企業内転勤ビザ|本国通貨による給与支払と為替レートの考え方を徹底解説
目次
はじめに
企業内転勤ビザ(在留資格「企業内転勤」)を利用して外国人社員を日本へ受け入れる際、
「給与は本国通貨で支払ってもよいのか」
「為替レートはどの時点のものを使うのか」
といった疑問を持つ企業担当者は少なくありません。
特に近年は、
- 本国法人が給与を支払い続けるケース
- 日本法人と本国法人の双方から給与が支払われるケース
- 為替変動が大きく、生活水準への影響が懸念されるケース
など、実務が複雑化しています。
本記事では、出入国在留管理庁(入管庁)の公式見解を踏まえながら、
企業内転勤ビザにおける
- 本国通貨での給与支払いの可否
- 為替レートの考え方
- 入管審査で注意すべきポイント
- 実務上のリスクと対策
を専門家視点でわかりやすく解説します。
企業内転勤ビザとは?
企業内転勤ビザ(在留資格「企業内転勤」)とは、
外国の事業所から日本の事業所へ一定期間転勤し、業務に従事する外国人のための就労ビザです。
対象となる主な業務内容
- 技術
- 人文知識
- 国際業務
※実務内容は「技術・人文知識・国際業務」と同水準である必要があります。
出入国在留管理庁:在留資格「企業内転勤」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/intracompanytransfee.html
本国通貨による給与支払いは認められる?
結論:条件付きで「可能」
企業内転勤ビザでは、
給与を日本円ではなく、本国通貨で支払うこと自体は認められています。
実際、入管庁も以下のような運用をしています。
外国の事業所からの給与支払いであっても、
日本で従事する活動内容・報酬額が適正であれば差し支えない。
つまり、通貨の種類そのものは問題になりません。
入管審査で最も重視される「報酬額の考え方」
日本人と同等以上の報酬が原則
重要なのは、
「日本円換算で、日本人社員と同等以上の報酬水準かどうか」
という点です。
チェックされるポイント
- 日本円換算後の月額・年額給与
- 同種業務に従事する日本人社員との比較
- 生活費を賄える水準か
- 為替変動による大幅な減少がないか
単に本国での給与が高いだけでは不十分で、日本での生活水準を基準に判断されます。
為替レートはいつのものを使う?
原則:申請時点の合理的な為替レート
入管実務では、
申請時点または直近の平均的な為替レートを用いて日本円換算を行います。
実務でよく使われる方法
- 申請月の銀行公表レート
- 過去数か月の平均レート
- 外為公表データ(信頼性の高い資料)
ポイント
極端に有利なレートを恣意的に使うと、
「報酬額の信頼性が低い」と判断される可能性があります。
為替変動が大きい場合の注意点
為替リスクは企業側の管理責任
為替変動により、日本円換算後の給与が大幅に下がると、
以下のようなリスクが生じます。
- 入管からの追加資料要請
- 更新時の不許可リスク
- 「安定的・継続的な報酬」と認められない
対策例
- 最低保証額を日本円で明示
- 為替変動時の補填ルールを就業条件説明書に記載
- 日本法人から一部手当を支給
本国法人・日本法人どちらが支払うべき?
どちらでも可(実態重視)
給与の支払元は、
- 本国法人
- 日本法人
- 両方
いずれでも構いません。
ただし、以下の点は明確にする必要があります。
- 雇用関係の所在
- 指揮命令系統
- 支給額・支給方法
- 税務・社会保険の取扱い
税金・社会保険との関係にも注意
日本での課税が原則
給与を本国通貨で受け取っていても、
日本で勤務している以上、日本での課税対象となるケースがほとんどです。
関連する実務論点
- 所得税(源泉徴収)
- 住民税
- 社会保険加入義務
よくあるQ&A(企業内転勤ビザ×本国通貨)
Q1. 給与の全額を本国通貨で支払っても問題ありませんか?
A. 問題ありません。ただし、日本円換算で日本人と同等以上の報酬水準であることが必要です。
Q2. 為替が円高になり、実質給与が下がった場合は?
A. 更新時に不利になる可能性があります。最低保証額の設定などの対策が重要です。
Q3. 入管に提出する為替資料は必要ですか?
A. 必須ではありませんが、説明資料として提出すると審査がスムーズになります。
Q4. 本国と日本の二重課税はどうなりますか?
A. 租税条約の適用可否を確認する必要があります。税理士等への相談が推奨されます。
まとめ|本国通貨支払いは「説明力」がカギ
企業内転勤ビザにおいて、
本国通貨による給与支払い自体は合法かつ一般的です。
しかし、
- 日本円換算での報酬水準
- 為替変動への対応
- 書類上の説明の一貫性
が不十分だと、
不許可・更新トラブルの原因になりかねません。
特に近年は、
「形式」よりも「実態」を重視する審査傾向が強まっています。
企業内転勤ビザを安全・確実に運用するためにも、
入管実務に精通した専門家のサポートを受けることを強くおすすめします。
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参考リンク
![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |
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