【外国人向け】会社印鑑とは?種類・役割・必要な場面を専門家が徹底解説(外国人社長・外国人社員のための完全ガイド)


1.外国人にとっての会社印鑑とは?

日本では、法人(株式会社・合同会社)には**「会社印鑑」**があり、会社の意思を示す公式の証明手段として広く利用されています。

とくに外国人にとっては、“なぜサインではなく印鑑なのか?”と疑問を持つことが多いですが、日本では次の理由が背景にあります。

日本で印鑑が重要視される理由

  • 会社の正式な承認行為として歴史的に使用
  • 法務局・金融機関・契約書類で印鑑が標準
  • 書類の真正性を担保するツールとして法律で扱われる

つまり、代表取締役のサインだけでは認められないケースが多く、外国人経営者も印鑑が必須となります。


2.会社印鑑の3種類(実印・銀行印・角印)

(1)会社実印(代表者印)

会社の最重要印鑑で、法務局に登録する公式印。

用途

  • 法人設立
  • 契約書の正式押印
  • 官公庁への届出
  • 融資・各種取引の重要書類

日本の会社の“本物のサイン”にあたります。


(2)銀行印

銀行に届出する印鑑。企業の金銭取引で使用されます。

用途

  • 法人口座開設
  • 振込・引き出し・証書類

(3)角印(社印)

日常業務用。多くの会社で最も使用頻度が高い印鑑。

用途

  • 見積書
  • 請求書
  • 領収書

※法務局登録は不要。


3.外国人が会社印鑑を作るときの注意点

① ローマ字で作るか、日本語で作るか?

外国人代表者の場合、会社印鑑はローマ字でも日本語でも作成可能です。

ただし法律上は次の点に注意:

  • 法務局は「会社名(商号)」の表記を重視
  • 代表者名はローマ字でも問題なし
  • 銀行によっては日本語表記を推奨することがある

② 在留カードの確認が必要

印鑑屋で会社印鑑を注文する際は、以下を求められることがあります。

  • 在留カード
  • 会社の登記内容
  • 代表者情報

4.外国人代表者が法務局で印鑑登録する方法

外国人代表者でも、日本人と同様に法務局で法人印を登録できます。


登録に必要な書類

  • 会社実印(物理の印鑑)
  • 登記申請書
  • 印鑑届出書
  • 本人確認書類(在留カード・パスポート)

補足
株式会社でも合同会社でも手続きは共通です。


5.会社印鑑が必要になる主な場面

1. 法人設立手続(登記)

印鑑は設立時から必要。
合同会社でも株式会社でも必須です。


2. 契約締結(重要契約)

  • 取引基本契約書
  • 業務委託契約
  • 売買契約
  • 役員決議書

多くの契約書は会社実印または角印を使います。


3. 銀行手続

  • 法人口座開設
  • インターネットバンキング契約
  • 借入・融資手続
    → 銀行印が基本。

4. 証明書発行(印鑑証明書)

会社の本人確認として利用。


5. 実務書類

  • 見積書
  • 請求書
  • 領収書
    → 角印が一般的。

6.電子印鑑・電子契約との違い

電子印鑑はどこまで使える?

  • PDFへ押す電子印鑑
  • クラウドサービスの電子印

これらは日常業務で便利ですが、法務局登録はできません


電子契約サービス(クラウドサイン等)

  • 法的効力はある
  • 銀行や官公庁では紙+実印が必要な場合あり
  • 外国人経営者の書類業務を大幅に軽減

7.外国人経営者が困りやすいポイント

① サイン文化と印鑑文化の違い

契約書の署名欄にサインではなく「押印」を求められる。


② 会社印鑑を誰が保管するか

外国人代表者が不在の場合、管理者を決めないと
・勝手な契約
・紛失リスク
などの問題が起こりやすい。


③ 銀行手続が複雑

外国人だけで銀行口座を開けないケースがあるため要注意。


8.会社印鑑をなくした場合の対処

紛失時の手続

  1. 印鑑の廃止届を法務局へ提出
  2. 新しい印鑑を作成
  3. 新印鑑の登録
  4. 取引先へ印鑑変更の通知

法人の印鑑は悪用されると大きなトラブルになるため、
紛失時はすぐに登録変更が必須です。


9.まとめ

外国人にとって会社印鑑は、日本のビジネスで欠かせない公式ツールです。

  • 実印:会社の“サイン”として最重要
  • 銀行印:金融機関用
  • 角印:日常業務用
  • 電子契約の普及は進むが、実印は依然として必須

日本で会社を設立する外国人は、
「どの場面でどの印鑑を使うか」を理解しておくことで、
スムーズに事業を進めることができます。


10.よくある質問(Q&A)


Q1. 外国人代表取締役でも会社印鑑を登録できますか?

はい、問題なく登録できます。
在留カード等の本人確認書類が必要です。


Q2. ローマ字の印鑑を作るのはOK?

OK。ただし銀行によっては日本語表記を求める場合があります。


Q3. 印鑑証明書は外国人でも取得できますか?

取得できます。
代表者として法務局で印鑑登録していればOKです。


Q4. 電子契約なら印鑑は不要?

→ 電子契約が普及したとはいえ、
会社設立・銀行・官公庁関係は実印が必要です。


Q5. 会社印鑑は誰が保管すべきですか?

原則、代表者または信頼できる管理者。
不正押印の防止のため鍵付きの保管が推奨されます。


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