海外在住夫婦のための日本人の配偶者ビザ取得ガイド|条件・必要書類・審査ポイント
目次
1. 概要:海外在住夫婦でも「日本人の配偶者等」は申請可能?
日本人の配偶者等は、日本人と婚姻(または実子・特別養子など)している外国人が日本に在留・生活基盤を持つことを目的とした在留資格です。
そのため、「海外在住だから絶対にダメ」というわけではなく、「海外在住 → 日本に帰国あるいは日本に生活拠点を移す意思・見込みがある」などの条件を満たせば、申請が可能とされるケースがあります。たとえば、「海外在住の夫婦が一緒に日本に帰国するために配偶者ビザを取得する」という実務解説があります。
ただし、通常の国内申請と比べて審査が慎重になること、申請方法・書類の準備に特別な配慮が必要であることが実務として指摘されます。
したがって、結論としては 「はい、海外在住の夫婦でも申請可能だが、条件・準備が重要」 ということになります。
2. 「国内在住」と「海外在住」の違い・注意点
海外在住のケースでは、次のような「通常の国内申請」と異なる点・注意点があります。
2-1 生活の基盤・居住実態の証明
国内に居住している場合は、日本人配偶者の住民票・住居・納税・就労状況などが比較的明示しやすいですが、海外在住の場合、「日本に戻って生活を始める意思・見込み」「日本での住居・生活基盤の確保」などを明らかにする必要があります。たとえば、海外在住の夫婦が申請する際には、日本人配偶者が日本に帰国・住居確保・住民登録をする例が一般的とされています。
また、申請代理人を日本に居住している親族等に頼むケースもあります。海外在住の夫婦では、日本に居住している親族が代理人になることができます。
2-2 「申請代理人」の問題
海外在住者がそのまま日本から申請するのは難しく、代理人を立てる必要が出てくる場合があります。実務上、「日本人配偶者が先に日本に戻って申請する」「日本にいる親族に代理申請してもらう」などのパターンがあります。
2-3 書類の取得・翻訳・証明の負担
海外での暮らし・婚姻の実態を証明するための書類(海外で発行された結婚証明書・婚姻届受理証明書・日本語訳など)や、スナップ写真・やりとり記録などを添付する必要があります。特に偽装結婚防止の観点から「夫婦関係の実態」を示す資料が重視されています。
さらに、日本人配偶者側の住民票・納税証明・在職証明など、日本での生活実績を示す書類が求められるケースが多く、海外在住だとこれらを揃えるのがハードルとなることがあります。
3. 海外在住夫婦が申請する主なパターン
海外在住の夫婦がこの在留資格を取得するためにとられる主なパターンを3つ紹介します。それぞれメリット・デメリットがあります。
パターン①:日本人配偶者が先に日本へ帰国・居住を確立 → 外国人配偶者を呼び寄せる
- 日本人配偶者が日本に先に戻り、住居を確保し住民登録をする。
- 居住実態や収入・納税状況の証明がそろった段階で、外国人配偶者のために「在留資格認定証明書交付申請」を行う。
- 交付後、海外の配偶者が査証(ビザ)を取得して来日。
このルートが最も「居住実態・生活基盤」が明りょうで、申請上安心とされます。
パターン②:日本人配偶者・外国人配偶者とも海外在住 → 日本に二人で帰国という形
- 夫婦とも長期間海外在住という状況から帰国を前提に、申請を準備する。
- この場合も「日本に居住する親族の代理申請」を使うケースがあります。代理人が日本人配偶者に代わって申請を行う。
- ただし、生活実績の証明・帰国の意思・住居確保の証明という点でハードルが上がります。
パターン③:短期滞在等のビザで来日 → 在留資格変更申請という方法(例外的)
- 海外在住の外国人配偶者が短期滞在(90日など)で来日し、その間に「在留資格認定証明書交付申請」または「在留資格変更申請」を行う例もあります。
- ただしこれは例外的な取扱いとなる場合が多く、慎重な準備が必要です。
- 滞在中に申請をするため、時間的猶予や手続きの余裕が少ない点も注意です。
4. 手続きの流れ(海外在住夫婦の場合)
海外在住の夫婦が「日本人の配偶者等」を取得するまでの一般的な流れを、ポイントと共に整理します(あくまでも典型例・個別ケースにより異なります)。
- 結婚の証明・資料準備
– 海外で婚姻をされている場合、現地の婚姻証明書・登録書・日本語訳を用意します。
– 夫婦の交流・実態を示す資料(写真・通信履歴・旅券コピーなど)を準備します。 - 日本人配偶者側の準備
– 日本国内での住居確保・住民登録・住民票取得(世帯全員記載)・納税証明書・在職証明など。海外在住の場合、この点が最もハードルとなることがあります。
– もし日本に帰国・居住を予定しているなら、その意思・準備状況も整理しておきます。 - 申請代理人の設定(必要な場合)
– 夫婦とも海外在住なら、日本在住の親族(6親等以内の血族・3親等以内の姻族・配偶者)が代理人として申請を行うパターンがあります。
– 代理人となる方の住民票・納税証明なども整えておく必要があります。 - 在留資格認定証明書交付申請
– 日本国内の所轄出入国在留管理局へ、書類一式を提出します。海外在住の場合、代理申請が中心になるため郵送・国際送付なども活用されます。
– 審査には通常1~3ヶ月程かかることがあります。海外在住の特例状況などではそれ以上かかることも。 - 外国人配偶者が日本に入国
– 在留資格認定証明書が交付されたら、外国人配偶者は在外日本公館(大使館・領事館)で査証(ビザ)を取得します。
– 日本へ入国し、在留カードを受け取り、日本での生活を開始します。 - 住民登録・住所届出など
– 日本に入国後、住居地の市区町村役場で住民登録を行い、住民票を作成します。
– 継続して在留資格の更新・生活実績の報告を行えるように準備します。
5. 海外在住夫婦が申請で抑えておくべきポイント・リスク
海外在住という事情が加わると、以下のようなポイント・リスクがあります。注意を怠ると不許可となる可能性もあります。
- 実態の証明が難しい:長期間海外におられると、「日本に住む意思・生活基盤」があるかどうか疑問視される可能性があります。実際、住民票・住民税の証明がとれないというケースが指摘さます。
- 帰国・住居確保の見込みの説明:日本人配偶者が日本に戻る予定がある、あるいは日本での居住を開始する準備があるという説明があると好ましいとされます。
- 代理申請の整備:日本在住の代理人がいるか、代理人に求められる書類(住民票・納税証明など)が揃っているかを事前に確認しましょう。
- 婚姻実態の信憑性:海外婚・海外生活という点だけで「偽装婚の可能性がある」と見られることもあり、夫婦関係の実態を示す資料(写真・通信記録・旅券の旅行履歴等)を充実させる必要があります。
- 時間的余裕の確保:審査に時間がかかることを見込んで、早めに準備を進めましょう。海外からの書類取得・翻訳などが遅れるケースが多いためです。
- 専門家の活用:海外在住という少し特殊な状況では、専門の行政書士・ビザ専門家に相談することで、書類整備・代理申請・審査対応をスムーズに行えます。
6. Q&A(よくある質問)
以下、海外在住夫婦が「配偶者ビザ(日本人の配偶者等)」を申請する際によく寄せられる質問と回答を整理します。
Q1. 日本人配偶者が現在海外赴任中・海外在住で、配偶者ビザは申請できますか?
A. 原則として日本に居住している日本人配偶者が申請主体となる方が審査上安心です。ただし、海外在住のままでも「日本に帰国・居住開始の意思・見込み」が明らかであれば申請可能なケースがあります。たとえば、「日本に帰任予定である旨の勤務先証明」「日本の持家がある」「代理人による申請」などの事例があります。
Q2. 夫婦とも海外在住ですが、代理人を立てれば申請できますか?
A. はい、日本在住の親族等が代理人となって申請を行うことが実務的に可能とされています。代理人の範囲は「6親等内の血族・3親等内の姻族・配偶者(日本人配偶者の配偶者)」。 ただしこの場合も、代理人の書類(住民票・納税証明など)が整っていること、夫婦双方の実態・意図が明らかであることが重要です。
Q3. 書類が海外からの取得・翻訳になるので時間と費用がかかるのでは?
A. はい、確かに海外在住の場合は現地での証明書取得・翻訳・公証などが必要になるケースが多く、時間・手続き・郵送コストがかかることがあります。書類不備・翻訳ミス・証明書の形式相違などが審査遅延・不許可の原因となることもあるため、事前に必要書類をきちんと確認することが重要です。
Q4. 海外在住のまま日本に入らず申請できますか?
A. 通常、申請主体となる日本人配偶者または代理人が日本国内から申請を行う必要があります。海外在住のまま日本の入国管理局で申請を行うことは原則困難です。実務では、申請前に日本人配偶者が帰国し、住民登録等を行ってから申請するパターンが多く見られます。
Q5. 海外在住が長期間でも、審査に影響しますか?
A. はい、長期間日本に居住していない場合、「日本での生活拠点・連続性」があるかどうか疑われることがあります。たとえば、在留期間更新の際に海外在住のままで更新が可能かという相談では、「一度日本に入国し申請をする必要がある」「日本に戻る予定がある旨を証明する書類を提出すれば更新可」という実例があります。
7. 海外在住夫婦の申請を成功させるためのチェックリスト
海外在住という状況で安心して申請を進めるために、以下のチェックリストを活用ください。
- 結婚証明書(海外発行)+日本語訳が揃っているか
- 夫婦のやりとり・実態を示す資料(写真・通信履歴・旅券スタンプ等)
- 日本人配偶者側の住民票・納税証明・在職証明など(日本での生活実績・見込み)
- 日本に住居を確保する予定・意思がある旨の資料(契約書・見込み・勤務先証明等)
- 日本在住代理人(必要な場合)の住民票・納税証明が揃っているか
- 申請書類提出先・必要書類を確認。余裕を持って取得・翻訳・送付する
- 海外からの郵送・翻訳・認証手続きにかかる時間を見込んでスケジュールを立てる
- 専門家(行政書士・入管申請取次行政書士等)に相談・確認する
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9. まとめ:海外在住夫婦でも“十分な準備”で配偶者ビザ申請は可能
海外在住のご夫婦の場合、「日本人配偶者が日本に居住している/日本に帰国・居住開始の意思がある」という前提を整えておくことで、日本人の配偶者等の申請は十分に可能です。逆に言えば、これらが曖昧だと審査で「生活実態」「居住拠点」「偽装婚かどうか」の疑義を持たれやすく、結果的に不許可となるリスクが高くなります。
特に、
- 日本人配偶者の住民票・納税等実績の有無
- 日本での住居・生活基盤を確保・確保予定の明示
- 夫婦の実態関係を裏付ける書類
- 書類の翻訳・認証・取得までのスケジュール管理
などをしっかり固めておくことが、成功確率を高める鍵となります。
また、海外在住という状況が一般的な「国内婚・国内在住」ケースと比べて少数者であるため、専門の行政書士・入管申請取次行政書士などに早めに相談しておくことを強くおすすめします。実務事例としても、海外在住の夫婦が代理申請・帰国予定証明などを添えて許可を得たケースがあります。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |

