技能ビザ(在留資格「技能」)|料理人(外国料理のコック)で許可を得るための完全ガイド【必要書類・許可要件・実務ポイント】

外国料理の調理師(コック・シェフ・パティシエ等)が日本で就労するための在留資格「技能」の許可要件と必要書類を徹底解説。実務経験の目安、申請書類チェックリスト、店舗側の準備、よくある不許可理由と回避策まで、行政情報と実務ノウハウを交えてわかりやすく解説します。


1. 概要 — 在留資格「技能」とは何か

在留資格「技能」は、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う、産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務」に従事する外国人が対象の在留資格です。代表例として 外国料理の調理師(コック・シェフ・パティシエ等) が挙げられます。許可の可否は「当該業務に必要な熟練した技能があるか」「雇用先の事業実態・必要性」「契約内容(給与・労働条件)が適切か」などを総合的に判断して行われます。


2. 料理人(調理師)分野での許可要件(審査で見られるポイント)

在留資格「技能」申請で典型的にチェックされる主な要件は次のとおりです。

  1. 熟練した技能を有すること(実務経験・資格等)
    • 外国料理の専門的な技能があること。実務経験年数や職歴の深さが重要視されます。実務経験の目安としては 10年以上の実務経験 や、それに相当する技能を示す書類が求められるケースが多いとされています(例:雇用先が必要性と技能の関係を明示すること)。ただし基準は個別ケースで変わります。
  2. 雇用先(店舗・企業)の事業実態が明確であること
    • 飲食店営業許可、店舗写真、メニュー、平面図、賃貸契約書、決算書等で事業実態を示す必要があります。複数名を採用する場合は、店舗規模・シフト表なども求められます。
  3. 雇用契約の内容が適正(報酬・労働時間・社会保険等)
    • 日本人と同等レベルの労働条件や社会保険加入、給与の支払実態(源泉徴収票等)の提示が重要です。事業側が「合理的に必要な理由」で外国人料理人の採用を説明できることもポイントです。
  4. 従事する業務が「単純労働」に該当しないこと
    • 技能ビザは熟練技能を対象とするため、ホール業務や単純作業だけでは許可されません。調理・メニュー開発・専門技術の提供といった業務内容が必須です。

※ 上記は「審査でよく見られるポイント」の要約です。出入国在留管理庁の説明も併せて確認してください。


3. 典型的な必要書類(在留資格認定証明書交付申請/在留資格変更時の共通資料)

以下は 在留資格認定証明書交付申請(海外から呼寄せる場合)や 在留資格変更許可申請(国内で変更する場合)で実務上求められる主要書類の一覧です。地域や申請窓口で細かい要求が異なるため、申請前に管轄の入管に確認してください。主要なテンプレートや申請書は法務省の所定様式を使用します。

A. 共通(申請人・必須)

  • 在留資格認定証明書交付申請書 または 在留資格変更許可申請書(所定様式)。
  • 証明写真(縦4cm×横3cm、無帽・無背景)1枚。
  • パスポートの写し(海外申請)/パスポート原本・在留カード(国内変更)。
  • 履歴書(職歴・技能に関する詳細を必ず記載。従事した業務内容・期間を明示)。
  • 実務経験を証明する書類(雇用証明書、推薦状、業務内容がわかる業務日誌・写真等)。

B. 事業者(雇用側)提出書類

  • 採用(招聘)理由書(従事する業務の内容・必要性を明記)。
  • 雇用契約書(業務内容、労働条件、給与、就業時間等)。
  • 会社・店舗の登記事項証明書(法人の場合)、定款の写し、会社案内等。
  • 直近年度の決算書・財務諸表の写し(小規模店でも提出を求められることあり)。
  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(税務署受付印のあるもの)またはその提出が難しい理由書。
  • 飲食店営業許可証の写し、メニューの写し、店舗の写真(外観・内観・厨房)・平面図、賃貸契約書等。

C. 場合により追加で求められる資料

  • 中華料理人等、特定の分野では学歴証明書・調理学校の卒業証明・公的資格(もしあれば)。
  • 複数名採用の場合はシフト表や必要人員の説明資料。
  • 前科・素行に関する確認書類や住民票、納税証明(場合により)。

4. 実務上の注意点(審査でつまずきやすい点と回避法)

  1. 「技能」を証明する客観資料の充実
    • 履歴書だけでなく、過去の雇用先(レストラン)による業務証明書、職務内容を示す写真やメニュー開発の実績、メディア掲載など可能な限り根拠を用意してください。単に「10年働いた」と言うだけでは弱いことがあります。
  2. 事業の実態(店舗規模・売上・体制)を示す
    • 特に小規模店舗で複数名の外国人を雇う場合、なぜその人数が必要か合理的に説明できる資料(席数、営業時間、シフト)を添えると許可率が上がります。
  3. 給与支払の証拠(源泉徴収票等)を用意
    • 給与の支払実績が不透明だと不許可になりやすいため、税務関係書類や過去の給与台帳・支払実績は重要です。
  4. 「単純労働」にならない業務設計
    • 技能ビザで認められるのは熟練技能に基づく調理業務です。接客中心業務のみ・単純作業に偏ると変更・認定共に却下されるリスクがあります。業務分担とジョブディスクリプションを明確にしておきましょう。
  5. 書類は和訳と原本(コピー)の両方を準備
    • 海外の証明書類(雇用証明等)は和訳を添付して、原本または公的な認証を付けると審査がスムーズです。

5. 申請の流れ(主要パターン)

A. 海外から呼ぶ(在留資格認定証明書交付申請)

  1. 雇用側(日本)で必要書類を準備。
  2. 在留資格認定証明書交付申請を入国管理局へ提出(法務省所定様式)。
  3. 認定証明書交付(許可)後、在外公館で査証(ビザ)取得 → 入国 → 在留カード交付。

B. 日本国内で在留資格を変更する場合(例:留学→技能等)

  1. 申請人が現在の在留資格のまま日本に滞在。
  2. 在留資格変更許可申請を所轄の入国管理局へ提出(必要書類=上記リスト参照)。
  3. 審査のうえ許可(不許可の場合は現状の在留資格に留まるか帰国が必要)。

審査期間や求められる補足書類はケースバイケースです。事前に行政書士や管轄の入国管理局に相談することを推奨します。


6. 不許可になりやすいケースと対策(チェックリスト)

  • 業務内容が「単純作業」に見える → 業務詳細(調理工程・役割分担)を明記。
  • 実務経験を裏付ける証拠が薄い → 過去の雇用証明・推薦状・写真・メニューを追加。
  • 事業の支払能力が不明瞭 → 決算書・源泉徴収票・納税証明を添付。
  • 複数名採用で「必要性」が説明できない → 席数・営業時間・シフト表で必要性を説明。

7. 雇用側が用意する「採用理由書」サンプル(要約)

  • 事業者名、所在地、代表者名
  • 店舗概要(席数、営業時間、従業員数)
  • 採用の目的(なぜ外国人調理師が必要か)
  • 従事予定業務(具体的な調理業務、メニュー、管理業務等)
  • 雇用条件(雇用期間・給与・労働時間・社会保険の有無)
  • 採用予定人数とシフト例(必要性説明)
  • 添付資料一覧(店舗写真、メニュー、賃貸契約書、決算書など)

8. よくあるQ&A

Q1:技能ビザ(料理人)は何年の実務経験が必要ですか?
A:法令上、実務経験や実績の蓄積が重要視されます。実務経験の目安として 10年以上 が求められるケースが多く、具体的な証明(雇用証明書・推薦状・業務実績)が重要です。最終判断は入国管理局の個別審査になります。

Q2:技能ビザでできる業務とできない業務は?
A:調理・メニュー作成・専門的な調理技術提供など熟練技能に属する業務は認められますが、単純な接客や洗い場などの単純作業のみでは認められません。業務内容を明確にして申請してください。

Q3:複数名を採用したい場合の注意点は?
A:店舗の規模・営業時間・必要性を示す資料(シフト表、席数、売上見込み)を用意し、合理性を説明することが求められます。

Q4:認定(在留資格認定証明書)・変更申請の審査期間は?
A:案件や地域により異なります。目安は数週間〜数か月。追加書類の求められ方次第で延びるため、余裕を持って準備しましょう。


9. まとめ|料理人の技能ビザは「技能の証明」と「店舗側の準備」が許可のカギ

技能ビザ(在留資格「技能」)を料理人分野で取得するためには、外国料理に関する熟練した技能があることと、その技能を日本で発揮する合理的な必要性が審査で重視されます。
単に「料理経験がある」「飲食店で働く予定がある」だけでは足りず、実務経験の内容・年数を客観的に証明できる資料を用意することが不可欠です。

また、雇用する店舗側にも、事業の実態・経営の安定性・適切な雇用条件が求められます。
飲食店営業許可証やメニュー、店舗写真、決算書、雇用契約書などを通じて、
「なぜこの外国人料理人が必要なのか」「どのような技能を発揮するのか」を具体的に説明できるかが、許可・不許可を分ける大きなポイントになります。

特に注意すべきなのは、

  • 単純労働(接客・洗い場のみ等)と判断されない業務内容になっているか
  • 実務経験を裏付ける証明書類が十分に揃っているか
  • 店舗規模に対して採用人数が適正か

といった点です。これらが不十分な場合、追加資料の提出や不許可となるリスクが高まります。

技能ビザ(料理人)は要件が比較的明確である一方、書類の作り方や説明の仕方によって結果が大きく左右される在留資格です。
申請前の段階で要件を正しく理解し、必要書類を丁寧に準備することが、スムーズな許可への近道と言えるでしょう。

不安がある場合や初めて申請する場合は、在留資格申請に精通した専門家へ早めに相談することをおすすめします。


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  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法

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