永住申請中の在留資格変更は可能?手続き・審査への影響を専門家が解説

【完全ガイド】手続き・リスク・申請タイミングと注意点

日本で永住権を目指す外国人にとって、永住許可申請(永住ビザ申請)は人生の一大イベントです。しかし、その申請中に現在の在留資格(ビザ)を変更したいケース は少なくありません。
例えば以下のようなケースです:

  • 転職してビザの種類を変える必要が生じた
  • より安定したビザに変更して永住申請の審査に備えたい
  • 婚姻や離婚で在留資格が変わる
  • 現在の在留期間の期限が迫っている

結論から言うと、

永住申請中に在留資格を変更すること自体は可能ですが、手続き・報告義務・審査影響・不法滞在リスクを正しく理解しておく必要があります。
これは 永住申請手続きとは別個の在留資格変更申請手続が必要 だからです。なお永住申請手続の詳細については法務省HPも参考にしてください。


1. 永住申請と在留資格変更とは?

まず前提として、永住許可申請(永住申請)と在留資格変更申請は別の手続き です。
永住申請は「現在の資格から永住者へ変更・取得を希望する」申請で、専用の申請書・証明資料を出入国在留管理庁に提出します。

一方、在留資格変更申請 とは、たとえば

  • 技術・人文知識・国際業務 → 経営・管理
  • 学生 → 技術・人文知識・国際業務
    などのように、現在の在留資格から別の在留資格に変えたいときに必要な申請です。

2. 永住申請中に在留資格変更が可能な理由

冒頭の結論でも述べた通り、永住申請と在留資格変更は別の制度なので、

永住申請の審査が進行中でも
➡ 同時に在留資格変更許可申請を行うことは可能です。

しかし 申請すれば自動で許可されるわけではなく、変更の可否は審査によって判断 されます。また、審査官は申請中である永住申請の内容や状況変化を考慮して審査結果を出すことがあります。
※具体的なケースでの影響は後述します。


3. 永住申請中に在留資格変更するメリット・デメリット

メリット

  • 自分の状況に合ったビザへ変更できる
    → 経営管理ビザに変更し事業を行いながら永住審査に臨む
  • 転職や結婚といったライフイベントに対応できる
  • より安定した在留資格で永住審査の補強につながる場合もある

デメリット(注意点)

  • 在留資格変更審査が永住審査に影響する可能性
    → 収入・就労状況・職歴の安定性が評価に影響する場合あり
  • 永住申請中でも現在の資格の期限は止まらない
    → 在留期限が切れる場合には別途 在留期間更新許可申請が必要
  • 在留資格変更が不許可になると永住申請にも悪影響が出る場合あり
    → 審査官に「安定性に欠ける」と判断されるケースもある

4. 永住申請と在留期間更新との関係(重要)

永住申請中は、永住申請だけでは在留期間が自動で延長されるわけではありません
永住申請しても 現在の在留資格の期限は変わらない ので、期限が来る前に

在留期間更新許可申請
を行わないと

オーバーステイ(不法滞在)になります。 c

これは永住申請中であっても適用され、永住申請には在留期間更新の「特例期間」がありません。

つまり永住申請中に在留資格を変更するのであれば、それぞれの申請を適切な時期に提出する必要があります。


5. 審査への影響と審査官が注視するポイント

永住申請の審査において、入管は主に以下の観点を確認します:

主な審査ポイント

  • 素行が善良であるか
  • 十分な日本での在留期間があるか
  • 現在の在留資格を正当に行使しているか
  • 公衆衛生上の問題がないか等

在留資格変更による審査上の影響例

在留資格変更ケース永住審査上の考え方
転職・退職安定性がないと評価される場合あり
報告と説明が必要
雇用条件が悪化収入・社会保険加入状況が審査で注視される
学校卒業 → 就労ビザ就労状況の安定性が審査で重視される

特に 収入面・社会保険加入・継続就労の安定性 は永住審査において重視される可能性があります。また、審査担当官は永住申請中に状況が変わった際に、資料追加を求めたり、面談をする場合があります。


6. よくあるケース別の対応方法

以下は永住申請中に起こりやすいケース の例と対応方法です。

ケース①:転職して在留資格を変更したい

  • 在留資格変更許可申請を行う
  • 現在の永住申請の審査官にも状況を報告する
  • 転職後も安定した収入・職歴を示せる資料を準備することが望ましい

※ 転職後すぐに永住申請をしてしまうと「安定性不足」と評価される場合がありますが、転職自体は審査上 否定理由には必ずしもならない とされています。


ケース②:婚姻・離婚で在留資格が変わる

・ 婚姻に伴って「日本人の配偶者等」などに変更する場合
→ 新しい在留資格で安定した生活基盤を示すことが重要
・ 離婚で配偶者ビザの資格要件を満たさなくなる場合
→「定住者」等への変更が必要になることも

この場合も在留資格変更と永住申請の進捗を整理して、どちらも期限内に正しく申請することが重要です。


ケース③:在留資格の期限切れ・オーバーステイのリスク

永住申請中に在留資格の期限が来た場合、永住申請とは別に

在留期間更新許可申請を提出
しなければなりません。これを失念すると オーバーステイ(不法滞在) となり、永住申請に重大な悪影響が出ます。


7. 永住申請中の在留資格変更Q&A

Q1:永住申請中でも在留資格変更申請はできますか?
A:はい可能です。在留資格変更申請は永住申請とは別の手続きで、同時または順次に提出できます。ただし審査結果は別個に判断されます。


Q2:在留資格変更が不許可になった場合、永住申請はどうなりますか?
A:在留資格変更の不許可自体が永住申請を直ちに取り消すわけではありませんが、永住申請審査官にとって「安定性に欠ける」と評価され、永住申請にも悪影響を及ぼす可能性があります。


Q3:永住申請中に期限が切れる場合はどうすれば良いですか?
A:永住申請中でも別途 在留期間更新許可申請 をする必要があります。申請せず期限を過ぎると不法滞在になります。


Q4:転職すると永住申請に不利になりますか?
A:転職自体は必ずしも不利にはなりませんが、収入や社会保険加入などの安定性が評価されるため、それらの状況を審査官に説明できる資料を用意することが重要です。


8. まとめ

永住申請中に在留資格を変更することは技術上は可能ですが、

  • 永住申請とは別で在留資格変更申請が必要
  • 在留期間更新は永住申請とは別に必須
  • 変更理由や安定性は永住審査に影響する可能性あり

という点はしっかり理解しておきましょう。

人生の大きな決断である永住権申請を成功させるには、タイミング・資料の準備・日々の生活状況の整備 がカギになります。また不安な場合は行政書士・専門家に相談することをおすすめします。


関連記事・参考リンク

関連記事:

参考リンク

  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法

無料相談

まずは、無料相談に、お気軽にお申込み下さい。ご相談の申し込みは、「お問い合わせページ」から承っております。なお、無料相談は事前予約制とさせて頂いています。

お問い合わせ