パイロットが技能ビザを取得する方法|日本で働くための完全ガイド
目次
はじめに
- 背景:日本ではパイロット不足が問題になっており、外国人パイロットのニーズも高まっている。
- 目的:外国人パイロット(機長/副操縦士)が日本で「技能(Skilled Labor)」在留資格を取得・維持するためのステップ、要件、注意点を明確に解説する。
- 対象読者:パイロット本人、航空会社、人事担当者など。
1. 技能ビザ(在留資格「技能」)とは?
- 「技能」ビザは、日本の出入国在留管理局(入管)が定める “特殊な熟練技能を要する業務” に従事する外国人向けの在留資格。
- 対象業種は限定列挙されており、その中に 「航空機のパイロット(操縦士)」 が含まれている。
- 技能ビザ申請時には 飛行時間(実務経験) の証明が非常に重要。
- 企業の安定性(経営状態)も審査対象となりうる。
2. パイロットが技能ビザ申請で満たすべき要件
具体的な要件を以下に整理します。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 実務/飛行経験 | 「航空運送事業用の航空機で操縦士としての勤務経験 1,000時間以上」 |
| 操縦免許 | パイロットとして正式なライセンス(CPL、ATPLなど)の保有が必要。(免許証のコピー提出が一般的) |
| 雇用契約 | 日本側(または日本と契約のある航空会社)との雇用契約書が必須。来日前に契約を締結していない場合でも、内定通知や契約案(ドラフト)を入管に提出する。 また、報酬は日本人パイロットと 同等かそれ以上 である必要があるとされる。 |
| 企業側の証明 | 受け入れ企業(航空会社)は、企業の実績・財務状況などを証明する書類を用意する必要がある。 |
| 書類 | パイロットの飛行経歴説明書、会社の実績説明書、雇用契約書、飛行ログなど。行政書士を利用して、これらを整理・整備するのが一般的。 |
3. 実務上の注意点・ポイント
3.1 実務経験の証明
- 過去の飛行ログ(フライトレコーダー、ログブック)を正確に整理。
- どの国・どの形態(旅客/貨物/航空運送事業用)で飛ばしていたかを明記。特に 「航空運送事業用」 としての勤務歴があるかが重要。
- 所属していた航空会社からの推薦状、在籍証明書を取得。
3.2 雇用条件
- 日本国内の雇用主(航空会社)と、報酬・労働条件を明確にした契約を結ぶ。
- 雇用契約書は日本語+母語(または英語)で準備し、双方でサイン。
- 契約形態(正社員/契約社員/派遣など)、社会保険加入、勤務時間なども明示。
3.3 ビザ申請のサポート
- ビザ申請を成功させるには、 行政書士(申請取次行政書士含む) の支援を受けるのが一般的。
- 再申請・不許可時の対応も契約時に確認(再申請無料などの条件がある事務所も存在)
- ビザ変更:すでに技能ビザを取得して日本で働いている場合、将来的に 高度専門職ビザ への変更を検討する選択肢がある。
- 高度専門職ビザはポイント制であり、パイロットの経験や収入が評価され得る。
3.4 経営側の視点
- 航空会社は、外国人パイロットを採用する際に 入管基準 を十分理解し、報酬や労働契約を調整する必要がある。
- 経営状態の証明(決算書など)や事業計画の提示が重要。
- 将来的なビザ変更(高度専門職など)を見据えた制度設計。
4. パイロット技能ビザ申請の流れ
- 事前準備
- フライトログ整理
- 履歴書、操縦免許、経歴証明書取得
- 日本の航空会社との内定交渉・契約条件決定
- 入管申請
- 雇用契約書(または採用通知書、契約案)を用意
- 経歴説明書、会社実績説明書、決算書などを準備
- 行政書士に依頼して在留資格申請(COE=在留資格認定証明書)を行う
- 在留資格認定証明書(COE)取得
- 入管からCOE交付を受ける
- 本国でビザ(査証)を取得(必要に応じて)
- 来日・入国
- ビザが発給された後、日本へ入国
- 在留カード取得
- ビザの更新・将来的な変更
- 技能ビザの期間内に更新手続きを行う
- 必要に応じて 高度専門職ビザ(高プロ) への変更申請を検討
5. リスク・制限・注意事項
- 飛行時間要件のハードル:行政書士や入管により、要求される飛行時間が異なる。
- 報酬条件:日本人パイロットと同等以上の報酬が求められるため、交渉が難しい場合もある。
- ビザ不許可:書類不備、企業審査で問題があれば不許可になる可能性がある。
- 将来ビザ変更:最初から高度専門職を狙えない場合、技能ビザからのステップアップが必要。
6. Q&A(よくある質問)
Q1. 飛行経験が250時間しかないのですが、技能ビザを申請できますか?
→入管の審査官は 1,000時間以上 を基準にしています。
Q2. スキルビザ(技能)と「技術・人文知識・国際業務(技人国)」ビザのどちらが適切ですか?
→ パイロット業務(操縦士)については、技能ビザが最も一般的な在留資格とされています。一方、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」ビザは主に事務系・エンジニア系の職種向けです。
Q3. 家族を日本に呼んで一緒に住ませたいのですが、可能ですか?
→ 技能ビザ取得後、家族を「家族滞在」ビザで帯同させることが可能である。行政書士のサポートを受けて、家族滞在申請を同時に行うことが一般的です。
7. 専門家からのアドバイス
- 行政書士を活用する:特にパイロットのビザ申請は専門性が高いため、行政書士事務所に相談することがおすすめ。
- 航空会社と密に連携:企業側も入管要件を理解し、適切な雇用契約・報酬設計を行う必要がある。
- 将来的なキャリア設計を入管戦略に含める:技能ビザから高度専門職への移行を見据えることで、長期在留や家族帯同などの安定性が向上。
- 最新制度のチェック:入管政策や法改正(例:実務時間緩和議論など)を定期的に確認する。
- 書類・ログの記録管理:飛行ログや契約書などは日頃から正確に記録・保管。将来の申請や更新に備える。
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参考リンク
9. まとめ
- パイロットが日本で働くには、 技能ビザ(在留資格「技能」)が重要な選択肢。
- 飛行経験(ログ)、操縦免許、雇用契約など、複数の要件が厳格であるが、実績ある行政書士を活用すれば成功率を高められる。
- 将来的なビザ変更(高度専門職など)を見据えることで、長期的なキャリアを日本で築くことが可能。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |

