個人事業主の場合の帰化申請|必要書類・審査ポイント・注意点を徹底解説
目次
1.個人事業主でも帰化申請は可能?
結論から言えば、
個人事業主(自営業)でも問題なく帰化申請できます。
むしろ日本には飲食業・小売業・建設業・通訳・エンジニアなど、多くの外国人個人事業主が帰化を取得しています。
ただし、
・ 給与所得者よりも審査が厳しい
・ 提出書類が圧倒的に多い
・ 会計・経理が不十分だと不許可になりやすい
という特徴があります。
2.個人事業主の帰化申請が難しいと言われる理由
個人事業主は所得が安定していない人が多く、
法務局は「長期的に安定した生活力があるか」を細かく審査します。
特に以下の点が厳しくチェックされます:
① 売上・所得の安定性
・毎年売上が大きく上下していないか
・事業が継続して安定する見込みがあるか
② 経費の使い方が適切か
不自然に経費が多く「実質生活できていない状態」は注意。
③ 納税状況
個人事業主は税金の自己管理が必要なため、
・所得税
・消費税
・事業税
・住民税
等の未納があると即NGです。
④ 社会保険加入状況
国民健康保険、国民年金など未加入や未納があると不許可リスク。
3.帰化申請の基本要件(個人事業主が特に注意すべき点)
帰化要件:
一般的な要件は以下です。
- 住所要件(日本在住5年以上)
- 能力要件
- 素行要件
- 生計要件
- 重国籍防止要件
- 憲法遵守義務
- 日本語能力
個人事業主が特に注意すべきは次の4つ。
(1)素行善良要件
・交通違反
・税金の滞納
・社会保険料の未納
・無申告
などがあると不許可の可能性。
(2)生計要件(最重要)
個人事業主は「安定した収入」を証明しにくいため、
3年〜5年程度、黒字+安定した売上
があると安心です。
(3)納税要件
税金の未納・滞納があると即アウト。
特に以下が厳しく見られます:
・所得税の申告漏れ
・消費税の未納
・予定納税をしていない
・税務署から是正指導を受けた過去がある
(4)社会保険加入状況
国民健康保険・国民年金の未加入や未納があると大きなマイナス。
4.個人事業主の帰化申請で必要となる書類一覧
個人事業主は「給与所得者より書類が多くなる」ことが特徴です。
基本書類(共通)
・帰化許可申請書
・履歴書
・親族関係書類
・在留カード
・パスポート
・住民票
・住民税の課税証明書・納税証明書
・交通違反記録
・預金通帳の直近12ヶ月分
自営業(個人事業主)に特有の書類
以下が最も重要です:
① 確定申告書一式(3〜5年分)
・青色申告
・決算書
・収支内訳書
・青色申告決算書(損益計算書・貸借対照表)
② 事業の実態が分かる書類
・請求書・領収書
・契約書
・売上台帳
・仕入台帳
・経費帳
・口座の入出金記録
③ 事業に関する許可証(必要な業種のみ)
・飲食店営業許可
・建設業許可
・通訳案内士免許など
④ オフィス・店舗の証明
・賃貸借契約書
・店舗の写真
・固定電話、光回線、POSなどの契約
⑤ 消費税の申告書(課税事業者の場合)
・消費税申告書
・納税証明書
⑥ 社会保険加入状況
・国民健康保険証
・国民年金の納付記録
・付加年金加入履歴など
5.「黒字」「納税」「社会保険」の審査ポイント
法務局が重視するのは次の3点です。
① 黒字が続いているか(3年連続が理想)
1年だけ黒字/翌年赤字
→ 不安定と判断されることが多い。
黒字幅は人によってまちまちですが、
最低ラインは「生活費を賄える程度の所得」 です。
② 税金を正しく申告・納付しているか
特に重要なのは:
所得税
過少申告・無申告があるとほぼ不許可。
消費税
課税事業者なのに申告していないケースは重大違反。
事業税
忘れがちだが審査でチェックされる。
③ 社会保険料の未納がないか
国民年金は未納があると不許可リスク。
特に重要なのは
「直近1~2年に未納なし」
です。
6.売上が低い・赤字でも帰化できる?
ケース1:売上は低くても黒字なら可能
生活費を賄える程度の所得があれば問題ありません。
ケース2:赤字がある場合
赤字でも絶対に不許可ではありませんが、以下の場合は厳しい:
・数年連続の赤字
・生活が成り立っていない
・貯金が少ない
・事業の発展可能性が低い
逆に、
・ 赤字でも貯金が1000万円~3000万円
・ 配偶者の収入が高く家計が安定
などの場合、許可されるケースもあります。
7.帰化申請の流れ(個人事業主編)
- 事前相談予約(法務局)
- 収入・税金・社会保険などの状況確認
- 提出書類の準備(約1〜3ヶ月)
- 法務局面談(事業内容の詳細を聞かれる)
- 審査(6ヶ月〜1年)
- 官報告示 → 帰化許可
- 日本国籍取得・戸籍編製
個人事業主は「追加書類」が出やすいため、審査が長くなる傾向があります。
8.個人事業主の帰化申請でよくある不許可事例
以下はよくあるパターンです。
消費税の未納・申告漏れ
→ 個人事業主に最も多い不許可理由。
売上の急激な変動
→ 一時的な事業で安定性がないと判断。
経費が異常に多い
→ 生活費が足りず「生計要件不適合」。
国民年金の未納
→ 数ヶ月でも影響大。
税務署に指摘を受けたことがある
→ マイナス評価。
9.審査でプラス評価になるポイント
帳簿が整っている
売上台帳、経費帳、請求書、領収書などの記録が整備されていると高評価。
黒字経営が3年以上
安定性が評価されます。
貯金が多い
500万〜1000万円の預金があると非常に強い。
配偶者(日本人/永住者)の収入が安定している
家計全体で審査されるためプラス。
10.個人事業主の帰化申請|よくあるQ&A
Q1. 個人事業主は会社員と比べて不利ですか?
A:不利ではありませんが、審査が細かくなります。
売上・経費・税金・社会保険の管理がきちんとしていれば問題なし。
Q2. 副業でも個人事業主扱いになりますか?
A:はい、副業の個人事業主でも帰化申請可能です。
Q3. 赤字でも許可されますか?
A:軽微な赤字・一時的な赤字なら許可されるケースあり。
ただし、数年連続は厳しい。
Q4. 帰化申請前の「税務調査」はありますか?
A:基本的にありません。
ただし、売上・経費の整合性が怪しいと追加書類を求められます。
Q5. 確定申告書は何年分必要ですか?
A:最低3年、できれば5年分用意すべきです。
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12.参考リンク
13.まとめ
個人事業主でも帰化申請は十分可能です。
しかし、
・ 黒字経営
・ 納税・申告の正確さ
・ 社会保険の加入
・ 帳簿の整備
など「経営と生活の安定性」を証明する必要があります。
個人事業主は書類が多く、審査が長くなりがちですが、
しっかり準備すれば許可率は高くなります。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |

