家族滞在ビザの就労歴は永住審査で不利?資格外活動許可との関係を専門家が解説
目次
日本で永住ビザを申請する際の重要ポイント
日本で「永住ビザ(永住許可)」を申請する上で、在留資格の種類やその活動内容は非常に重要な審査要素になります。特に 家族滞在ビザ の方が 働いていた場合、審査への影響や対策について整理して解説します。
永住権申請全般の手続きについては、法務省(出入国在留管理庁)の公式ページをまずご確認ください:
永住許可申請手続(出入国在留管理庁)
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-4.html?utm_source=chatgpt.com
1. 家族滞在ビザとは?
「家族滞在ビザ」とは、主に日本で就労・留学する外国人の 配偶者や子どもが同行・居住するための在留資格 です。この在留資格は、日本にいる扶養者(主たる在留資格保持者)の生活を支えるために付与されます。
特徴
- 扶養者が仕事をしていることを前提に付与される
- 自動的に就労できない(※就労には別途許可が必要)
- 扶養者の在留資格に紐づく形で在留が認められる
つまり、 家族滞在ビザ自体は日本で自由に働けるビザではありません。
働く場合は「資格外活動許可(アルバイト許可など)」を取得する必要があります。
2. 「家族滞在ビザ」で働く場合とは?
資格外活動許可が必要
家族滞在の方が働くには、入管に 資格外活動許可(給与を得る活動の許可) を申請しなければいけません。申請を行い許可されると、週に一定時間(通常は28時間以内)のアルバイトが可能になります。
※ 資格外活動許可がない状態で働くと、「不法就労」とみなされ、日本滞在や永住申請に大きなマイナスとなります。
3. 永住申請における審査基準(基本)
永住許可申請の審査は、単に滞在期間だけではなく、以下のポイントを総合的に判断します:
- 素行が善良であること(犯罪歴や違反がない)
- 生活基盤の安定性(収入・納税・社会保険加入)
- 継続的な在留期間(一般的には10年程度)
- 国益適合性(日本の社会的利益に適合しているか)
4. 家族滞在ビザで働いていた場合の永住申請への影響
結論から言うと:
「家族滞在ビザ」で働いていたことそのものが、自動的に永住申請を否定する要因になるわけではありません。
ただし、適切な許可を得ていない「不法就労」は審査で強いマイナス評価になります。
以下に整理します。
① 適切な資格外活動許可がある場合
資格外活動許可を取得し、条件内で働いていた場合:
- 在留資格に抵触しない正当な活動
- 納税・社会保険加入などの記録が評価対象
- 日本社会に貢献したと見なされる可能性
→ 永住申請においてプラス評価になるケースもある
→ 働いていた実績があることで生活基盤が安定していると評価され、良い審査結果につながることもあります。
② 資格外活動許可なく働いていた場合(不法就労)
日本滞在中に「資格外活動許可」を取らずに働いていた場合:
- 不法就労として審査で重大なマイナス評価
- 「素行が善良であること」の要件を満たさない可能性
- 永住審査で不許可となるリスクが非常に高い
永住申請は 法令遵守・納税・社会的責任の履行 を重視しますので、ビザ条件違反は大きな不利益になります。
※ 不法就労が発覚すると、その記録は出入国在留管理庁の審査に残ります。
5. 家族滞在ビザから永住申請する要件(一般的なケース)
家族滞在ビザの方が単独で永住申請をすることは基本的に困難です。なぜなら、家族滞在は扶養者に依存するステータスだからです。
永住許可申請可能な代表例
- 本人が 別の在留資格(就労、配偶者など)に変更して要件を満たす
- 扶養者(配偶者・親)の永住許可申請と同時に申請する
- 扶養者が永住者になり、「永住者の配偶者等」に変更後に申請する
6. 永住申請に向けた戦略と注意点
戦略①:扶養者と同時申請
夫婦や家族で同時に永住申請することで、
- 家族滞在ビザの方も「永住者の配偶者等」として審査可能になる
- 居住年数・安定性などの評価がしやすくなる
というメリットがあります。
戦略②:在留資格変更(就労など)
家族滞在ビザから、
・ 就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)
・ 配偶者ビザ
など別の在留資格に変更すると、永住申請の必要年数要件や評価基準が有利になることがあります。
注意点:滞在歴・収入・納税の証明
永住申請では、過去の収入・納税状況・社会保険加入の履歴などを詳細に提出します。
家族滞在ビザで働いた場合でも、関連する記録が 曖昧・不正確・欠損 だと不許可リスクが高まります。
よくある質問(Q&A)
Q1. 家族滞在ビザで働いた記録は永住申請で評価されますか?
適切な許可を得ていれば評価されます。
許可なく働いた場合はマイナス評価になります。
Q2. 家族滞在ビザだけで永住申請できますか?
基本的に難しいです。
扶養者と同時申請や在留資格変更を検討しましょう。
Q3. 扶養者が先に永住した場合、家族滞在ビザの人はどうなる?
扶養者が先に永住許可を得た場合、家族滞在ビザの根拠がなくなりますので、在留資格の変更手続きが必要です。
Q4. 資格外活動許可がないまま働いていた場合、永住申請は不可能ですか?
原則としてマイナス評価が強く、不許可リスクが高くなります。専門家に相談し、記録訂正や他の戦略を検討してください。
まとめ:家族滞在ビザと永住申請
| ケース | 永住申請への影響 |
|---|---|
| 家族滞在+資格外活動許可あり | プラス評価/条件次第で可 |
| 家族滞在で無許可就労 | 審査で大きなマイナス |
| 家族滞在のまま単独申請 | 基本的に困難 |
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |
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