育成就労法における育成就労外国人の保護とは?制度の仕組みと企業が守るべきポイントを徹底解説

はじめに

2024年の入管法改正により、従来の技能実習制度は発展的に解消され、新たに育成就労制度が創設されました。
この制度は、日本の人手不足分野において外国人材を育成しながら受け入れる仕組みですが、同時に外国人労働者の人権保護の強化が制度の大きな柱となっています。

実際、これまでの技能実習制度では、

  • 低賃金
  • パスポートの取り上げ
  • 違約金契約
  • 暴力・脅迫

などの問題が社会問題化していました。

こうした問題を解決するため、育成就労法では外国人の保護規定が大幅に強化されています。

この記事では、育成就労制度における育成就労外国人の保護制度の内容・企業の義務・違反した場合のリスクについて、実務の観点から詳しく解説します。


育成就労制度とは

育成就労制度は、日本の人手不足分野において外国人材を受け入れ、3年間の就労を通じて特定技能レベルの人材を育成する制度です。

この制度の目的は次の2つです。

  • 人手不足分野の人材確保
  • 外国人材の技能育成

制度は技能実習制度の問題点を踏まえ、
労働者としての権利保護を重視した制度設計となっています。


育成就労外国人の保護制度とは

育成就労法では、外国人労働者の人権を守るため、以下のような保護制度が設けられています。

主な保護制度

  1. 強制労働の禁止
  2. 違約金契約の禁止
  3. パスポート・在留カードの保管禁止
  4. 行政への申告制度
  5. 転籍制度による救済
  6. 監理支援機関による監督

これらにより、外国人労働者が不当な扱いを受けない仕組みが整備されています。


① 暴力・脅迫・監禁による強制労働の禁止

育成就労法では、企業が外国人に対して

  • 暴力
  • 脅迫
  • 監禁

などによって就労を強制することを明確に禁止しています。

これは、いわゆる強制労働の禁止規定です。

もし企業が以下のような行為を行った場合、刑事罰の対象となる可能性があります。

  • 辞めたいと言ったら暴力を振るう
  • 退職を認めない
  • 外出を制限する
  • 帰国を妨害する

育成就労制度では、外国人も日本人と同様に労働者としての権利が保護されます。


② 違約金契約の禁止

育成就労制度では、外国人に対して以下のような契約を結ぶことは禁止されています。

違法となる契約例

  • 途中退職したら違約金100万円
  • 3年間辞めない保証金
  • 逃げたら家族が罰金

これは技能実習制度で問題になった保証金・違約金制度の防止のためです。

外国人労働者の自由な転職や退職を妨げる契約は、
すべて無効となります。


③ パスポート・在留カードの保管禁止

育成就労制度では、企業が外国人の

  • パスポート
  • 在留カード

を預かることは禁止されています。

技能実習制度では、

「逃亡防止」

を理由にパスポートを取り上げるケースがありました。

しかしこれは重大な人権侵害とされ、育成就労制度では明確に禁止されています。


④ 行政への申告制度

育成就労外国人は、企業や監理支援機関が法令違反をしている場合、行政に申告することができます。

申告先

  • 出入国在留管理庁
  • 厚生労働省

例えば以下のようなケースです。

申告例

  • 残業代未払い
  • 暴力
  • パスポート取り上げ
  • 契約違反

申告を受けた行政機関は、

  • 調査
  • 指導
  • 行政処分

などを行います。


⑤ 転籍制度による保護

育成就労制度では、一定条件のもとで**転籍(転職)**が認められています。

転籍が認められる主なケース

  • 人権侵害
  • 賃金未払い
  • 企業の倒産
  • ハラスメント

これにより外国人がブラック企業から離れることが可能になります。

技能実習制度では転職がほぼ認められていなかったため、
大きな制度改革といえます。

また、転籍支援は外国人育成就労機構が中心となって行います。


⑥ 監理支援機関による監督

監理型育成就労では、監理支援機関が企業を監督します。

主な役割

  • 定期監査
  • 外国人からの相談対応
  • 労働条件の確認
  • 問題発生時の対応

監理支援機関は3か月に1回以上の監査を行う必要があります。

これにより、企業の不正行為を防止する仕組みが整備されています。


育成就労外国人保護のための企業の義務

企業(育成就労実施者)は、以下の義務を負います。

主な義務

  • 労働法令の遵守
  • 適正賃金の支払い
  • 生活相談体制の整備
  • 日本語教育支援
  • 住居の確保

これらはすべて育成就労計画の認定要件となっています。

つまり、これらを満たさなければ外国人の受入れはできません。


違反した場合の行政処分

企業や監理支援機関が法律違反をした場合、次の処分があります。

主な処分

  • 改善命令
  • 育成就労計画の認定取消
  • 監理支援機関の許可取消
  • 刑事罰

認定が取消されると

  • 外国人受入れ不可
  • 転籍対応
  • 企業の信用失墜

など重大な影響があります。


よくある質問(Q&A)

Q1 育成就労外国人は転職できますか?

一定条件のもとで転籍が可能です。
特に人権侵害や企業の事情がある場合は転籍が認められます。


Q2 外国人のパスポートを会社が保管してもいいですか?

できません。
育成就労法では旅券・在留カードの保管は禁止されています。


Q3 違約金契約は有効ですか?

無効です。
途中退職時の違約金などは法律で禁止されています。


Q4 外国人は行政に通報できますか?

できます。
出入国在留管理庁や厚生労働省に申告する制度があります。


まとめ

育成就労制度では、外国人労働者の保護が制度の中心となっています。

特に重要なポイントは以下のとおりです。

・強制労働の禁止
・違約金契約の禁止
・パスポート保管の禁止
・行政への申告制度
・転籍制度の導入
・監理支援機関の監督

企業にとっては、単に外国人を雇用するだけではなく、労働者として適切に保護する責任が求められます。

今後、外国人雇用はますます重要になりますが、制度を正しく理解し、適正な受入れを行うことが企業の信頼性向上にもつながります。

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参考リンク

 
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法

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