

許可が下り、郵送されてきた在留資格認定証明書を、海外にいる外国人配偶者へ郵送します。

ステップ5:外国の在外日本大使館での査証(ビザ)申請

外国人配偶者自身が、自国の在外日本大使館または総領事館へ赴き、送られてきた在留資格認定証明書の写しを提出して査証(ビザ)申請を行います。無事に審査が通れば、査証が発給されます。

ステップ6:来日

取得した査証と在留資格認定証明書を持参して、日本の空港で入国審査を受け、日本への入国を果たします。

3. タイプ2:日本に在留する外国人の方と結婚する場合の申請方法(在留資格変更許可申請)

既に日本に在留している外国人の方が日本人と結婚し、在留資格を配偶者ビザへ変更する場合は、「在留資格変更許可申請」を行います。

ステップ1:出入国在留管理庁への申請

結婚し同居している都道府県を管轄する出入国在留管理局へ、必要書類一式を提出して申請します。

ステップ2:審査期間

審査期間は、こちらも「在留資格認定証明書交付申請」と同様に1か月から3か月程度、平均60日程度が目安です。審査の過程で、入国管理局から追加資料の提出を求められることがありますので、速やかに対応しましょう。

ステep3:結果通知

審査結果は、申請時に提出したハガキで郵送されます。

  • 許可の場合: ハガキに記載された必要書類を持参して入国管理局へ赴くと、「在留資格:日本人の配偶者等」と記載された新しい在留カードが交付されます。
  • 不許可の場合: 不許可理由を入国管理局で直接聞くことができます。不許可理由を詳細に把握し、再申請の準備を進めることが重要です。

申請を成功させるための重要ポイント

  • 必要書類の徹底した準備: 申請には多岐にわたる書類が必要です。一つでも不備があると審査が滞る原因となります。入国管理局のウェブサイトで最新の必要書類リストを確認し、漏れなく準備しましょう。
  • 事実婚の証明(該当する場合): 申請には法律上の婚姻が前提ですが、申請までに事実婚期間がある場合、その期間の同居や経済的な支え合いなどを証明する資料(住民票、公共料金の請求書など)を提出することで、真の婚姻関係であることをより明確に示せます。
  • 安定した生計の証明: 日本人配偶者または外国人配偶者の収入、預貯金など、日本で安定した生活を送れる経済力があることを証明する書類(課税証明書、納税証明書、預金残高証明書など)は非常に重要です。
  • 質問書への丁寧な回答: 申請時には、お二人の出会いや結婚に至る経緯、今後の生活設計などを記載する質問書が提出されます。具体的なエピソードを交え、真実に基づいて丁寧に記述することで、より信頼性が高まります。
  • 専門家(行政書士)への相談: 複雑な申請手続きに不安を感じる場合は、入管業務を専門とする行政書士に相談することをお勧めします。書類作成のサポートから入国管理局とのやり取りまで、経験豊富な専門家が申請をスムーズに進めるための適切なアドバイスを提供します。

まとめ

日本人の配偶者ビザの申請は、慎重かつ正確な手続きが求められます。この記事で解説したポイントを参考に、ご自身の状況に合わせて適切な申請タイプを選択し、必要書類を漏れなく準備しましょう。万が一不許可となった場合でも、理由をしっかりと把握し、再申請に向けた対策を講じることが大切です。

配偶者ビザの取得は、お二人の新しい生活の始まりを意味します。適切な準備と理解をもって、この重要な手続きを進めてください。ご不明な点があれば、お気軽に行政書士などの専門家にご相談ください。

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「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法

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