イギリス人配偶者の帰化申請に必要な要件と準備|配偶者特別帰化(簡易帰化)も徹底解説
イギリス人(英国籍)の配偶者が日本で帰化申請をする場合、通常の一般帰化よりも大幅にハードルが下がることをご存じでしょうか?
日本人と結婚している外国人は 「簡易帰化(配偶者特別帰化)」 と呼ばれ、滞在年数の短縮や要件緩和が適用されます。
本記事では、 イギリス人配偶者が帰化を成功させるための要件・書類・手続き・審査ポイント を体系的に解説します。
目次
1|イギリス人配偶者の帰化申請は「簡易帰化」で大幅に有利
イギリス人を含む外国人が日本国籍を取得するには「国籍法」に基づき帰化申請を行います。
その際、日本人と婚姻関係にある外国人は 簡易帰化(配偶者特別帰化) の対象になります。
簡易帰化が適用される外国人とは?
- 日本人の配偶者
- 日本人の子
- 永住者 など
通常の「一般帰化」より要件が緩和され、イギリス人配偶者にも適用されます。
2|簡易帰化(配偶者特別帰化)のメリット
① 日本での滞在期間要件が実質免除に近い
一般帰化では「5年以上の日本居住」が必要ですが、
日本人配偶者は 結婚から3年以上+日本在住1年以上 で要件を満たします。
② 生計要件のハードルが下がる
世帯として安定収入があれば良く、
イギリス人本人の収入が少なくても、配偶者(日本人)の収入で補えます。
3|イギリス人配偶者の帰化申請に必要な5つの要件
配偶者特別帰化の場合でも、最低限以下の要件を満たす必要があります。
① 素行が善良であること(犯罪歴・納税状況)
次のような点がチェックされます。
- 刑事罰・逮捕歴の有無
- 交通違反の多さ(軽微でも累積はマイナス)
- 住民税・健康保険料・年金保険料の未納がないか
② 独立の生計を営めること(世帯収入で判断)
イギリス人本人の年収が低くても問題ありません。
世帯として以下を満たしていれば審査に通ります。
- 夫婦いずれかの収入が安定している
- 毎月の生活費を計画的に管理している
- 貯金があるとなお良い
③ 日本語能力(読み書き・会話)
一般帰化より緩いですが、次は必須です。
- 平仮名・カタカナが読める
- 簡単な日本語会話ができる
- 住所・名前をひらがなで書ける
- 自己紹介・日常会話レベル
④ 日本人配偶者との婚姻が実質的であること
偽装結婚防止の観点から次を確認されます。
- 同居しているか
- 夫婦の写真・メッセージ・渡航歴
- 生活費の負担状況
- 家族との交流(義両親との関係も好印象)
入管での配偶者ビザより厳しく見られます。
⑤ 日本への帰化意思があること(重国籍を避ける意思)
イギリスは二重国籍が認められていますが、
日本は原則「重国籍禁止」のため、
日本国籍取得後はイギリス国籍の放棄が必要になります。
4|帰化申請に必要な書類(イギリス人配偶者)
※地域の法務局により追加書類があります。
下記は実務でほぼ必須となる代表的なものです。
【日本側の書類】
- 住民票
- 戸籍謄本(日本人配偶者)
- 住民税課税証明書・納税証明書
- 在職証明書・源泉徴収票
- 預金通帳コピー
- 夫婦写真(結婚式・旅行・日常写真など)
- 家計表
- 賃貸契約書または住宅ローン明細
- 履歴書(公式フォーマット)
【イギリス側の書類】
- Birth Certificate(出生証明書)
- Marriage Certificate(結婚証明書)
- 英国犯罪経歴証明書(ACRO Police Certificate)
これらはすべて 英語 → 日本語翻訳 が必要です。
5|イギリス人配偶者の帰化申請の流れ
① 法務局での事前相談(最重要)
帰化申請は 予約制。
この段階で99%の内容が決まります。
② 必要書類の収集(1〜3か月)
イギリスの出生証明書や警察証明は取り寄せに時間がかかるため早めに。
③ 法務局への正式申請
書類がそろったら提出。
ここがスタート地点です。
④ 法務局担当官による面談(日本語で行われる)
よく聞かれる質問:
- 夫婦の馴れ初め
- 日本での生活
- 将来のライフプラン
- 職歴・納税状況
⑤ 審査期間(標準 1年〜1年半)
配偶者簡易帰化は一般より早い例もあります。
⑥ 帰化許可・官報告示
許可後は戸籍が作成されます。
6|イギリス人配偶者の帰化審査で重視されるポイント
行政書士として実務上特に重要と感じるポイントは次の3つです。
① 夫婦関係が安定しているか
- LINE等のコミュニケーション履歴
- 一緒に写った写真
- 両家交流の様子
② 納税・年金の未納がないか
帰化審査で最も多い不許可理由です。
③ 日本語能力が最低限あるか
読み書きが苦手なイギリス人は多いため、
事前にカタカナの練習をすることが非常に重要です。
7|よくある質問(Q&A)
Q1:イギリス人は日本国籍取得後、英国籍を保持できますか?
→ 日本法では不可。
日本国籍取得後はイギリス国籍の放棄が求められます。
Q2:イギリス人配偶者は帰化申請で英語書類をそのまま提出できますか?
→ 翻訳が必要です。
出生証明書や結婚証明書は必ず日本語翻訳を付けます。
Q3:収入が少なくても帰化できますか?
→ 世帯収入が安定していれば可能です。
日本人配偶者の収入が重要です。
Q4:永住ビザと帰化はどちらが簡単ですか?
→ イギリス人配偶者の場合は帰化の方が優しいケースが多いです。
永住は「10年以上の在住+高い収入安定性」が求められます。
Q5:帰化申請は自身でできますか?
可能ですが、書類数が多く法務局とのやり取りも多いので
専門家に依頼するケースが圧倒的に多いです。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |

