家族滞在ビザで永住権は取れるのか?原則・例外・実務判断を徹底解説
(結論:単独では原則不可/条件を満たせば可能性あり)
目次
結論ポイント
- 家族滞在ビザだけで単独の永住申請は原則できません。
→ 家族滞在は「扶養関係に基づく在留資格」であり、永住申請の最低条件である「独立した生計維持」を本人だけでは証明しづらいためです。 - ただし、条件・状況によっては永住許可の申請が可能になる場合があります。
特に配偶者や扶養者本体の永住申請と一緒に行うなど、条件付きケースが存在します。
家族滞在ビザ(在留資格「家族滞在」)とは?
「家族滞在」とは、日本で就労ビザや留学ビザ等を持つ外国人の扶養家族(配偶者・子ども等)が日本に滞在するための在留資格です。
- 扶養者の経済力があること
- 家族としての関係が実証できること
- 原則就労は認められない(資格外活動許可が必要)
という位置づけの在留資格です。
公式情報(出入国在留管理庁)でも、「在留資格 家族滞在」についての概要が公開されています。
在留資格「家族滞在」|出入国在留管理庁
永住申請の一般的な要件(まず知るべき基本)
日本の永住許可を申請する際には、特段の例外を除いて下記の要件が基本として求められています。
※ いずれも法務省(出入国在留管理庁)のガイドラインや資料で示されています。
主な永住許可要件
- 素行が善良であること(犯罪歴・法令違反なし)
- 独立した生計を営めること(安定収入・資産)
- 原則として10年以上継続して日本に在留していること
- 税金・保険料などの未納がないこと
※ ただし一部の在留資格やケースでは、要件の緩和・例外適用があります。
公式情報(永住許可申請の基礎):永住許可申請(出入国在留管理庁)
家族滞在から永住申請は可能?(原則と例外)
ケース①:家族滞在ビザのまま単独で永住申請する場合
原則として不可・現実的に許可は下りにくいです。
理由:
- 家族滞在ビザは扶養関係に依存しているため、本人の「独立した生計維持能力」を証明できない。
- 法務省が求める永住要件である「安定した収入の証明」「社会保険・納税履行」などを満たしにくい。
→ したがって、家族滞在ビザだけで永住申請する人は、実務上ほぼ許可されません。
ケース②:扶養者(本体者)と一緒に同時申請する
可能性ありのケースです。
例えば:
- 扶養者が永住申請を行い、同時に家族滞在の配偶者・子どもも一緒に申請する
- 扶養者が永住者の場合、その配偶者・子どもは「永住者の配偶者等」や「永住者の子」として扱われるため、永住許可の対象になります。
この場合:
- 家族滞在の外国人が自動的に「永住者の配偶者等」の身分になる可能性があるため、永住許可の対象となります。
- 同居実績や婚姻継続年数、扶養者の安定収入・納税履行状況が重要な審査ポイントになります。
永住申請の特別な緩和要件・例外
配偶者としての特例
「永住者の配偶者等」の在留資格は、永住申請で居住要件が大きく緩和されます。
以下のような例では、申請可能になる場合があります。
➡ 配偶者の場合:
- 結婚後3年以上の婚姻実績
- 日本で1年以上継続して在留している
➡ 子ども:
- 日本で1年以上継続在留している
※ 上記は「永住者の配偶者等」としての永住申請に必要とされる緩和要件です。
永住申請時の手続きと必要書類
永住申請の手続きは、出入国在留管理局が所管し、以下の書類が基本になります。
基本申請書・身元保証書
- 永住許可申請書
- 身元保証書・了解書など
収入・生計に関する証明
- 扶養者の源泉徴収票、課税証明書、納税証明書
- 住民税・国民年金・健康保険の支払い証明
家族関係の証明
- 戸籍謄本・婚姻証明書・出生証明書
- 同居実態や家族関係確認書類
※ 詳細は公式サイトで最新の必要書類をご確認ください:
永住申請書類一式(出入国在留管理庁)
よくある質問(FAQ)
Q1.家族滞在ビザのまま単独で永住申請できますか?
A. 基本的には不可です。
本人の安定した生計を証明できないため、永住許可が下りる可能性は極めて低いとされています。
Q2.扶養者と一緒に永住申請できますか?
A. はい。ただし条件が必要です。
扶養者(本体者)が永住申請を行い、一緒に申請する形であれば、永住許可の可能性があります。ただし、扶養者の審査が通らない場合は一緒に不許可になるリスクもあります。
Q3.家族滞在から就労可能なビザへ変更したら永住申請できますか?
A. 可能性が大きく高まります。
家族滞在中に就労ビザ(例:「技術・人文知識・国際業務」等)へ変更し、一定の在留・就労実績を積むことで、一般の永住申請への道が開けます。
Q4.配偶者ビザに変更後すぐに永住申請できますか?
A. 一部条件を満たせば可能です。
婚姻後、かつ日本で一定期間(例:3年以上婚姻・1年以上在留など)の要件を満たせば、日本人配偶者等として永住申請が可能になります。
まとめ:家族滞在から永住申請は「可能性あり」だが条件が重要
家族滞在ビザ単独 → 基本不可
→ 永住申請要件として重要な「独立した生計維持」を本人だけでは証明しづらい。
扶養者(本体者)と一緒に申請 → 可能性あり
→ 申請が同時に行われ、扶養者が永住を得る場合は、家族滞在者も「永住者の配偶者等」等として扱われる可能性がある。
就労ビザへ変更後の永住申請 → 現実的な選択肢
→ 安定した就労実績により永住の基準(独立生計など)を満たしやすい。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |
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