家族滞在ビザの永住許可要件とは|必要年数・収入・審査ポイント
在留資格の中でも多くの外国人が目標とするのが、「永住許可」です。永住ビザを取得すると、在留期限の更新が不要になり、転職や就労範囲の制限がなくなるなど、生活・キャリア形成の安定性が大幅に向上します。
しかし、「家族滞在ビザ」から永住許可へ直接申請することは原則できないため、正しい申請方法や要件を把握することが重要です。
(※まずは法務省出入国在留管理庁の家族滞在ビザ公式案内をご覧ください。)
出入国在留管理庁:在留資格「家族滞在」について(概要・申請方法) 家族滞在ビザ(出入国在留管理庁)
目次
1. 家族滞在ビザとは?基本概要
家族滞在ビザとは、主に日本で就労している外国人の配偶者や子どもが扶養を受けて日本で暮らすための在留資格です。
- 配偶者や実子が対象
- 日本での就労・生活費を主たる家族(就労者)が支える前提で認められる
- 就労する場合は資格外活動許可が必要 などの特徴があります
ポイント:
家族滞在ビザは「単独で永住申請するための在留資格」ではありません。あくまでも扶養ベースの“従属資格”であり、原則として本体者(扶養者)と一緒に永住申請を行います。
2. 永住許可(永住ビザ)と一般的な要件
永住許可の基本要件は法律で明記されているわけではありませんが、出入国在留管理庁が示す審査指針では次の要件が重視されます(法務省出入国在留管理庁 永住許可申請ガイド参照):
(1)原則的な滞在年数
- 引き続き10年以上日本に在留していること(永住申請の基本要件)
- そのうち就労資格または居住資格で 5年以上滞在していることが重要視されます
(2)素行
- 犯罪歴がなく、ルールを守って生活していること
- 税金・年金・保険などの義務を履行していること
(3)安定した生活基盤
- 安定した収入、十分な資産または扶養者の収入があること
(4)国益適合性
- 日本社会に貢献し、今後も定住が望ましいと判断されること
ただし、これらは基本要件であり、状況によって審査内容や重視されるポイントが変わります。
3. 家族滞在ビザから永住申請する方法(特例と実務)
3-1.家族滞在ビザ単独での申請は原則不可
結論から言うと、家族滞在ビザ保持者が単独で永住申請を出すことはできません。
これは家族滞在が「扶養関係」に基づく従属資格であり、独立した生活基盤を証明できないケースが多いからです。
3-2.本体者(扶養者)と同時申請するパターン
家族滞在ビザ保持者が永住申請するには、本体者(例えば配偶者の就労ビザ保持者)が永住申請を行い、その審査に合わせて同時申請するのが一般的です。
このとき、家族は本体者が永住権取得見込みとして審査され、「永住者の配偶者等」と同等の要件で評価されます。
4. 永住許可の審査ポイント
申請審査で特にチェックされるポイントを理解することは、準備・合格率アップに重要です。
4-1.居住・婚姻の実態
配偶者の場合、婚姻の実体が重要です。
単に結婚しているだけでなく、生活実態(同居・家計共有・日常生活の写真、通信履歴など)を証拠として示す必要があります。
この点は審査官が実際の生活状況を評価するため重要視します。
4-2.日本滞在年数と継続性
家族滞在から永住申請する場合でも、条件によって一定期間の在留継続が求められます。
例:配偶者の場合
- 実体ある婚姻関係が 3年以上継続
- 引き続き 1年以上日本に居住
例:子どもの場合
- 引き続き 1年以上日本に居住
ただし、離脱歴が多いと在留継続が途絶しているとみなされ、審査に影響します。
4-3.安定した生活基盤の証明
永住審査では収入・生活基盤の安定性が重要です。
家族滞在者は基本的に働けないため、扶養している本体者の収入や資産証明が重要な審査対象になります。
具体的には:
- 所得証明(源泉徴収票、確定申告書)
- 就労契約書
- 銀行残高・不動産所有証明 など
5. よくあるQ&A
Q1:家族滞在ビザから永住許可は誰でも申請できますか?
A:基本的にできません。 家族滞在ビザ単独で永住申請することは認められていません。
永住申請は、本体者(就労ビザ保持者や永住者本人)との同時申請が基本です。
Q2:日本人配偶者と結婚していれば永住は簡単ですか?
A:配偶者特例があります。
日本人配偶者や永住者の配偶者は、婚姻実体3年以上・1年以上の日本在留など要件を満たすことで永住申請可能です。これを配偶者特例と呼び、通常の10年要件より緩和されています。
Q3:子どもはいつ永住申請できますか?
A:引き続き1年以上日本に在留している場合、親の永住申請と同時に申請できます。 学齢や扶養状況も審査対象となります。
Q4:永住申請が不許可になるケースは何ですか?
主な不許可理由:
- 素行(違法行為・税金未納)が悪い
- 結婚の実体・同居実績が不十分
- 安定した収入・生活基盤が証明できない など
6. まとめ・申請の注意点
家族滞在ビザから永住許可を目指すには、以下のポイントを押さえましょう:
- 家族滞在ビザ単独では申請できない
- 本体者と同時申請する
- 婚姻実体・在留継続を証明する
- 生活基盤(収入・資産)を明確にする
- 納税・素行要件をクリアする
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |
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