企業内転勤ビザ(在留資格「企業内転勤」)の外国人も社会保険に加入すべき?健康保険・年金・雇用保険を専門家が徹底解説
この記事では 企業内転勤ビザを持つ外国人が日本で働く場合の社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)加入義務について、
- 社会保険加入義務の基本
- 例外となる「社会保障協定」
- 雇用保険・労災保険の扱い
- 実務上のポイント
をわかりやすく解説しています。
目次
1. 在留資格「企業内転勤」とは
**在留資格「企業内転勤」**は、外国の本社・支社・関連会社等に勤務する従業員が、**同一企業グループ内の日本の事業所へ一定期間転勤(出向)して働くためのビザ(在留資格)**です。
公式の在留資格案内(出入国在留管理庁)はこちら:
公式:在留資格「企業内転勤」詳細
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/intracompanytransfee.html
この在留資格は「就労ビザ」の一種であり、日本国内で働くための法的な許可となります。
2. 社会保険加入義務の基本:日本人同様に加入が原則
2-1. 健康保険・厚生年金保険
結論:
企業内転勤ビザを持って日本で働く外国人は、原則として日本の健康保険・厚生年金保険に加入する必要があります。
日本の社会保険制度は、労働者が国内で就労する場合、国籍に関係なく加入義務が発生する制度です。加入しないと法律違反となり、労働者側・雇用側の双方に影響が出ます。
2-2. 健康保険とは?
健康保険は以下をカバーします:
- 医療費補助(病気・けがの治療)
- 出産手当金
- 傷病手当金 など
企業内転勤者も、勤務日数・労働条件が一定条件を満たせば、日本の健康保険の被保険者になります。
2-3. 厚生年金保険とは?
厚生年金では、
- 老齢年金(将来の年金給付)
- 障害年金
- 遺族年金
などが提供されます。こちらも日本での就労者として加入義務が発生します。
3. 社会保障協定がある国出身の場合は二重加入を回避
3-1. 社会保障協定とは
社会保障協定は、日本と各国の間で締結されている「社会保険料の二重負担防止」制度です。
同じ被保険者が、外国で同時に社会保険に加入しているような場合に、日本での社会保険加入が免除される場合があります。
3-2. 対象となる国
2025年時点では、日本は複数の国と社会保障協定を締結済みです。協定が有効な場合、二重負担が回避され、一定条件下で日本の健康保険・厚生年金への加入が免除され得ます。
ただし、
- 社会保障協定は国ごとに内容が異なる
- 自動的に適用されるわけではない
- 申請手続きが必要
といった注意点があります。
社会保障協定がどの国と締結されているかは厚生労働省や社会保険庁の公式サイトで確認してください。
4. 雇用保険・労災保険の取り扱い
4-1. 雇用保険
企業内転勤者は通常、雇用保険の加入対象外となる場合が多いです。
その理由は、企業内転勤者が“本国企業との継続雇用関係”のもと一時的に日本で働くだけで、通常の雇用関係とは異なると判断されるためです。
ただし、ケースによって判断が異なるため、実務では労働条件・契約形態を確認する必要があります。
4-2. 労災保険
労災保険は「業務災害」の補償制度として、原則就労場所や国籍に関係なく適用されます。
企業内転勤者であっても、日本国内で労働を提供する以上、労災保険の補償対象となるのが一般的です。
5. 社会保険加入の実務ポイント
以下は人事・総務担当者・経営者が押さえるべき実務ポイントです。
企業内転勤者の労働契約形態を確認する
ポイント
企業内転勤でも、
- 日本の会社と雇用契約を締結して給与を支払う形態
- 本国企業から給与を支払う形態
のどちらかがあり、社会保険の取り扱いが異なる可能性があります。
社会保障協定の適用要件を確認する
社会保障協定は国ごとに内容が異なります。
協定の対象になるか、加入義務の免除が可能かは、厚生労働省・入管局公式情報で確認しましょう。
雇用保険の取扱いは個別判断
企業内転勤者は雇用保険非適用となるケースが多いですが、就業条件や契約形態で判断が分かれる場合があります。
適用要件については、労働局や社会保険労務士に確認が必要です。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. 企業内転勤の外国人は社会保険料を必ず払わないとダメですか?
➡ 原則として支払い義務があります。健康保険・厚生年金については日本で働く期間中は加入義務があり、保険料を納付する必要があります。
ただし、社会保障協定が適用される国出身者については、加入が免除される場合があります。
Q2. 社会保障協定があれば雇用保険も免除されますか?
➡ 社会保障協定は健康保険・年金に対する二重加入防止の制度であり、雇用保険への影響はありません。
また、企業内転勤者は雇用保険の加入対象外となる場合が多いのが実務上の扱いです。
Q3. 社会保険料の計算や手続きはどうすればいいですか?
➡ 社会保険の手続きは、事業所の所在地を管轄する年金事務所・社会保険事務所で行います。
外国人の場合も通常の加入手続きと同じで、給与支払い報告・加入手続きが必要です。
7. まとめ
- 健康保険・厚生年金保険は原則として加入義務あり
- 社会保障協定がある場合は加入免除の可能性あり
- 雇用保険は企業内転勤者には適用されないケースが多い
- 労災保険は原則適用
- 手続きは社会保険事務所・年金事務所で通常通り行う
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参考リンク
![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |
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