企業内転勤と短期滞在はどう違う?目的別の最適ビザを専門家が解説

はじめに

グローバル化が進む現代、海外拠点と日本拠点との間で人材を移動させるニーズが増加しています。しかし、ビザや在留資格の制度は複雑であり、目的や活動内容によって適切な在留資格が異なります。当記事では、企業内転勤ビザ(在留資格「企業内転勤」)短期滞在ビザ(短期滞在査証) を比較し、出向・視察・研修・会議出席などの判断基準を詳しく解説します。


企業内転勤ビザとは?

概要

企業内転勤ビザ は、外国にある企業の職員が、日本にある同一企業又は関連会社・支店・子会社等へ 出向・転勤するための在留資格 です。

このビザは単なる短期出張ではなく、日本法人等で 実務として専門的業務に従事することを目的としています


企業内転勤ビザの特徴

出向・転勤が対象

海外本社・支店・関連会社から日本拠点への 出向・転勤 が対象となります。

実務を行う

日本で 実務的な仕事を行うことが前提 です。社内での研修や座学のみで終了する活動は本来には該当しません。

在留期間が比較的長期可能

在留期間は概ね 3ヶ月・1年・3年・5年 など比較的長期の設定が可能で、更新手続きも行えます。

日本側と海外側の関係性が要件

申請には、申請企業と海外拠点間の 資本関係等を示す資料の提出 が必要となる場合もあります。


短期滞在ビザとは?

概要

短期滞在ビザ(短期滞在査証) は、観光・商用・親族訪問・視察・会議出席など 短期の日本滞在を目的に発給されるビザ です。

在留資格としての活動は 日本で収入を得る就労活動は原則禁止 されます。


短期滞在の特徴

滞在期間は短期(90日以内)

基本は 90 日以内(国籍により 15 日・30 日の場合あり) の滞在が認められます。

就労は原則不可

そのため、短期の 出張・視察・商談・会議出席・講習参加 などが主な対象となります。

報酬を受ける活動は基本的に不可

就労(報酬を受ける活動)はできないため、実務的な出向や転勤には使えません。


企業内転勤ビザ と 短期滞在ビザ の比較

以下は、両制度を比較した一覧表です。

項目企業内転勤ビザ短期滞在ビザ
主な目的出向・転勤・実務就労視察・出張・商談・会議出席
活動内容実務・業務非就労的活動
就労原則不可
在留期間長期可(3ヶ月〜5年等)原則90日以内
研修条件により別途在留資格が必要な場合あり短期講習・学習は可能
申請主体企業申請者(個人/企業)

どの在留資格を選ぶべきか?|出向・視察・研修の判断基準

出向・転勤(日本で業務を行う)

企業内転勤ビザ

  • 本社から日本への出向・転勤で実務従事
  • 日本法人で職務に従事する
  • 在留期間が 1 年以上を予定している

ポイント

  • 特定の日本法人等で給与等が支給される場合
  • 実際の業務遂行が前提

視察や会議・商談

短期滞在ビザ

  • 工場見学・展示会視察
  • 商談・契約交渉
  • 会議・セミナー参加

ポイント

  • 一時的な滞在で、収入を得る活動は行わない
  • 就労は禁止

研修

研修については少し判断が分かれます。

企業内転勤の研修

企業内転勤制度の枠で扱えるものは、実務研修 です。
海外拠点と日本拠点の業務内容が一致し、実務耐性向上が目的の場合、企業内転勤ビザ で対応できるケースがあります。

短期滞在の研修

講習・座学・非実務中心の研修は 短期滞在ビザの活動範囲 内です。


よくある質問(Q&A)

Q1. 企業内転勤ビザで出張は可能ですか?

A: 出張のみで実務を行わない場合は、本来 短期滞在ビザ を検討するべきです。企業内転勤は日本で業務遂行と報酬受領を前提としています。


Q2. 短期滞在ビザで視察後に実務を行うことはできますか?

A: 短期滞在では実務(就労)は禁止されているため、該当する場合は適切な在留資格の変更や別ビザでの再入国が必要です。


Q3. 日本で3ヶ月以上の研修を行う場合は?

A: 研修内容が座学のみの場合は別途 研修ビザ、実務性がある場合は 企業内転勤ビザ や別在留資格を検討すると良いでしょう。


まとめ

評価ポイント短期滞在企業内転勤
目的観光・短期視察出向・実務就労
滞在期間90日以内長期可能
就労不可可(実務)
活動内容短期・非実務実務・専門職

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参考リンク

  「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
「記事監修」
加納行政書士事務所
運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

代表
特定行政書士 加納 裕之  
「学歴」
 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
 明治大学法科大学院修了
「資格」
 行政書士(特定付記)、TOEIC805点
「専門分野」
 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法

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