技術人文知識国際業務で要求される学歴要件とは何でしょうか?

1,学歴要件として、どの様な学校を卒業していれば良いのでしょうか?

 日本で就労している外国人の多くの方が取得しているビザが、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)です。就労ビザを取得するための許可要件の1つとして、入管法の定める学歴要件を充足することが必要となります。以下では、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)の学歴要件を検討していきます。

学歴要件

 ・大学(短大、大学院を含む)を卒業したもの

  大学は日本の大学、海外の大学を問いません

 ・専門学校を卒業したもの

  専門学校の場合は、日本国内の専門学校である必要があり専門士の称号を取得している必要があります。

2,大学(専門学校)での専攻科目と業務との間に関連性は必要でしょうか?

 卒業した大学(専門学校)での専攻科目と就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)との間の関係性について検討します。

 法務省令で定める上陸許可基準に適合していること(従事しようとする業務に必要な技術又は知識に関連する科目を専攻して卒業していること、従事しようとする業務に必要な技術又は知識に係る科目を専攻していること)が原則となります。したがって、大学・専門学校において専攻した科目と従事しようとする業務との間に関連性があることが必要となります。

3,大学(高等専門学校を含む)を卒業の場合、専攻科目と業務との間の関連性はどの程度必要でしょうか?

 就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)を取得する際に審査の対象となる、大学で専攻した科目と従事しようとする業務との間の関連性の判断において、大学卒業者の場合はこの関連性が緩やかに審査されています。 その理由として入管は下記のように説明しています。

 大学は,学術の中心として,広く知識を授けるとともに,深く専門の学芸を教授研究し,知的,道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とし,また,その目的を実現するための教育研究を行い,その成果を広く社会に提供することにより,社会の発展に寄与するとされており(学校教育法第83条第1項,第2項),このような教育機関としての大学の性格を踏まえ,大学における専攻科目と従事しようとする業務の関連性については,従来より柔軟に判断しています(海外の大学についてもこれに準じた判断をしています。)。また,高等専門学校は,一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により,技術者に必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につける機関であるとされており,大学と同様,その目的を実現するための教育を行い,その成果を広く社会に提供することにより,社会の発展に寄与するものとするものとされている(同法第105条第2項)ことから,大学に準じた判断をしています。

4,専門学校卒業者の場合、専攻科目と業務との間の関連性はどの程度必要でしょうか?

 専門学校卒業者の場合は学校での専攻科目と従事しようとする業務との間の関連性は大学と比較して厳格に審査されます。その理由として入管は以下のように説明しています。

専修学校は,職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し,又は教養の向上を図ることを目的とするとされている(同法第124条)ことから,専修学校における専攻科目と従事しようとする業務については,相当程度の関連性を必要とします。ただし,直接「専攻」したとは認められないような場合でも,履修内容全体を見て,従事しようとする業務に係る知識を習得したと認められるような場合においては,総合的に判断した上で許否の判断を行っているほか,関連性が認められた業務に3年程度従事した者については,その後に従事しようとする業務との関連性については,柔軟に判断します。

5,大学を卒業したほうが有利でしょうか?

上記検討した通り、大学卒業者のほうが学校で専攻科目と従事しようとする業務の間の関連性は緩やかに審査されます。したがって、就労ビザを取得するに当たっての難易度は、専門学校卒業者のほうが難しくなります。就労ビザを取得するに当たっての難易度は、大学卒業者のほうが低いため、大学を卒業するメリットは大きいと思われます。

「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了  
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法