経営管理ビザの在留期間更新申請書の記載項目とは?2025年改正対応で徹底解説
目次
背景:なぜ「在留期間更新許可申請書」の記載項目を知ることが重要か
- 2025年10月16日、経営・管理ビザの許可基準が改定され、資本金(または出資総額)の引き上げ、常勤職員雇用義務、日本語能力要件、事業計画書の専門家による確認義務などが新たに定められました。
- この改定にあわせて、在留期間更新時に用いる申請書(「在留期間更新許可申請書」)の様式も変更され、「資本金や投資額」「常勤職員の有無・数」「日本語能力の有無」などを記載する欄が追加されています。
- 適切に記載・申請を行わないと、更新時に必要書類不備として受理されない、または審査で不利になる可能性があります。
そのため、「どのような記載項目があるか」をあらかじめ把握し、漏れなく・正確に書き込むことが、更新許可取得の第一歩です。
📄 在留期間更新許可申請書の構成と主な記載項目
「在留期間更新許可申請書(経営・管理)」は、一般的に 3 枚構成 です。
| 枚数 | 用途 | 主な記載項目(代表例) |
|---|---|---|
| ① 申請人等作成用 1 | 申請者(経営者本人)の基本情報 | 国籍・地域、生年月日、氏名、性別、出生地、配偶者の有無、職業、本国の居住地、日本国内の住所・電話番号、パスポート情報(番号・有効期限)、現に有する在留資格・在留期間・在留カード番号、更新後希望の在留期間、申請理由、顔写真(4 cm×3 cm)など |
| ② 申請人等作成用 2 | 補足的な申請者情報(家族構成や背景など) | 在日親族および同居者の有無・氏名・続柄・国籍等、過去の犯罪歴または行政処分の有無、経歴(学歴・職歴)、技能・資格の有無、日本語能力の有無および内容など。特に改正後は「高度に自立して日本語を理解・使用できる水準以上の日本語能力を有する経営者または常勤従業員の有無」の欄があります。 |
| ③ 所属機関(会社)作成用 1 | 会社(事業所)の情報および経営状況 | 会社名・所在地、資本金または出資総額、申請人の投資額、事業規模(設備投資、人件費含む投資総額)、常勤職員数、事業内容、事業所の状況(オフィスの有無・所在地)、事業許認可の有無・状況、税金・社会保険の納付状況、過去の決算情報や法人登記情報など。改正により、資本金または出資総額、申請人投資額、常勤従業員数、日本語対応の有無などを明記する欄が新設されています。 |
なぜこれらの項目が記載必須か — 新ルールの背景
上記の記載項目は、2025年秋の改正で強化された「実質的な経営・管理」の要件を反映しています。主な背景は以下のとおりです。
- 資本金・投資額の引き上げ:改正前は比較的少額でも許可されていましたが、新ルールでは「3,000万円以上の資本金または出資の総額等」が求められます。
- 常勤職員の雇用義務:法人の場合、社員1名以上の常勤職員の雇用が義務化されました。外国人(「技人国」など在留資格保持者)は対象とならず、日本人または永住者等が対象となります。
- 日本語能力要件:申請人または常勤職員の誰かが、一定以上の日本語能力(例:JLPT N2、BJT 400点以上など)を持っている必要があるという記載欄が設けられました。
- 事業の実態・継続性の確認:単なるペーパーカンパニーではなく、実際に事業を運営しているか、税金・社会保険を適切に納付しているか、決算書や帳簿書類で証明するよう、所属機関欄での申告が必要です。
- 活動実績の説明:2025年7月以降、更新時には「事業活動内容説明書」や「Activity Details Statement」の提出が原則とされ、最新の事業実績・経営実績・収支状況・契約状況などを記載し、経営に実態があることを説明する必要があります。
記載時の注意点と実務ポイント
申請書を記入する際には、以下の点に注意することが大切です。
- パスポートと在留カードの情報は正確に、かつ現在のものを使う
特に氏名、パスポート番号、有効期限、在留カード番号、現行の在留資格および期間は、誤字脱字がないようパスポート・在留カードで確認しながら記入。 - 写真の規格を守る
申請書貼付用の写真は、縦4 cm × 横3 cm、無帽・無背景、申請直近に撮影したもの。裏面に氏名記載。過去のパスポートや在留カードの写真の流用は基本的に不可。 - 日本語能力欄は「該当する証拠」を添付
JLPT や BJT の合格証、卒業証明書、住民票など、どのように日本語能力を証明するかを明記するとともに、証拠書類を添付する。特に改正後は、この項目の有無が更新の可否に影響する可能性がある。 - 常勤職員の数および雇用状況を明示
たとえ非常勤やアルバイト中心の企業でも、少なくとも1名の「常勤」の要件を満たす人材(日本人等)を雇用し、その雇用契約書・社会保険加入証明・給与支払い実績などを準備する。 - 資本金・出資額・投資額は最新の数値で記入
法人であれば登記事項証明書の「払込済資本金」または出資総額、個人事業なら設備投資・賃借費・人件費など含む総投資額を適切に集計する。特に改正後は「3,000万円以上」が基本ライン。 - 過去の決算書や帳簿、税・社会保険の納付状況の資料添付
申請書だけでなく、会社の決算書(貸借対照表、損益計算書)、法人税・消費税・地方税、社会保険料、源泉所得税などの納付証明、給与支払い実績などを整えておくことで、審査での信頼性が高まる。 - 事業活動内容説明書の準備
最近の動きとして、「どのように会社を経営/運営してきたか」を定量的に、かつ具体的に説明する「Activity Details Statement(事業活動内容説明書)」の提出が原則化されています。売上・利益・主要な取引先・契約状況・従業員数の推移などを記載。可能であれば、契約書・請求書・領収書などの実績資料も添付。
よくある質問(Q&A)
Q1. なぜ 3 枚もの申請書を使うのか?
A. 単に「あなた個人」の情報だけでなく、「あなたの会社(事業所)」の実態・継続性・財務状況・雇用状況などを総合的に審査するためです。特に改正後は、会社の実態を詳細に確認することが強く求められており、会社側の情報も詳細に記入・証明する必要があります。
Q2. 写真や在留カード・パスポートの申告はどこまで最新が必要か?
A. 写真は申請前 6 か月以内に撮影されたもの。パスポート、有効期限、氏名、在留カード番号などの情報は、申請時点で最新である必要があります。古いパスポート番号や更新前の情報を記載すると、不備として差し戻される可能性があります。
Q3. 常勤職員を雇っていないと更新できない?
A. 2025年10月の改正以降、原則として常勤職員を 1 名以上雇用し、その雇用状況を証明することが必要とされています。雇用予定がある場合も「予定を証明する資料」を準備することで対応可能ですが、実際に雇用していないと大きなマイナスとなる可能性が高いです。
Q4. 日本語ができない経営者でも更新できるか?
A. 申請人本人または常勤職員のいずれかが、一定レベルの日本語能力を有している必要があります。JLPT N2 や BJT 400 点以上、あるいは日本の高等教育機関卒業などの条件が目安です。証明書類があれば、本人が話せなくても雇用する常勤職員が要件を満たせば問題ありません。
Q5. 決算が赤字でも更新できる?
A. 決算赤字だけで即不許可になるわけではありません。ただし、更新時には「事業活動内容説明書」で売上・利益・取引先状況・今後の改善計画などを定量的かつ具体的に説明する必要があります。また、税金・社会保険の納付状況がちゃんとしていることが重要です。
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参考リンク
結論
「経営・管理ビザ」の在留期間更新を成功させるためには、申請書を単に形式的に埋めるだけでなく、会社の実態、事業実績、雇用・経理・税務・言語体制などをきちんと可視化し、証拠資料を添えて説得力ある申請をすることが肝要です。
特に2025年10月の改正によって、資本金の大幅引き上げ、常勤職員の雇用義務、日本語能力要件、事業計画の専門家確認義務などが強化されたため、更新申請時にはこれらの要件を満たしているか、また証拠を整えているかを慎重に確認しましょう。
![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |
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