短期滞在ビザ180日ルールの制度趣旨と入管実務上の判断基準


1. 短期滞在ビザとは

短期滞在ビザ(Temporary Visitor Visa) は、日本への訪問を目的として設けられた在留資格の一つで、「旅行/商用/親族訪問/短期研修等のための短期間滞在」 を許可する制度です。
外務省の説明にもあるように、収入を得る活動や日本国内に生活基盤を置く活動は認められていません。


2. 短期滞在ビザの在留期間(基本ルール)

短期滞在ビザで許される在留期間は以下の通りです:

在留期間主な代表例
15日以内ごく短期の旅行・親族訪問
30日以内商用・講演・会議参加
90日以内一般的な短期研修

上記いずれかの期間が個別に指定されます。


3. 180日ルールの概要

実務上、入国管理局や在外公館では、短期滞在ビザでの合計滞在日数が「年間で180日」を超えることを原則認めないという運用がされています。この運用概念がいわゆる 「180日ルール」 です。

  • 年間180日以内:短期滞在ビザでOK
  • 年間180日超:原則として認められない(中長期滞在と判断)

※この180日ルールは法律で明文化された条文そのものではなく、運用上の基準・実務上のガイドラインとして扱われています。


4. 180日ルールの制度趣旨(なぜ設けられているのか)

① 「短期滞在」の定義を明確化するため

短期滞在ビザは、あくまでも 一時的な訪問・滞在を許可する制度 です。
入管法上も、短期滞在は「生活の本拠が日本国内にないこと」を前提としています。

したがって、

年間で180日以上の滞在は、「短期滞在」とは言えない

という考え方が根底にあります。


② 滞在の実態が観光・短期用かを判断するため

  • 90日程度の滞在なら観光や商用目的として理解しやすい
  • 180日を超える滞在は、生活基盤を日本に置いて事実上長期滞在している可能性が高い

とも判断されます。

入管としても、このような長期滞在が認められると、滞在目的が曖昧になり、就労の機会が増える可能性も生まれてしまいます。これは短期滞在ビザの趣旨に反します。


③ 不正行為や制度悪用を防止するため

180日ルールは、日本での事実上の長期滞在を短期の出入国で偽装するような制度の悪用を防ぐという側面もあります。
短期滞在ビザは就労不可のため、頻回な出入国で長期滞在している場合、就労目的でなくても「生活基盤を日本へ移す意図」があるとみなされる可能性があります。


5. 180日ルールの計算方法

180日ルールの計算は特定の年(2025年のカレンダー年など)ではなく「直近1年間(過去365日)」 の合計滞在日数で判断されます。

例:直近1年間での合計日数の計算

例えば:

  • 12月31日に日本を出国した場合
  • 12ヶ月前(前の年1月1日)〜 12月31日までの 1年間で合計滞在日数が180日を超えていれば、再入国が制限され得る

つまり、
常に直近365日間の滞在日数合計でカウントする という考え方です。


6. 例解:180日ルールの適用イメージ

入国日出国日滞在日数
2025/1/12025/3/3190日滞在
2025/6/12025/8/3090日滞在

この2回で 合計180日 となります。
その後に同じ年に再入国しようとすると、過去365日の合計滞在日数が180日を超過してしまいますから、再入国審査で許可されない可能性があります。


7. よくある質問(Q&A)

Q1. 「180日を超えたら絶対に入国できない?」

A: 法令上の確定した条文ではありませんが、実務上は原則として認められない判断基準です。ただし、特別な事情(医療・家族看護等)がある場合は個別審査されることもあります。


Q2. 「180日ルール」はビザの種類に書かれているの?

A: 入管法の条文に明記された法律用語ではなく、運用上の基準 として実務的に扱われています。


Q3. 「ビザなし渡航(免除国)」でも適用される?

A: はい。短期滞在でも同じ180日ルールの運用対象になります。


Q4. 「6ヶ月ビザ」なら問題ない?

A: 一部国籍で6ヶ月の短期滞在が認められるケースがありますが、やはり年間180日超の滞在は禁止という運用に変わりはありません。


8. まとめ(ポイント総まとめ)

  • 短期滞在ビザは短期訪問用のビザであり、その趣旨は「一時的な滞在」であること。
  • 年間180日を超える滞在は短期滞在の趣旨に反するため原則認められない。
  • 180日ルールは法令ではなく運用の基準であり、直近1年間の滞在日数合計で判断される。
  • 例外的事情がある場合、個別判断されることもある。

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参考リンク

  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
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 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法

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