どうやって外国人留学生が介護ビザ(在留資格「介護」)を取得しますか?

近年、日本の介護業界では外国人の人材受け入れが進み、外国人留学生でも介護ビザ(在留資格「介護」)を取得して働くことが可能になっています。本記事では、外国人留学生が介護ビザを取得するための要件や手続き、更新・永住申請のポイントまで、詳しく解説します。


1.介護ビザとは?

介護ビザは、外国人が日本で介護福祉士として働くために設けられた就労ビザの一つで、正式には在留資格「介護」と呼ばれます。2017年9月に創設され、2023年6月末時点で8,093人が資格を保有しています。

在留資格「介護」の特徴

介護ビザは、介護福祉士の国家資格を持つ外国人が、日本の介護施設で働くための資格です。主な特徴は以下の通りです。

在留資格概要
特定活動(EPA介護福祉士)日本と他国の経済連携協定(EPA)に基づき、介護福祉士として働く資格
介護国家資格「介護福祉士」を取得した外国人が日本で介護業務に従事するための資格
技能実習「介護」日本で介護技術や知識を学び、自国で活かすことを目的とする資格
特定技能(介護)深刻な人手不足を解消するため、一定の技能を持つ外国人が働く資格

外国人留学生向けの介護ビザは、以下の条件を満たす必要があります。

要件内容
介護福祉士資格の有無必須
受入国特になし
実務経験介護福祉士養成施設で2年以上
在留期間制限なし(更新可能)

介護ビザでできる業務

介護ビザを取得した外国人は、以下の業務に従事できます。

  • 身体介助(入浴・食事・排泄など)
  • 生活援助(掃除・洗濯・買い物の補助)
  • 介護指導(介護家族へのアドバイスや介護用具の使い方説明)

勤務先も「特別養護老人ホーム」「有料老人ホーム」「介護療養型医療施設」など幅広く選べ、デイサービスや訪問サービスにも従事可能です。

家族の帯同も可能

介護ビザ保持者は、配偶者や子どもを「家族滞在」の在留資格で日本に呼ぶことができます。ただし、両親や兄弟などは対象外です。


2.介護ビザの取得要件

介護ビザを取得するには、次の条件を満たす必要があります。

  1. 介護福祉士の資格を取得していること
    介護ビザは国家資格「介護福祉士」を持つ外国人のみが対象です。
  2. 日本の介護施設と雇用契約を結ぶこと
    「介護福祉士登録証」と「雇用契約書」の提出が必須です。
  3. 職務内容が介護または介護指導であること
    介護業務に従事していることが条件です。
  4. 日本人と同等以上の報酬を受けること
    外国人差別や低賃金労働を防ぐためです。

3.外国人留学生が介護ビザを取得する方法

留学生が介護ビザを取得するためには、まず国家資格「介護福祉士」を取得する必要があります。その流れは以下の通りです。

(1)介護福祉士養成施設に進学

外国人留学生は、介護福祉士養成施設に2年以上通学する必要があります。通学中はアルバイトとして介護職に従事することも可能です。

  • 就労時間の制限
    • 通常時:週28時間以内
    • 長期休暇中:週40時間以内

現場経験を積みながら給与を得られる点が魅力です。

(2)国家試験に合格

養成施設卒業後、介護福祉士国家試験を受験します。試験は日本語で実施されるため、外国人には難易度が高いですが、資格取得後は即戦力として活躍できます。

(3)在留資格を変更

技能実習生や特定技能で来日している場合は、在留資格を「介護」に変更することでビザを取得できます。

  • 技能実習生:自国で介護技術を活かすことが目的
  • 特定技能:日本の介護分野での人材不足解消が目的

必要条件は以下の通りです。

  • 介護施設で3年以上の実務経験
  • 介護福祉士国家試験の合格
  • 在留資格変更申請の提出

4.介護ビザの申請方法

(1)申請のタイミング

介護ビザは以下のタイミングで申請できます。

  1. 在留資格を新規取得するとき
  2. 在留資格を変更するとき
  3. 在留資格を更新するとき

外国人留学生は、新規取得や更新の際に必要書類を準備します。

(2)申請の流れ

  1. 必要書類を準備
  2. 申請書を記入
  3. 申請書と必要書類を提出
  4. 審査結果を待つ(1〜3か月が目安)
  5. 介護ビザを受け取る

※提出書類に不備があると、審査が長引く可能性があります。

(3)必要書類

  • 在留資格認定証明書交付申請書:1通
  • 介護福祉士登録証の写し:1通
  • 雇用契約書の写し:1通
  • 受入機関の概要書:1通
  • 証明写真(4×3cm、背景なし):1枚
  • 返信用封筒:1通

提出時、代理人が申請する場合は身分証明書も必要です。


5.在留期間と更新・永住申請

(1)在留期間

  • 介護ビザの在留期間は最長5年
  • 満了日の3か月前から更新申請可能
  • 更新回数に制限はなし

(2)更新に必要な書類

  • 在留期間更新許可申請書:1通
  • 証明写真:1通
  • 雇用契約書の写し:1通
  • 住民税の課税証明書・納税証明書:各1通
  • パスポート・在留カードの提示も必要

(3)永住申請の可能性

介護ビザで長期間勤務することで、永住権取得も可能です。

  • 条件
    • 介護ビザで5年以上就労
    • 日本で合計10年以上滞在
  • 永住のメリット
    • 就労制限なし(職種・勤務形態の自由)
    • 在留期間の制限なし(定期更新不要)
    • キャリアアップや職業選択の幅が広がる

まとめ

外国人留学生が介護ビザを取得するには、以下のステップが必要です。

  1. 介護福祉士養成施設で2年以上学ぶ
  2. 介護福祉士国家試験に合格する
  3. 日本の介護施設と雇用契約を結ぶ
  4. 在留資格「介護」への変更・申請を行う

介護ビザは、家族の帯同が可能で、在留期間の更新制限もなく、永住申請も視野に入れられる点が大きな魅力です。外国人留学生が日本で長期的に介護福祉士として活躍するための重要な資格となっています。

無料相談

まずは、無料相談に、お気軽にお申込み下さい。ご相談の申し込みは、「お問い合わせページ」から承っております。なお、無料相談は事前予約制とさせて頂いています。

      「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」  同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))  明治大学法科大学院修了 「資格」  行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」  入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法
    「記事監修」
    加納行政書士事務所
    運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/  

    代表
    特定行政書士 加納 裕之  
    「学歴」
     同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学))
     明治大学法科大学院修了
    「資格」
     行政書士(特定付記)、TOEIC805点
    「専門分野」
     入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法