留学ビザで留学できる「専門学校」とは?日本で学ぶための全知識【完全ガイド】
目次
はじめに
「日本で専門分野を学びたい」「就職につながる実践的なスキルを身につけたい」――そんな希望を持つ外国人留学生の多くが選ぶのが「専門学校」です。
しかし、「専門学校とはどんな学校なのか?」「どんな専門学校なら留学ビザで通えるのか?」という点を正しく理解していない方も多いのが現状です。
本記事では、出入国在留管理庁や文部科学省の公式情報をもとに、留学ビザで通える専門学校の条件・入学要件・注意点 を詳しく解説します。
1.専門学校とは?日本の教育制度における位置づけ
「専門学校」とは、文部科学省が定める「専修学校の専門課程」 に該当する教育機関です。大学や短期大学とは異なり、より職業的・実践的な教育に重点が置かれています。
法律上は、以下のように定義されています。
専修学校とは、職業・実生活に必要な能力を育成し、教養の向上を図ることを目的として、特定の課程の教育を行う学校(学校教育法第124条)
専修学校には3つの課程があります。
| 区分 | 対象 | 修業年限 | 修了時称号 |
|---|---|---|---|
| 専門課程 | 高卒以上 | 1年以上 | 専門士・高度専門士 |
| 高等課程 | 中卒者対象 | 1年以上 | ― |
| 一般課程 | 学歴制限なし | 任意 | ― |
留学ビザで通えるのは、このうち 「専門課程」 のみです。
専門学校は、IT、デザイン、ホテル観光、介護、医療、ファッション、美容、調理など、就職に直結する分野が多いのが特徴です。
また、学校によっては「日本語+専門科目」を組み合わせたカリキュラムを設けており、外国人留学生にも人気です。
2.留学ビザ(在留資格「留学」)で通える専門学校の条件
外国人が日本で専門学校に通うためには、在留資格「留学」 を取得する必要があります。
ただし、すべての専門学校が留学ビザの対象となるわけではなく、一定の条件を満たしている学校のみが対象です。
(1)対象となる教育機関
出入国在留管理庁によると、「留学ビザ」が認められる教育機関は以下のとおりです。
- 大学・短期大学・大学院
- 高等専門学校
- 高等学校(中等教育学校後期課程を含む)
- 専修学校(専門課程)
- 各種学校等
つまり、「専修学校の専門課程」であれば留学ビザの対象となります(出入国在留管理庁|在留資格「留学」)。
(2)学校側の条件
留学ビザが認められるためには、学校が以下の要件を満たしている必要があります。
- 修業年数が1年以上で、授業時間が年間800時間以上であること
- 教育課程・施設・教員配置などが法令基準を満たしていること
- 留学生受入体制(生活指導・日本語教育・経費支援体制)が整っていること
これらを満たしている学校は、入管庁から「留学生適正校」として評価されやすくなり、ビザ審査でも有利になります。
3.専門学校入学に必要な学歴・日本語力・書類
(1)学歴要件
原則として、出身国で12年以上の学校教育課程を修了していることが必要です。
ただし、国によって教育年数が異なる場合は、補習教育や予備教育を受けた実績で代替できる場合もあります。
(2)日本語能力要件
日本の専門学校では多くの場合、日本語で授業が行われます。そのため、次のいずれかを満たす必要があります。
- 日本語教育機関で6か月以上の学習歴がある
- 日本語能力試験(JLPT)で N2レベル以上
- 日本留学試験(EJU)で一定の日本語得点を取得
- 日本語科目を履修した実績がある(学歴証明書等で確認)
日本語力が不足している場合は、まず日本語学校に入学してから専門学校へ進学するのが一般的です。
(3)入学書類
学校によって異なりますが、主な提出書類は以下の通りです。
- 入学願書
- 最終学歴証明書・成績証明書
- 日本語能力を証明する書類
- 経費支弁に関する書類(銀行残高証明、送金証明など)
- パスポートコピー・証明写真
- 志望理由書・履歴書
4.留学ビザ申請時の手続きと必要書類
専門学校への入学が決定したら、学校を通じて**「在留資格認定証明書(COE)」** の申請を行います。
COE交付後、在外公館(日本大使館・領事館)で「留学ビザ」を申請します。
(1)主な提出書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 入学許可証(または在学証明書)
- 最終学歴証明書・成績証明書
- 経費支弁能力を示す書類(本人または保証人名義)
- 日本語能力証明書
- パスポート写し・写真
- 住民票(日本国内在住の場合)
(2)審査のポイント
- 学習目的が明確か(就労目的ではないか)
- 経費支弁能力が十分か(学費・生活費を支払える資金)
- 出席率や学歴に虚偽がないか
- 学校側の管理体制が適正か
不備があると不許可になるため、専門の行政書士などに相談して書類を整えることをおすすめします。
5.専門学校在学中のルールと注意点
(1)資格外活動(アルバイト)の制限
留学生がアルバイトをするには「資格外活動許可」が必要です。
許可を受ければ、週28時間以内(長期休暇中は週40時間以内)のアルバイトが認められます。
無許可で働くと在留資格取り消しの可能性があります。
(2)在留期間の更新
通常の在留期間は「1年」または「2年」ですが、更新時には出席率や学業成績が厳しく審査されます。
出席率が80%未満の場合、更新が認められないこともあるため注意が必要です。
(3)転学・学科変更時の注意
専門学校から別の学校へ転学する場合や、学科を変更する場合には所属機関変更届け、場合によっては在留資格変更許可申請が必要です。
無断で学校を辞めたり長期間出席しなかったりすると、在留資格の取消し対象となります。
6.卒業後の進路と在留資格変更
(1)就職を希望する場合
専門学校を卒業し、日本で就職する場合は、在留資格を「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザに変更する必要があります。
専門学校の専攻内容と就職先の業務内容が一致していることが条件です。
(2)進学を希望する場合
大学編入・大学院進学を希望する場合は、進学先に応じて「留学」ビザを更新します。
入学許可証や在学証明書を添付して申請を行いましょう。
7.よくある質問(Q&A)
Q1. 専門学校はどんな分野を学べますか?
A. IT・デザイン・建築・介護・調理・観光・美容・自動車整備など、就職直結型の分野が中心です。
Q2. 日本語力がなくても入学できますか?
A. 基本的にはJLPT N2程度の日本語力が必要です。日本語学校を経由して入学するケースが一般的です。
Q3. 学費はどのくらいですか?
A. 学科によりますが、1年間で80万円〜150万円程度が目安です。別途教材費・寮費が必要です。
Q4. 在学中にアルバイトはできますか?
A. 資格外活動許可を受ければ可能です。ただし、学業に支障が出ない範囲(週28時間以内)に制限されます。
Q5. 卒業後に日本で働けますか?
A. 学んだ内容と一致する職種であれば、就労ビザへの変更が可能です。
8.まとめ
日本の「専門学校」は、実践的スキルを身につけ、日本での就職にもつながる魅力的な学びの場です。
ただし、すべての学校が留学ビザの対象ではなく、文部科学省・入管庁の基準を満たした「専修学校専門課程」 である必要があります。
留学ビザ申請には、学歴・日本語力・経費支弁能力などが厳しく審査されます。
信頼できる専門学校を選び、正しい手続きを行うことが成功の第一歩です。
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![]() 「記事監修」 加納行政書士事務所 運営HP:ビザ申請サポートNavi https://visasupportnavi.net/ 代表 特定行政書士 加納 裕之 「学歴」 同志社大学大学院法学研究科公法学専攻博士前期課程修了(修士(法学)) 明治大学法科大学院修了 「資格」 行政書士(特定付記)、TOEIC805点 「専門分野」 入管取次・ビザ申請、在留資格、永住・帰化、外国人問題、国際公法 |

