kanou ドイツ人配偶者の帰化申請に必要な要件と準備｜配偶者特別帰化（簡易帰化）も徹底解説
ドイツ人配偶者と日本で暮らす夫婦向けに、帰化申請の要件・必要書類・期間・注意点を専門家が徹底解説。通常帰化との違いや配偶者特別帰化（簡易帰化）のメリットも詳しく紹介。失敗しない手続きの流れも解説。
目次
1. ドイツ人配偶者は帰化できる？まず理解したいポイント
ドイツ人を含む外国人は、日本で一定の要件を満たせば帰化申請を行い、日本国籍を取得できます。
ただし「結婚しているから簡単に帰化できる」というわけではありません。
婚姻関係にある外国人には“簡易帰化（配偶者特別帰化）”という優遇制度があるため、一般の外国人より申請要件が軽減されます。
2. 通常の帰化と「配偶者特別帰化（簡易帰化）」の違い
日本の国籍法では、外国人が帰化する場合、
- 通常の帰化（一般帰化）
- 簡易帰化（配偶者特別帰化・日本人との結婚）
の2種類があります。
通常帰化（一般帰化）の主な要件
※国籍法5条
- 引き続き5年以上日本に住所（居住）があること
- 20歳以上で本国法によって行為能力を有すること
- 素行善良
- 生計能力
- 重国籍防止
- 憲法遵守（破壊活動の禁止）
簡易帰化（配偶者特別帰化）の主な要件
※国籍法6条・7条
結婚して月日が浅い場合でも、
以下のどちらかを満たせばよいとされています。
（1）婚姻期間3年以上＋日本での住所1年以上
（2）婚姻期間3年以上未満の場合
- 日本での住所期間が3年以上（就労・留学等含む）
劇的に軽減されるポイント
- 日本での居住期間が「1年」で良い場合がある
- 資産要件が一般より緩い
- 日本語能力は日常会話〜簡単な読み書きレベルで認められやすい
つまり、ドイツ人配偶者は通常より大幅にハードルが下がるのが特徴です。
3. ドイツ人配偶者が使える簡易帰化の要件を徹底解説
① 日本人配偶者との婚姻の継続性
- 婚姻期間3年以上
- かつ日本国内での住所1年以上
が基本ライン。
※海外居住期間も婚姻年数にカウントされます。
② 日本での居住期間
日本で「1年以上」居住していれば申請可能です（国籍法6条1号）。
ただし、下記のような場合は追加の説明が必要になります。
- 出入国が多い
- フリーランスで収入が安定しない
- 配偶者との同居期間が短い
③ 生計能力（世帯単位で判断）
ドイツ人配偶者の収入が少なくても、日本人配偶者の収入が安定していれば問題ありません。
審査の目安
- 年収300〜400万円以上で安定した収入があれば良い
- 貯金額は一般帰化ほど厳しくない
④ 日本語能力は「簡単な読み書き・日常会話レベル」
一般帰化より要件が緩く、
小学生低学年レベルの日本語が目安です。
- 面接は日本語で行われる
- ひらがな・カタカナの読み書きができること
- 簡単な文章を理解できれば問題なし
4. ドイツ人配偶者の帰化申請｜必要書類一覧（詳細）
※法務局によって変動があります。
日本側の書類
- 夫婦の戸籍謄本
- 住民票
- 住民税の課税証明書・納税証明書
- 世帯全員の給与明細・源泉徴収票
- 住居の賃貸契約書
- 預貯金通帳の写し
- 在留カード・パスポート
- 夫婦の写真、結婚の実態を示す資料
（メッセージ履歴、旅行写真など）
ドイツ側の書類
- 出生証明書（Geburtsurkunde）
- 婚姻証明書（Heiratsurkunde）
- 無犯罪証明書（Führungszeugnis）
- これらの日本語訳（翻訳者の署名）
5. 帰化申請の手続きの流れ（時系列）
① 法務局へ「事前相談」
帰化は必ず法務局での相談からスタートします。
提出書類の説明を受け、必要書類のリストをもらいます。
② 書類収集（1〜3ヶ月）
ドイツ側の書類は取得に時間がかかり、さらに日本語翻訳も必要。
③ 帰化申請の受付
必要書類が揃うと正式に申請書を提出します。
④ 法務局の面接（1〜3ヶ月後）
- 夫婦同席が基本
- 結婚の経緯
- 同居状況
- 家計の状況
などが質問されます。
⑤ 審査（7〜12ヶ月）
簡易帰化でも時間がかかることがあります。
⑥ 結果通知（許可・不許可）
許可後は日本の戸籍に新規記載されます。
6. ドイツ人配偶者の帰化審査で見られるポイント
① 婚姻の真実性
偽装結婚ではないか、夫婦の関係が安定しているかが重要。
② 納税状況
- 未納
- 滞納
- 不正受給
は不許可原因となります。
③ 素行善良
過去の交通違反も含め、遵法意識が重視されます。
④ 安定した生活基盤
世帯収入、家賃、支出のバランスも確認されます。
⑤ 日本語能力
最低限の読み書き・会話能力が必要です。
7. よくある不許可原因と対策
① 夫婦の同居期間が短い
→ 最低1年以上同居があると望ましい。
② 納税漏れ
→ 滞納がある場合は完納後、半年〜1年待ってから申請。
③ 日本語力不足
→ ひらがな・カタカナの練習、簡単な会話テストの準備が必要。
④ 出入国が多い
→ 長期の一時帰国が多い場合、理由を説明する資料が必須。
8. ドイツの国籍法との関係（重国籍はどうなる？）
ドイツは一般に重国籍を認めない方針を取っていますが、条件により例外があります。
帰化後の扱い
日本は重国籍を認めないため、日本国籍取得時に
**ドイツ国籍の離脱（Entlassung）**が必要になります。
詳しくは在日ドイツ大使館・ドイツ外務省の情報を確認する必要があります。
9. 【Q&A】ドイツ人配偶者の帰化でよくある質問
Q1：日本語がほとんど話せません。帰化はできますか？
A：日常会話レベルは必要です。
ひらがな・カタカナの読み書きができるよう準備しましょう。
Q2：無職でも帰化できますか？
A：ドイツ人配偶者本人が無職でも、世帯全体の収入が安定していれば問題ありません。
Q3：結婚して1年ですが、帰化できますか？
A：婚姻3年＋日本居住1年が基本ですので、婚姻期間が不足している場合は難しいです。
Q4：離婚すると日本国籍はどうなりますか？
A：離婚しても取得した日本国籍が失われることはありません。
Q5：帰化申請は行政書士に依頼した方が良いですか？
A：書類が多く、夫婦の実態説明が重要となるため、専門家に依頼するケースは多いです。
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参考リンク
 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP：ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了（修士（法学）） 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士（特定付記）、TOEIC８０５点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |
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