技術・人文知識・国際業務ビザで5年を取る方法|審査で見られる6つの評価基準
目次
─ 必要要件・審査ポイント・更新時の注意点まで徹底解説【専門家監修】
在留期間5年の「技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)」を取得したい人向けに、必要条件・ポイント・審査事情・5年認定を受けるための実務的コツを詳しくまとめた完全ガイドです。
企業の採用担当者や、ビザ申請を予定する外国人の方に向けて、最新の入管運用を踏まえて解説します。
1. 技術・人文知識・国際業務ビザとは?
**「技術・人文知識・国際業務」ビザ(通称:技人国ビザ)**は、日本の企業で
- ITエンジニア・SE
- 営業職・企画職
- 事務職
- 貿易・通訳・海外担当
- 経理・マーケティング
など、ホワイトカラー系の専門業務に従事する外国人材に与えられる就労ビザです。
・ 裁量労働・客先常駐・派遣形式でも内容が専門業務であれば適法
・ 学歴または実務経験が基準となる
許可される在留期間は「5年・3年・1年・3か月」の4区分ですが、企業としては「5年」を取得することで安定的に雇用でき、更新負担も軽減できます。
2. 「在留期間5年」が与えられる条件とは?
入管法上、在留期間の長さに明確な基準は示されていません。
しかし、実務上は次の項目が「5年」付与の判断基準となっています。
2-1 会社の経営状況が良好
- 黒字決算または安定した経営基盤
- 税金・社会保険の未納がない
- 従業員の適正な労務管理
- 離職率が低い、もしくは適正な雇用運用
→ 赤字企業でも5年が付く可能性はあるが、安定継続性の評価が大幅に下がるため注意。
2-2 本人の職歴・学歴が安定している
- 学歴(大学・短大・専門学校)が業務内容と合っている
- 同じ企業で長期就労している(3年以上が目安)
- 転職回数が多すぎない
- 不法就労・オーバーワーク歴がない
2-3 給与・待遇が適正
- 同職種の日本人と同等以上
- 社会保険加入済み
- 雇用契約がフルタイムかつ無期雇用であると高評価
→ 正社員・期間の定めなし契約は5年を取得しやすい。
2-4 これまでの在留状況が良好
- 住民税の未納なし
- 年金・健康保険の未納なし
- 転居・転職の届出を適切に提出
- 前回更新で問題なし
→ 特に2019年以降は税金・社会保険の未納は致命的。
3. 技人国5年の取得を目指すための審査ポイント
入管が「5年」を判断する際の着眼点は次の通り。
(1)職務内容が安定し、長期雇用が見込めるか
契約社員でも可だが、
- 正社員
- 無期雇用
- 長期プロジェクト参画
など、継続性があるかどうかが重要。
(2)企業の人事管理体制
- 外国人雇用状況届出が適切
- 厚生年金・社会保険加入
- 労働基準法に抵触なし
- 過去に不許可・取消し事例がない
(3)本人のコンプライアンス
- アルバイト超過など違反なし
- 過度な転職を繰り返していない
→ 安定した履歴が「5年」への最重要項目です。
4. 初回申請で5年が出ない理由
実務では初回は1年または3年が多いです。
理由:
- 新規雇用なので「継続性」が未知
- 本人・企業の実績が評価しにくい
- 雇用契約が試用期間中であることが多い
ただし、
・ 大企業
・ 上場企業
・ 外国人採用実績多数
・ 本人が経験豊富
であれば、初回から5年が出ることもあります。
5. 在留期間を1年→3年→5年へ伸ばす方法
着実に在留期間を伸ばすには、以下の運用が最も効果的です。
(1)税金・年金・健康保険を100%納付
5年取得の最大ポイント。
納税証明・年金記録は審査で必ず確認されます。
(2)企業側が「継続雇用」書類を整備
- 雇用契約書
- 会社案内
- 給与台帳
- 決算書
- 就業規則
(3)同じ会社で勤務を継続
→ 3年以上働くと大幅に「5年」が出やすくなる。
(4)更新時に「5年希望」を明記
提出書類の「理由書」「申請書付属書類」に必ず記載。
6. 必要書類一覧(企業側・本人側)
企業側書類
- 登記事項証明書
- 決算書(直近1期〜3期)
- 会社案内
- 給与台帳
- 雇用契約書
- 役員名簿
- 外国人の仕事内容を説明する資料
- 社会保険加入証明
- 労働条件通知書
本人側書類
- パスポート
- 在留カード
- 履歴書
- 卒業証明書・成績証明書
- 職務経歴書
- 住民税の課税証明書・納税証明書
- 在留期間更新理由書(更新の場合)
7. 5年ビザ取得の実務的ポイント(企業向け)
(1)無期雇用・正社員化で5年の可能性UP
契約社員より正社員の方が圧倒的に有利。
(2)外国人受入体制を整える
- 社会保険加入
- 人事担当者の責任者設定
- 日本人と同等の待遇
- 外国人管理台帳の整備
(3)給与は同等職種の日本人以上で設定
低すぎる給与は「偽装雇用」疑われやすい。
(4)業務内容が明確で専門性があること
単純労働(倉庫作業・配達・清掃・接客のみ)は不可。
仕事内容を詳細に書くことで審査が通りやすくなります。
8. よくあるQ&A
Q1. 初回で5年は取れますか?
可能ですが、一般的には稀です。
大企業・上場企業や、本人が即戦力で職歴豊富な場合は初回5年が出ることがあります。
Q2. 転職直後でも5年は取れますか?
転職直後は不利です。
同じ企業で2〜3年以上勤務してからの方が5年の可能性が高いです。
Q3. 給与が低いと不利になりますか?
はい。
地域別最低賃金付近の給与は、5年どころか不許可リスクが生じます。
Q4. 会社が赤字でも5年は出ますか?
「経営の安定性がある」と判断されれば可能。
ただし、黒字企業よりハードルは高いです。
Q5. 派遣社員でも5年は取れますか?
可能です。
ただし、派遣先での業務内容の専門性を明確化する書類が必要です。
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10. 参考リンク
まとめ:5年ビザは「企業の信用×本人の安定履歴」で決まる
在留期間5年の技術・人文知識・国際業務ビザは、本人の優秀さだけでは取得できません。
- 企業の経営状態
- 社会保険・税金の適正管理
- 本人の在留歴
- 専門性の高さ
- 長期雇用の見込み
これらが総合的に評価され、初めて「5年」が付与されます。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |

