【完全ガイド】興行ビザ(在留資格「興行」)の許可要件と実務ポイント|エンタメ業界で外国人を雇用するための最新情報
興行ビザ(在留資格「興行」)の許可要件を徹底解説。1号〜3号の違い、必要書類、芸能事務所・スポーツ団体が注意すべきポイントを行政書士の視点から詳しく解説。
目次
1.興行ビザとは?対象となる活動の範囲
「興行ビザ(在留資格『興行』)」とは、芸能・スポーツなどのエンターテイメント分野における報酬を得る活動を目的とする在留資格です。
法務省による定義では、次のような活動が含まれます。
- 舞台、音楽、映画、テレビ、演芸などの芸能活動
 - プロスポーツ選手や監督、コーチなどのスポーツ興行活動
 - モデル、ショーダンサー、歌手、俳優、YouTuberなどパフォーマンスを通じた活動
 
興行ビザは、単に「芸能人用ビザ」ではなく、国際的な文化交流・産業促進を目的とした在留資格でもあります。
2.興行ビザの3つの類型(1号~3号)
興行ビザは、活動の内容や受け入れ機関の形態によって3つのタイプに分かれています。
| 区分 | 対象となる活動 | 主な職種例 | 
|---|---|---|
| 興行1号 | 芸能活動・ショー・映画・テレビ・音楽・演劇等 | 歌手、俳優、ダンサー、モデル、演奏家など | 
| 興行2号 | スポーツに関する活動 | プロ野球選手、サッカー選手、ボクサー、監督など | 
| 興行3号 | その他、短期イベント・公演での特定活動 | 外国人モデル・短期アーティストなど | 
それぞれで求められる審査基準が異なり、特に「1号」は芸能事務所などの受け入れ体制や興行内容の信頼性が重視されます。
3.興行ビザの許可要件|活動内容別の具体的基準
(1)芸能活動(興行1号)の許可基準
芸能活動を行う場合、次の要件をすべて満たす必要があります。
■ ① 芸能活動の内容が公的に評価されるものであること
- 公演・撮影・イベント等が公共性の高い場所やメディアで行われること
 - 反社会的行為や風俗営業に該当しないこと
 
■ ② 活動の継続性・収益性が明確であること
- 芸能事務所や興行主との正式な雇用契約・委任契約があること
 - 活動計画書により、出演予定やスケジュールが具体的に示されていること
 
■ ③ 契約機関の信頼性
- 芸能事務所が一定の経営規模・財務基盤を有すること
 - 反社会的勢力との関与がないこと
 - 外国人の管理責任者(担当者)が明確であること
 
■ ④ 報酬・待遇が日本人と同等以上であること
- 報酬額は日本人と同等またはそれ以上であることが求められます。
 
(2)スポーツ活動(興行2号)の許可基準
スポーツ分野の場合、以下の条件を満たすことが必要です。
- 公認団体(例:Jリーグ、NPB、ボクシング協会等)に所属していること
 - 日本国内で報酬を得る契約があること
 - チーム・団体が適法に運営され、選手の在留管理体制が整っていること
 
(3)短期イベント・その他(興行3号)の許可基準
短期間(概ね3ヶ月以内)のイベント出演、撮影、モデル活動などが対象です。
- 活動内容が一時的かつ明確であること
 - 興行主が過去に不適正な興行を行っていないこと
 - 公序良俗に反しないイベントであること
 
4.雇用する事業者側の条件(契約機関の要件)
外国人タレントやアーティストを受け入れる**契約機関(事務所・団体等)**にも厳格な条件が課されています。
| 要件 | 内容 | 
|---|---|
| 経営基盤 | 直近の決算で赤字がなく、安定的な経営状態であること | 
| 契約管理体制 | 契約書・給与明細・スケジュール管理が整備されていること | 
| 適正業務 | 風俗営業等に該当しない事業であること | 
| 外国人支援体制 | 生活サポートや通訳体制が整っていること | 
5.必要書類一覧と申請手続きの流れ
■ 提出書類の例
- 在留資格認定証明書交付申請書
 - 契約書または雇用契約書の写し
 - 興行内容の説明書(出演計画・台本・パンフレット等)
 - 芸能事務所の会社登記簿謄本・決算書
 - 外国人の経歴書・出演歴(写真・映像資料など)
 
■ 申請の流れ
- 契約締結 → 2. 必要書類準備 → 3. 入管申請 → 4. 審査(約1〜3ヶ月) → 5. 許可 → 6. ビザ発給
 
※ 複数の外国人を同時に呼ぶ場合、興行内容ごとに審査されるため注意が必要です。
6.不許可になりやすいケースと回避ポイント
不許可になりやすい事例
- 活動内容が風俗営業(キャバクラ・ナイトクラブ等)に該当
 - 芸能事務所が設立間もなく、実績や信用が乏しい
 - 契約内容が曖昧(出演回数・報酬額が不明)
 - 外国人本人が過去に入管法違反歴がある
 
許可されやすくするポイント
- 芸能実績(動画・受賞歴・契約先メディア等)を提出
 - 契約機関の経営安定性を証明(決算書・取引実績)
 - 興行内容の詳細(台本・チラシ・スポンサー資料)を添付
 
7.興行ビザ取得後の管理義務と更新の注意点
許可後も、契約機関には以下の管理義務があります。
| 義務内容 | 詳細 | 
|---|---|
| 報告義務 | 契約変更・終了時には入管へ報告が必要(法第19条の16) | 
| 在留カード管理 | 在留カードのコピーを保管し、在留期間を把握 | 
| 生活支援 | 住居確保・健康保険加入などの支援体制を維持 | 
また、更新時には活動実績と報酬の証明資料が求められます。更新審査では「当初計画どおりに活動していたか」が重点的に確認されます。
8.よくある質問(Q&A)
Q1. 外国人モデルが短期間の撮影に来る場合も興行ビザが必要ですか?
→ はい。報酬を得て日本でモデル活動を行う場合、**原則として興行ビザ(3号)**が必要です。
Q2. SNSやYouTube活動も「興行ビザ」に該当しますか?
→ 報酬を伴うメディア出演・撮影・イベント出演は該当しますが、純粋な個人配信のみの場合は別途判断されます。
Q3. 興行ビザを持つ外国人を他の現場で働かせてもいいですか?
→ 契約内容と異なる活動(例:他の事務所への派遣)は資格外活動となり、在留資格取消しのリスクがあります。
Q4. 興行ビザの在留期間はどのくらいですか?
→ 通常は「1年」「3年」などが付与されますが、短期イベントの場合は「3ヶ月」「6ヶ月」のこともあります。
9.関連記事・参考資料
参考資料
関連記事
- 興行ビザ3号での宣伝・撮影活動ガイド|外国人芸能人の日本活動完全解説
 - スポーツ選手向け:興行ビザ2号の申請方法と実務ポイント【完全ガイド】
 - 興行ビザ審査は厳しい?在留資格「興行」の取得条件と注意点【完全ガイド】
 
まとめ|興行ビザの許可を得るためのポイント
興行ビザは、芸能・スポーツ・文化の各分野で活躍する外国人にとって重要な在留資格ですが、
活動内容の公共性・契約の明確性・受け入れ体制の信頼性が厳しく問われます。
許可率を高めるためには:
- 契約機関の信用力を整える
 - 芸能・スポーツ活動の実績を具体的に提示
 - 入管が求める要件を客観的資料で立証する
 
ことが不可欠です。
行政書士などの専門家に相談することで、書類の整合性を高め、審査リスクを回避できます。
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  ![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法  | 

					